商業登記関係 司法書士が株式会社の定款の条文を解説します(配当の除斥期間編)
定款の条文の内容を解説します。
会社法が施行されてから株式会社の設立も容易になり、また現在は色々なサイトで株式会社の設立に関する情報が溢れているため、起業される方自身で株式会社設立の手続きをされるケースも少なくありません。
しかし、インターネット上にある定款の内容の一部、あるいは全部をよく理解せずにそのまま利用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、会社設立後にこんなはずではなかった、、、という方が一人でも少なくなるように、日本公証人連合会のホームページに掲載されている
1 小規模な会社(Small-Sized Company)
株式が非公開で、取締役が1名のみの小規模な株式会社の定款記載例であり、定款の内容も簡潔なものを紹介しています。
起業者の方が小規模な会社からスタートしたいと考える場合に、定款ドラフトの作成に当たって、参考にされる一つの定款記載例です。≫定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc)【日本公証人連合会】
を基に、定款の各条文の内容について解説をしていきたいと思います。
ビジネスに専念したい方
一方で、会社設立の手続きは初めて行う方には時間がかかる上に、一生のうちにその知識を何度も使うわけではありません。
会社設立の手続きは専門家に任せて自分のビジネスに集中したい方は、こちらのページをご参照ください。
≫株式会社設立サービス
≫合同会社設立サービス
配当の除斥期間に関する条文
第22条 剰余金の配当がその支払の提供の日から3年を経過しても受領されないときは、当会社は、その支払義務を免れるものとする。
配当の除斥期間
剰余金の一部または全部を株主へ支払うことを配当といいますが、この配当金の支払請求権の消滅時効期間は10年です(民法第167条1項)。
この消滅時効の期間は、定款に定めることにより短縮することができるとされています。
この定款記載例では、配当金を請求することができる期間(「除斥期間」といいます)を3年としていることになります。
除斥期間の妥当性
多くの株式会社においては、除斥期間を定款に定めており、その除斥期間は3年という印象です。
新しく設立する会社においては、公証役場の定款サンプルが3年の除斥期間を定めている影響も大きいでしょう。
この定款に定める除斥期間は、公序良俗に反する期間でなければ問題ないとされており、「5年」の除斥期間は問題ないとされている古い判例があります。
除斥期間をどれくらいまで短縮することができるか明確な基準はありませんが、「3日」では公序良俗に反するとされてしまう可能性が高いかもしれません。
10年間、配当金が請求されるのかどうか未確定であることにつき期間が長いと思う人は、除斥期間を短縮しておくと良いでしょう。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。