商業登記関係 司法書士が一般社団法人の定款の条文を解説します(目的編)
一般社団法人の定款の条文の内容を解説します。
一般社団法人は協会ビジネスをされる方や社会貢献活動をされる方に人気のある法人形態です。
現在は色々なサイトで株式会社の設立に関する情報が溢れているため、ご自身で一般社団法人設立の手続きをされるケースも少なくありません。
しかし、インターネット上にある定款の内容をよく理解せずに、そのまま利用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご自身で一般社団法人を設立する方のために、≫日本公証人連合会のホームページに掲載されている定款等記載例をベースとして、一般社団法人の定款の各条文について解説をしていきたいと思います。
ビジネスに専念したい方
一般社団法人設立の手続きは初めて行う方には時間がかかる上に、一生のうちにその知識を何度も使うわけではありません。
一般社団法人設立の手続きは専門家に任せて自分のビジネスに集中したい方は、こちらのページをご参照ください。
目的に関する条文
第3条 当法人は、○○することを目的とし、その目的に資するため、次の事業を行う。
(1) ○○○○
(2) ○○○○
(3) ○○○○
(4) その他前各号に掲げる事業に附帯又は関連する事業
一般社団法人の主たる事務所の目的は、定款に必ず記載しなければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第11条)。
目的と事業
株式会社や合同会社の目的は、
第2条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
(1) ○○○○
(2) ○○○○
等のように特定の事業を行うことをその目的としています。
一方で、一般社団法人においては、法人の存在意義や法人を通して成し遂げたいこと等を目的として掲げ、その目的を達成するためにどのような事業を行うのか、という構成になっています。
一般社団法人と収益事業
一般社団法人は公益的な事業を行うことはもちろんできますし、同窓会や町内会、その他私的なグループ等の構成員に共通する利益を図ることを目的とする事業を行うこともできます。
加えて、収益事業を行うことも可能です。
一般社団法人は、株式会社と異なり非営利法人ですが、非営利とは社員へ利益を分配しないことを意味します。
ですので、一般社団法人は非営利法人という分類にはなりますが、事業活動を行い収益を上げることは何の問題もありません。
目的と収益性
目的に収益性は特に求められていません。
「○○の普及、啓発」「会員向け会報の発行」という目的でも問題ありません。
目的の一般的な制限につきましては、こちらのページをご参照ください。
資格認定協会と目的
一般社団法人を用いて民間資格の認定を行う場合は、次のような内容を目的に入れていることが一般的です。
- ○○に関する人材育成及び教育研修事業
- ○○の育成及び資格認定事業
- ○○に関するセミナー、イベント及び講演会等の企画及び開催
- ○○の普及、啓発事業
- ○○に関する教材、書籍、出版物等の企画、制作、発行、出版及び販売
資格認定協会に関わらず、定款の内容をWEB上で公開している一般社団法人は少なくありません。
定款には目的が記載されていますので、他の一般社団法人の目的を参考にしてみるのも良いのではないでしょうか。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。