商業登記関係 2019年3月31日までに減資をするには、いつまでに手続きをスタートさせるべきか
事業年度末までに減資
株式会社や特例有限会社、合同会社において、事業年度の終わりを3月31日としている会社は少なくありません。
事業年度末までに、前期までの欠損金につき損失処理をするため、資本金の額を減少させたり、資本準備金の額を減少させたいというニーズがあります。
≫欠損填補をするための減資の手続きと、損失処理のできる資本剰余金の範囲
今期中に損失処理をするのであれば、事業年度末までにこの手続きを終わらせなければなりません。
このページでは資本金の額の減少と資本準備金の額の減少を、併せて「減資」といいます。
今期資本金を5億円以上にした会社
今期に資本金を増資して5億円以上にした会社は、今期の計算書類が承認されたタイミングで会計監査人(+監査役)を設置する義務が生じます。
期中に増資(5億円+)をして、期末までに資本金の額の減少をする予定だったのに忘れたため、翌期に、当初は想定をしていなかった、会計監査人の設置をしたという会社もあります。
※負債の額が200億円以上の会社は、資本金の額に関わらず会計監査人の設置義務があります。
減資に必要な期間
減資の手続きは1日あるいは1週間という短期間で行うことができず、1ヶ月以上の期間を要する点に注意が必要です。
つまり、3月に入ってから減資の手続きをスタートさせたとしても3月31日に減資の効力を発生させることはできません。
債権者の有無も減資の手続き期間に影響は与えませんので、3月31日に減資をする会社はそろそろ動き出した方がいいかもしれませんね。
減資の手続きについては、こちらの記事をご参照ください。
決算公告を既にしている場合
前期の決算に関する決算公告を既にしている場合のスケジュール例です。
多少余裕のあるスケジュール案としています。
2月15日(金曜日) | 取締役会の決議(減資の内容決定、株主総会の招集決定) 官報へ公告の申込み |
2月25日(月曜日) | 知れたる債権者へ催告書発送 |
2月26日(木曜日) | 減資公告が掲載(官報) |
3月1日(水曜日) | 株主総会の招集通知の発送 |
3月12日(火曜日) | 株主総会の決議 |
3月26日(火曜日) | 債権者保護手続きの期間満了 |
3月28日(木曜日) | 資本金の額の減少の効力発生 |
3月28日(木曜日)以降 | 登記申請(減資) |
決算公告をしていない場合
前期の決算に関する決算公告をまだしていない場合のスケジュール例です。
多少余裕のあるスケジュール案としています。
2月6日(水曜日) | 取締役会の決議(減資の内容決定、株主総会の招集決定) 官報へ公告の申込み |
2月25日(月曜日) | 減資公告が掲載(官報)※同時公告 知れたる債権者へ催告書発送 |
3月1日(水曜日) | 株主総会の招集通知の発送 |
3月12日(火曜日) | 株主総会の決議 |
3月26日(火曜日) | 債権者保護手続きの期間満了 |
3月28日(木曜日) | 資本金の額の減少の効力発生 |
3月28日(木曜日)以降 | 登記申請(減資) |
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。