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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

募集株式の発行手続きにおいて、発行会社が引受人となることはできるか

募集株式の発行と自己株式の取得

新たに株式を発行するときは、申込者の中から募集株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集株式の数を定めなければなりません(会社法第204条1項)。

発行する株式を引き受ける人がいて、初めて株式を発行することができる仕組みとなっています。

この株式の引受人は、既存の株主でもそうでない第三者でも、個人でも法人でも問題ありません。

ところで、発行会社自身が、自社が発行する株式を引き受けることはできるのでしょうか。

株主割当ての方法による募集株式の発行

募集株式の発行を株主割当ての方法によって行う場合に、既に自己株式を有しているときは、株主である当該会社には株式が割り当てられるようにも見えます。

しかし、会社法第202条2項により、募集株式の割当てを受ける権利を与える対象から当該株式会社は除かれていますので、株主割当ての募集株式の発行手続きにおいて、自己株式を有していても新たに株式が割り当てられることはありません。

自己株式を取得する方法

自己株式を取得する方法は、会社法第155条によって限定されています。

自己株式を取得する方法は次のとおりです。

  1. 取得条項付株式の取得事由の発生
  2. 譲渡制限株式の譲渡承認をしない場合の買取人として発行会社を指定
  3. 株主総会による株主からの有償取得
  4. 取得請求権付株式の取得請求権の行使
  5. 全部取得条項付種類株式の取得決議
  6. 株式相続人等への売渡請求
  7. 単元未満株式の買取請求
  8. 所在不明株主の株式買取請求
  9. 端数の処理に伴う取得
  10. 他の会社の事業の全部を譲り受ける場合
  11. 合併後消滅する会社からの承継
  12. 吸収分割をする会社からの承継
  13. 上記の他、法務省令で定める場合

ここには募集株式の発行手続きの記載はありません。

募集株式の発行手続きにおいて、株主割当ての場合だけではなく、第三者割当ての方法によっても発行会社は引受人となることができなさそうです。

上記の他、法務省令で定める場合とは

会社法第155条13号の法務省令とは、会社法施行規則第27条のことを指します。

会社法施行規則第27条に記載されている自己株式を取得する方法は次のとおりです。

  1. 株式を(株主から)無償で取得する場合
  2. 他の法人の剰余金の配当や残余財産の分配として交付を受ける場合
  3. 組織再編等の対価として交付を受ける場合
  4. 他の法人の新株予約権の対価として交付を受ける場合
  5. 合併等に対する反対株主からの買取請求権に応じる場合
  6. 合併後消滅する法人からの承継
  7. 他の法人の事業の全部を譲り受ける場合
  8. 必要かつ不可欠である場合

こちらを見ても、募集株式の発行に関する記載はないため、発行会社は引受人となることはできないと言えそうです。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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