不動産登記関係 不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する方法
不動産の登記簿謄本を取得する
相続が発生したときや不動産に担保を設定するとき等に、不動産の登記簿謄本が必要となる場合があります。
士業や不動産会社、金融会社等で働いていないと、なかなか不動産の登記簿謄本を見る機会や取る機会というものはないかもしれません。
不動産の登記簿謄本を取得するには、どこで何をすればいいのでしょうか。
不動産の登記簿謄本とは
登記事務をコンピュータで処理している登記所における、登記簿の写しを証明したものを「登記事項証明書」といいます。
登記事務をコンピュータで処理していない登記所における、登記簿の写しを証明したものを「登記簿謄本」といいます。
今では登記簿謄本も登記事項証明書も同じ意味で使われていて(記載内容も同じです)、明確に使い分けをしている人は非常に少数であり、活字では登記事項証明書、口頭では登記簿謄本と表現されていることが多いように感じます。
不動産の登記簿謄本は誰でも取得可能
不動産の登記簿謄本は、手数料を払えば誰でも取得することができます。不動産の所有者の承諾も不要です。
そもそも登記簿制度は、不動産の権利関係等の状況が誰にでも分かるようにして、取引の安全と円滑を図るために存在しているからです。
隣の空き地の所有者は誰とか、隣の空き家の権利関係はどうなっているのか等、登記簿謄本を見れば知ることができます(事実関係が登記簿に反映されていれば、ですが)。
不動産の登記簿謄本の取得方法
不動産の登記簿謄本を取得する方法としては、次の3つの方法があります。
- 法務局の窓口に行って取得する
- オンラインで取得する
- 郵送で取得する
慣れていない方が不動産の登記簿謄本を取得するときは、法務局の窓口に行って取得する方法が一番分かりやすく、間違いが起こりにくいのではないでしょうか。
窓口で取得する
最寄りの法務局に直接行き、証明書窓口で登記簿謄本を取得する方法があります。
多くの法務局には「証明書発行請求機」が設置されていますので、それを使用して次の流れで登記簿謄本を発行してもらいます。
- 請求情報(取得する登記簿の地番、家屋番号)を入力する
- 整理番号票が発行されるので受け取る
- 整理番号票に記載された収入印紙を購入する
- 整理番号が呼ばれる
- 整理番号票と収入印紙を持って窓口に行き、係員の指示に従い登記簿謄本を受け取る
最寄りの法務局を調べる
法務局は全国に存在し、どこの法務局でも全国の登記簿謄本を取得することができます。
東京法務局港出張所で鹿児島県鹿児島市にある土地の登記簿謄本も取れます。
法務局は、≫管轄のご案内:法務局をクリックして、飛んだページの右サイドバーにある「▶管内法務局一覧」から探すことができます。
法務局は駅の近くにあることが少ないため、駅から法務局までの距離はよく確認しておいた方がいいかもしれません。
法務局の開庁時間
法務局は平日の8時30分から17時15分の間のみ開庁して業務を取り扱っています。
現在、土日に登記簿謄本を取得することはできません。
平日は仕事で法務局に行けない方は、誰かに取得をお願いするか、郵送やオンラインで取得することになります。
法務局に行く前に用意するもの
法務局で登記簿謄本を取得するのに身分証明書の提示等は不要です。
次の2つを用意してから行くと手続きがスムーズです。
- 不動産の地番(土地)、所在と家屋番号(建物)
- 手数料(1通につき600円)
住所と地番は異なりますので、住所を「証明書発行請求機」に入力しても登記簿謄本が取れないことがあります。
地番は納税通知書を見れば記載されていますが、それがなければ、法務局に電話をすると(地番照会をお願いします、と伝えます)、住所から地番を調べて教えてくれます。
1つの土地に見えても登記簿は2つ以上に分かれている場合もありますので、手数料は余裕のある金額を準備して法務局へ行きましょう。
オンラインで取得する(お勧め)
パソコンからインターネットを利用してオンラインによって不動産の登記簿謄本の交付請求を行うことができます。
利用方法については、次の法務省のページをご参照ください。
≫登記事項証明書の請求にはオンラインでの⼿続が便利です(法務省⺠事局)
オンラインで登記簿謄本の交付請求をして郵送してもらう方法と、オンラインで登記簿謄本の交付請求をして指定の法務局へ受け取りに行く方法があります。
前者の場合の登記簿謄本交付の手数料は1通500円、後者の場合は1通480円です。
急ぎでないのであれば、登記簿謄本を郵送してもらう方法が良いと思います。
オンライン交付請求の利用時間
オンラインによる登記簿謄本の交付請求は、平日の21時まで利用することができます。
しかし、17時15分以降は交付申請をしても受付がされない=手数料の電子納付ができないため、17時15分以降にする交付申請であれば翌日に受付・納付、翌々日に登記簿謄本が手元に届くことになります。
郵送で取得する
法務局に行く時間の無い人には、郵送で登記簿謄本を取得する方法があります。
郵送で取得するには、法務局へ次の書類を郵送します。
- ≫登記事項証明書交付申請書
- 収入印紙
- 返信用封筒(切手を貼ったもの)
不足があると何度もやり直すことも
慣れていない方が不動産の登記簿謄本を請求するときは、地番の記載ミス、記載不足、返信用封筒の入れ忘れ、収入印紙や切手の貼り忘れ等の間違いが起こりやすいです。
地番や家屋番号が分かれば確実に取得できることを考えると、「法務局に行く」「オンラインで取得する」のどちらかをお勧めします。
各取得方法と向いている人
法務局の窓口 | 近くに法務局のある人 今すぐ登記簿謄本が必要な人 分からない時に聞ける人(法務局職員)がいて欲しい人 | ○ |
オンライン | 法務局に行く時間のない人 少しでも費用を安くしたい人 パソコンが苦手ではない人 明日、明後日に登記簿謄本が手元にあればいい人 何回も登記簿謄本を取る機会のある人(士業等) | ◎ |
郵送 | 上記2つを何らかの理由で選択しない人 |
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。