商業登記関係 司法書士が一般社団法人の定款の条文を解説します(名称編)
一般社団法人の定款の条文の内容を解説します。
一般社団法人は協会ビジネスをされる方や社会貢献活動をされる方に人気のある法人形態です。
現在は色々なサイトで株式会社の設立に関する情報が溢れているため、ご自身で一般社団法人設立の手続きをされるケースも少なくありません。
しかし、インターネット上にある定款の内容をよく理解せずに、そのまま利用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご自身で一般社団法人を設立する方のために、≫日本公証人連合会のホームページに掲載されている定款等記載例をベースとして、一般社団法人の定款の各条文について解説をしていきたいと思います。
ビジネスに専念したい方
一般社団法人設立の手続きは初めて行う方には時間がかかる上に、一生のうちにその知識を何度も使うわけではありません。
一般社団法人設立の手続きは専門家に任せて自分のビジネスに集中したい方は、こちらのページをご参照ください。
名称に関する条文
第1条 当法人は、一般社団法人○○○○と称する。
一般社団法人の名称は、定款に必ず記載しなければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第11条)。
法人名について、株式会社や合同会社では「商号」、一般社団法人では「名称」といいます。
英文表記
こちらは必須ではありませんが、定款に当該一般社団法人の名称の英文表記を記載している法人も少なくありません。
一般的に、一般社団法人をAssociationまたはInstituteと表現します。
第1条 当法人は、一般社団法人○○○○と称し、英文では○○○○ Associationと称する。
一般社団法人の名称のルール
一般社団法人はその名称の中に必ず、「一般社団法人」という文字を使用しなければなりません。
一般社団法人という文字は前でも後でもどちらでも良いのですが、前に置く法人が多いように思います。
- 一般社団法人ABCDE
- ABCDE一般社団法人
使用できる文字等
株式会社の商号と同様に、一般社団法人の名称にも「ひらがな」「カタカナ」「漢字」「ローマ字」「アラビヤ数字」「符号」を使用することができます。
同様に、使用できない文字もあります(ローマ数字、カッコ(「 」( )【 】等)、その他)。
名称の付け方・ルールの詳細につきましては、次のページをご参照ください。
同一名称、同一本店の禁止
同じ名称の一般社団法人が、同じ場所にある場合は、そこに新たに一般社団法人の設立をすることができません(設立登記の申請が却下されます)。
上記リンク先に、同一名称、同一本店の禁止についても記載されていますのでご確認ください。
協会ビジネスと商標登録
一般社団法人を用いて、いわゆる協会ビジネスを行う場合は特に、商標登録について確認をしておいた方がいいかもしれません。
既に商標登録されている名称・ビジネスで新規参入をしても、その名称の使用の差し止めを請求される可能性があります。
また、商標登録されていない新規ビジネスを行う場合は、商標登録をしておくことにより、後続の新規参入者が似たようなビジネスを行うことを防ぐことができます。
特に、一般社団法人●●協会という名称は、似たような名称が多く見受けられますので、商標登録についても検討されることをお勧めします。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。