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RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年9月号

RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年9月号

ニュースレター
2026年9月2日

今月のニュースレターは以下の通りです。
 

税理士法人:非上場株式評価の見直しと影響 

国税庁で検討が進む非上場株式の評価方法の見直しについて、その背景や新たな評価方式の概要、事業承継や株式譲渡等への影響をお伝えします。 
 

社会保険労務士法人:同一労働同一賃金制度の改正と企業に求められる対応

令和8年10月施行の同一労働同一賃金制度改正について解説します。待遇差自体の解消ではなく、待遇差がある場合に合理的に説明できる体制整備が企業に求められる点を紹介します。
 

行政書士法人:永住許可に関するガイドラインの変更案について

永住許可に関するガイドラインの変更案がパブリックコメントにあがりました。これまでと審査基準が大きく変わり、基準が厳格かつ明確になっており、あらたな基準が多く新設されております。今回はパブリックコメントにあがった改正案をご紹介します。
 

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今月のニュースレターも、日々の実務にぜひお役立てください。


 

非上場株式評価の見直しと影響

上場株式と異なり、非上場株式には日々の取引価格がないため、相続や贈与の際には財産評価基本通達に基づき税務上の株価を算定します。現在、国税庁ではこの評価方法の抜本的な見直しが検討されており、2026年8月20日の有識者会議では、会社規模区分の廃止や新たな評価方式の方向性が示されました。今回の案は、評価体系そのものに踏み込む大きな見直しです。

非上場株式の評価方法見直しの背景

現行制度では、会社を「大会社・中会社・小会社」に区分し、大会社は主に類似業種比準方式、小会社は純資産価額方式、中会社は両者の併用方式で評価します。

見直しの契機の一つとなったのが、2024年に公表された会計検査院の指摘です。会社規模によって評価額に差が生じ、評価の公平性が十分に確保されていない可能性が指摘されました。また、有識者会議では、会社規模や株主構成を変えたり、一時的に利益を減少させたりして株価を圧縮する事例も示されています。

評価方法の見直しの概要

今回の案では、規模別区分を廃止し、幅広い会社を共通の方式で評価する方向が示されています。現在広く利用されている類似業種比準方式についても、存置は困難との考えが示されています。

新たな方式として検討されているのが「残余利益方式」です。概ね「簿価純資産+数年分の超過収益」により株式価値を算定する考え方で、同業の上場会社との比較よりも、その会社の純資産と収益力を重視する方向への転換といえます。

なお、純資産価額方式は特定の評価会社向けに位置付け直し、配当還元方式は適用範囲を見直した上で存置する方向です。具体的な計算方法等は今後検討されます。

予想される影響

すべての会社の評価額が上昇するわけではありません。報道された試算では、純資産が厚く収益力の高い会社では評価額が上昇する一方、純資産や収益力の小さい会社では下がるケースも示されています。特に、長年利益を蓄積して純資産が厚いオーナー企業や事業承継を予定している会社は、自社株評価への影響を確認しておく必要があります。

また、所得税・法人税上の非上場株式の「時価」算定でも、一定の場合に財産評価基本通達が参照されます。このため、関連通達の整備内容によっては、同族関係者間の株式譲渡などにも影響が及ぶ可能性があります。

おわりに

今回の見直しは、単なる節税スキームへの対応にとどまらず、非上場株式の評価体系そのものを見直す議論です。現時点では制度改正が決定したものではなく、適用時期を含め詳細は今後検討されます。事業承継等を予定している場合には、まず現在の自社株評価額を把握し、今後の制度動向を注視しながら早めに影響を検討することが重要です。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。
 
 

同一労働同一賃金制度の改正と企業に求められる対応

令和8年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働法に基づく「同一労働同一賃金」に関する省令および告示が改正されます。今回の改正は、パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善を一層推進するとともに、待遇差に対する企業の説明責任を強化することを目的としています。一律の待遇を求めるものではありませんが、待遇差を設ける場合には、その内容や理由を分かりやすく説明できる体制の整備が求められます。

改正のポイント

今回の改正では、パートタイム・有期雇用労働者の採用時に交付する労働条件通知書へ、「通常の労働者との待遇の相違の内容および理由について説明を求めることができる旨」を新たに明示することが義務付けられます。これにより、労働者が待遇差について説明を求める権利を認識しやすくなり、企業には採用時から丁寧な情報提供が求められます。

また、同一労働同一賃金ガイドラインも改正され、基本給や賞与、各種手当、福利厚生などについて待遇差を設ける場合には、その差が職務内容や責任、人材活用の仕組みなどに照らして合理的であることを説明できることがより重要になります。また、相談対応や情報提供など、事業主が講ずべき雇用管理上の措置も見直されます。

