商業登記関係 代表者の自宅を本店にしている会社が本店移転をするときは、代表者住所変更にもご注意を
本店と代表者住所
会社・法人の「本店の所在場所」と株式会社の代表取締役、特例有限会社の取締役、合同会社の代表社員、一般社団法人・一般財団法人の代表理事の「住所」は登記事項とされています。
本店を移転したときは、登記事項に変更が生じますので、その効力発生日から2週間以内にその変更に係る登記申請を法務局へ行います。
ところで、1人会社の場合、代表者の自宅を会社の本店としているケースも少なくありません。
代表者が引越しをしたときは、次の2つの登記事項に変更が生じる可能性があります。
- 本店の所在場所
- 代表者の住所
引越し先を本店にするとき
代表者の住所を本店としている会社・法人において、代表者が住民票の異動を伴う引越しをして引越し先を本店とするときは、本店移転の登記だけをするのではなく、代表者住所変更の登記も併せて行う必要があります。
株式会社であれば取締役に任期がありますので、任期の満了が近い場合は、代表取締役の重任登記の際に新しい住所をもって登記することも可能です。
一方で、特例有限会社においては、定款に任期を定めない限り(ほとんどの特例有限会社では任期を定めていません)取締役の任期がありませんので、住所変更登記を忘れて何年、何十年も登記懈怠が進んでしまうリスクがあります。
株式会社における会社の本店移転と代表取締役の住所変更登記手続きは、次の記事をご確認ください。
≫株式会社の本店移転手続きと登録免許税
≫株式会社の代表取締役が住所変更と住所変更登記手続き
住所変更の登記をし忘れていた
本店=取締役の住所としていた特例有限会社が、取締役の住所変更登記をし忘れていたときは、今からでもその登記申請をすることになるでしょう。
住所を移転したときから長年経過してしまっている場合は、登記懈怠による過料が課される可能性はあります。
役員の住所変更登記には添付書類が不要とされているため、登記簿に記載される住所移転日は登記申請書に記載された日となりますが、登記懈怠による過料を避けるために事実と異なる日を住所移転日とすることはやめましょう。
公正証書原本不実記載等罪に該当する可能性があります。
結局は、今からでも事実に沿った内容の登記申請を行い、登記簿に事実を反映させるしかありません。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。