商業登記関係 司法書士が一般社団法人の定款の条文を解説します(入社編)
一般社団法人の定款の条文の内容を解説します。
一般社団法人は協会ビジネスをされる方や社会貢献活動をされる方に人気のある法人形態です。
現在は色々なサイトで株式会社の設立に関する情報が溢れているため、ご自身で一般社団法人設立の手続きをされるケースも少なくありません。
しかし、インターネット上にある定款の内容をよく理解せずに、そのまま利用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご自身で一般社団法人を設立する方のために、≫日本公証人連合会のホームページに掲載されている定款等記載例をベースとして、一般社団法人の定款の各条文について解説をしていきたいと思います。
以下、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律を「法人法」といいます。
ビジネスに専念したい方
一般社団法人設立の手続きは初めて行う方には時間がかかる上に、一生のうちにその知識を何度も使うわけではありません。
一般社団法人設立の手続きは専門家に任せて自分のビジネスに集中したい方は、こちらのページをご参照ください。
入社に関する条文
第5条 当法人の目的に賛同し、入社した者を社員とする。
2 社員となるには、当法人所定の様式による申込みをし、理事会の承認を得るものとする。
一般社団法人を設立するときは、発起人たる社員が2名以上必要です。
設立後の、社員の資格の得喪に関する規定は定款に必ず定めなければならない事項とされています(法人法第11条)。
この定款の規定は、社員の資格の得喪のうち「得」の部分を規定しています。
一般社団法人の社員とは
法人法で定める一般社団法人の社員とは、所謂正社員や契約社員、派遣社員等の従業員のことを示す社員とは異なります。
社員は、社員総会における議決権を有する等、一般社団法人に対して大きな権限を有しています。
≫一般社団法人の社員になる方法と社員の権限はどのようなものか
なお、一般社団法人も正社員や契約社員等の従業員を雇用することはできます(従業員は必ず法人法上の社員としなければならないわけではありません)。
入社条件は自由
一般社団法人への入社条件は、法律上は特にありません。
法人法には、定款に社員となる条件(どのような場合に社員となるか)を定めてくださいとあるだけです。
社員となる条件を「法人の目的に賛同して、法人が定める入社申込書を提出した者」とすることも可能ですが、誰でも社員となれるようにしておくのは法人の運営上リスクとなりかねません。
一般社団法人は1人1票が原則ですので、社員が増えれば増えるほど創業者や社員たるコアメンバーの議決権は薄まっていきます。
そのため、「理事会の承認」や「代表理事の承認」があることを条件としておくことが一般的でしょう。
一般社団法人の社員と会員
一般社団法人で会員制度を設ける場合は、会員を法人法上の社員とするかは検討しなくてはなりません。
会員は会費を納める代わりに当該法人のサービスを利用できるだけなのか、それとも当該法人の社員として議決権も有しているのかは、定款で明確に定めておいた方が後のトラブルを防ぐことができます。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。