企業に求められる対応

企業は、労働条件通知書の様式を改正内容に対応させるだけでなく、就業規則や賃金規程、人事制度についても、現在の運用実態との整合性を確認することが必要です。厚生労働省がモデル通知書やQ&Aを公表していますので参考にしてください。

例えば、正社員には賞与を支給している一方で、有期雇用労働者には一律に支給していない場合、その理由を説明できるか確認しておく必要があります。業績への貢献や職務内容が同程度であるにもかかわらず、雇用形態のみを理由として支給対象外としている場合は、待遇差の合理性が問題となる可能性があります。

また、各種手当や福利厚生についても、支給目的や対象者を明確にし、制度の趣旨に沿って説明できるようにしておく必要があります。あわせて、待遇差に関する相談へ適切に対応できる社内体制を整備しておくことも求められます。

おわりに

今回の改正は、「待遇差をなくすこと」ではなく、「待遇差がある場合でも合理的に説明できること」を重視した内容となっています。令和8年10月の施行までに、労働条件通知書をはじめ、就業規則や賃金規程、人事制度などを点検し、説明責任を果たせる体制を整えておくことが重要です。制度改正への対応や人事・労務制度の見直しについてご不明な点がございましたら、実務と制度の両面から貴社に適した解決策をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。


 

永住許可に関するガイドラインの変更案について

永住許可に関するガイドラインの変更案に関するパブリックコメントがあがりました。この案が通れば、永住申請に関する審査方針が変わることになる重要なものですが、内容を確認すると大幅な変更があり、今後永住許可申請に関するハードルは劇的に高くなるとみられております。今回は永住許可に関するガイドラインの変更案についてみていきたいと思います。

収入・年金について

永住審査における許可基準のうち従来から収入に関する規定として独立生計要件があり、基準額が定められているわけではなく、「将来において安定した生活が見込まれること」という曖昧なものでした。改正案では申請時点で、世帯年収の額が「世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準」に継続して達しているかをみられることになります。また申請人だけではなく扶養する親族の数に応じて必要とされる年収が変わります。たとえば扶養する親族が海外にいる場合はその人数も世帯人数にカウントされることになります。就労を目的としない在留資格の者の収入は世帯年収に算入されません。家族滞在者が資格外活動で稼いだ金額は参入できないということになります。

ただ、出入国在留管理庁がさす平均年収の指標は厚生労働省や総務省が発しているものを使用するか否かは不明です。そもそも平均年収は高額所得者の収入も入るため一般的に実態とは乖離してやや高額になっており、平均ではなく真ん中という意味合いでは中央値を用いるのが一般的です。そのため、中央値ではなく平均年収であればハードルは高くなります。

年金についてはこれまで基準がなかったもので、今回あらたに設置されました。「日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その間厚生年金に加入していた場合に、将来受給可能な年金見込額」を受給年金水準とし、申請人の受給見込額が受給年金水準に達していることが求められます。また受給年金水準に達しない場合は、不足分を填補できる金融資産があれば水準に達しているものと評価されます。年齢が低いほど将来の受給額が多くなるので填補資産の基準は低くなります。

日本語能力(参照枠B1以上)について

こちらも大変大きな改正案です。今まで求められていなかった日本語能力が求められるようになりました。必要なレベルは「日本語教育の参照枠」B1以上で、これはほぼ日本語能力試験(JPLT)のN2相当(N3の高得点も含まれる可能性あり)に該当します。ただし、高度専門職やその家族など、一定の者は考慮要件とはされません。

制度・ルール等への理解について

こちらも申請された要件です。出入国在留管理庁がホームページに掲載している「生活・就労ガイドブック」の記載事項を中心に、我が国の制度・ルールの理解が一定水準以上に達しているかを確認するというものです。理解に乏しい・意欲に欠ける場合は消極的事由とするとしています。どのような方法で確認するのかはまだ発表されておらず、テストなのかインタビューなのか、詳細は今後あきらかになるところです。

その他について

昨今の永住申請において申請者だけではなく、例えば申請をしていない配偶者の納税や社会保険の加入状況も確認され、適正に納付や加入を行っていない場合は不許可とされるケースが目立ってきました。改正案にはそのことについても明確化され、公租公課は同一世帯単位で審査されると明言されました。また永住審査における不許可理由としてこれまで多かった日本の在留期間が短いというものですが、こちらも明確化され「一回の出国で半年以上不在とした期間がある場合又は通算して2年6か月以上不在とした場合は原則として消極評価」とされ、これまで曖昧だった基準が明確になりました。

総括

このように許可基準が厳格かつ明確化されようとしております。まずこのような情報をキャッチすること、そして細かく理解して申請書類を基準に基づいてアセスメントできる能力が今後求められます。また、行政書士のような専門家は多くの申請を取り扱うため、ガイドラインだけではわからないナレッジを得ることができます。もしお困りのことがあれば一度弊社にご連絡いただければ幸いです。


 

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