商業登記関係 許認可が必要な事業を行うときは、その目的を定款に記載しておく
許認可が必要な事業と会社目的
会社が事業を行うときに、例えばその事業が「ウェブサイトの企画及び制作」であれば原則として誰でもその事業を行うことができます。
一方で、会社が行う事業内容によっては許認可を得なければならなかったり、その届出が必要となることがあります。
許認可を得るためには、その取得したい許認可に適合した事業目的を定款に記載しなければなりません。
なお、許認可の申請や届出手続きの専門家は司法書士ではなく行政書士ですので、実際に許認可の申請や届出の代行を相談したい方には行政書士をご紹介しています。
しかし、司法書士も会社設立登記業務を行っている以上、設立する会社が行う事業を見て許認可が必要そうだ、という認識や感覚は必要だと考えています。
許認可が必要な事業と会社目的
許認可が必要な事業の一例は次のとおりです。
銀行業や鉄道事業等、個人が会社を立ち上げる際にあまり参入しない分野については記載しておりません。
一般労働者派遣事業 | 労働者派遣事業 |
職業紹介事業 | 有料職業紹介事業 |
古物商 | 古物営業法に基づく古物商 |
飲食店 | 飲食店の経営 |
宿泊施設運営 | ホテル・旅館その他宿泊施設の経営 |
酒類販売 | 酒類の販売業 |
風俗営業 | バー及びスナックの経営 ゲームセンターその他遊技場の経営 |
旅行業 | 旅行業法に基づく旅行業及び旅行業者代理業 |
建設業 | 建設業 土木建築工事 |
宅地建物取引業 | 不動産の売買、賃貸、管理及びそれらの仲介 |
運送業 | 一般貨物自動車運送事業 (トラック等で貨物を運ぶ場合) 貨物軽自動車運送事業 (軽トラック等で貨物を運ぶ場合) 一般乗用旅客自動車運送事業 (タクシーで人を運ぶ場合) |
薬局の開設 | 薬局の経営 |
介護事業 | 介護保険法に基づく居宅サービス事業 介護保険法に基づく地域密着型サービス事業 |
理容業 | 理容業 理容室の経営 |
美容業 | 美容業 美容室の経営 |
※上記記載例はあくまで一例です。この記載でどの都道県においても許認可の取得が問題ないことを保証するものではありません。
※許認可を取得するためには、会社目的以外にも多くの要件があります。
※運送業や介護事業等は、その事業の一部しか記載していません。
会社設立した後に目的を変更する
会社の目的は、会社設立後に変更することもできます。
会社設立後に目的を変更する場合は、株主総会の決議をしなければならない手間と登記申請をしなければらない手間がかかります。
加えて、登録免許税(3万円)を納めなければならず、一般的には登記簿の変更が完了するまで少なくとも1週間以上の時間がかかってしまいます。
会社設立時に許認可の必要な事業を行うことが決まっているのであれば、必ずその目的を入れておきましょう。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。