RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年10月号
今月のニュースレターは以下の通りです。
税理士法人:飲食料品の消費税率引下げ
2027年4月から予定される飲食料品の消費税率1%への引下げについて、その概要や就業者負担軽減支援金、事業者向け特例や支援策をお伝えします。
社会保険労務士法人:2026年度最低賃金改定の対応
2026年度の地域別最低賃金改定を解説します。全国加重平均は1,177円へ引き上げられ、発効日は都道府県ごとに異なります。企業が給与体系・雇用契約を今すぐ点検すべきポイントを解説します。
司法書士法人:外国人の代表取締役就任登記と署名証明書
日本の株式会社の代表取締役に外国人が就任することも珍しくありません。その登記手続きに必要となる署名証明書等について解説しています。
今月のサービスPickup
- ・業務DX支援
- ・海外進出支援
- ・M&Aコンサルティングサービス
今月のニュースレターも、日々の実務にぜひお役立てください。

飲食料品の消費税率引下げ
政府は2026年9月15日、「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」を閣議決定しました。物価上昇への対応に加え、中低所得の就業者の可処分所得の増大や就労促進を目的とし、2029年度に本格導入予定の「就業者負担軽減支援金」への「つなぎ」として、2年間限定の消費税率引下げと支援金の先行実施を組み合わせるものです。
飲食料品の消費税率を2年間1%へ
2027年4月1日から2029年3月31日まで、現在8%の軽減税率が適用されている飲食料品の譲渡・輸入について、消費税と地方消費税を合わせた税率を1%に引き下げる特例が設けられます。対象範囲は現行と同じで、酒類・外食は対象外、定期購読契約に基づく新聞は引き続き8%です。インボイス等にも1%の特例税率を記載することになります。
「就業者負担軽減支援金」の導入
中低所得の現役勤労者等を対象として、所得等に応じた「就業者負担軽減支援金」が2027年4月から導入されます。2027年度及び2028年度については、支援金全体として要する費用が飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲となるよう支給額を設定する方針です。支援額は前年の所得や扶養児童の有無・人数等を踏まえて定められますが、具体的な所得基準や支給額については今後検討されます。
事業者向け特例
飲食料品の売上税率が1%となる一方、仕入れや経費には10%等が適用されるため、本則課税では還付となるケースも想定されます。このため、免税事業者が課税事業者を選択する場合や、簡易課税事業者が本則課税へ移行する場合には、2027年4月1日の属する課税期間の末日までに所定の届出書を提出することで、当該課税期間から適用できる特例が設けられます。また、簡易課税の「2年縛り」は適用されません。更に、簡易課税制度を適用する事業者については、1%が適用される飲食料品の売上に対応する仕入控除税額を、業種にかかわらず当該売上に係る消費税額と同額とする特例が設けられます。よって、その飲食料品の売上に対応する消費税の納付額は生じないこととなります。2割特例・3割特例についても同様の措置が予定されています。
事業者への支援策
農林漁業者には資金繰り支援を行うほか、本則課税への移行が困難な簡易課税・免税事業者には、個別の売上高を踏まえた給付制度を設ける方針です。食品・外食事業者への資金繰りや省力化支援、本則課税移行時の相談対応や税理士費用等、レジシステム改修への支援も予定されています。
おわりに
今回の制度は、家計の負担軽減に加え、飲食料品を扱う事業者の消費税計算や資金繰りにも影響します。現時点では大綱決定の段階であり、詳細は今後明らかになる予定です。対象となる事業者は、制度動向を確認しながら、自社への影響を早めに検討することが重要です。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

2026年度最低賃金改定の対応
最低賃金の改定は、物価上昇や人手不足といった経済環境を背景に、近年ますます注目を集めています。2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金は、全国平均・都道府県別いずれにおいても大幅な引き上げとなり、10月1日から一部地域で適用が始まっています。企業の人事・労務担当者にとって、対応すべき事項に漏れがないか、今一度確認が必要となります。本稿では、改定状況の確定内容とともに、企業が今すぐ確認すべきポイントをご案内します。
改定の内容
厚生労働省は令和8年9月、中央最低賃金審議会の目安を踏まえて各地方審議会が答申した地域別最低賃金額を取りまとめました。改定額の全国加重平均は1,177円(前年度1,121円)で、56円の引き上げとなり、昭和53年度以降で2番目の上昇幅です。
47都道府県すべてで引き上げられ、額は都道府県により54円から65円まで幅があります。東京都は1,226円から1,280円、神奈川県は1,225円から1,279円、大阪府は1,177円から1,231円になります。最高額と最低額の比率は84.8%(前年度83.4%)となり、地域間格差は12年連続で改善しています。
発効日は都道府県ごとに異なり、すでに一部の地域で適用が始まっています。10月1日発効は東京都・神奈川県・大阪府・埼玉県・千葉県・愛知県・兵庫県・北海道など15都道府県で、これらの地域ではすでに新賃金額の適用が始まっています。残る32県は10月中旬から順次発効し、岩手県・熊本県は12月1日、沖縄県は12月2日と、12月までずれ込む地域もあります。自社の事業所がある都道府県の発効日は、各都道府県労働局の官報公示により確定していますので、必ず個別にご確認ください。
企業への影響・留意点
今回の引き上げは、パート・アルバイト・契約社員を中心に人件費増加を直撃することが想定されます。最低賃金付近で雇用している事業所では、シフトや勤務時間の組み方、固定残業代や各種手当の水準を含め、給与体系全体を再点検する必要があります。
月給者についても、精皆勤手当・通勤手当・家族手当、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)、臨時に支払われる賃金、時間外・休日・深夜の割増賃金を除いた金額を時間額に換算し、最低賃金を下回っていないか確認が必要です。また、求人票や雇用契約書の時給表示、就業規則・賃金規程の水準もあわせて見直しておく必要があります。
おわりに
2026年度の最低賃金改定は、企業にとって人件費負担の増加という側面がある一方、従業員の生活安定や人材確保に資する契機ともなり得ます。すでに発効している地域では給与計算が正しく切り替わっているかを、これから発効する地域では発効日までの準備状況を、それぞれご確認ください。制度対応や実務面でご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

外国人の代表取締役就任登記と署名証明書
2015年3月以降、代表取締役の全員が日本に住所を有しない株式会社の設立の登記及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記について法務局が申請を受理する取扱いとなったことにともない、現在では代表取締役全員が外国人という株式会社も珍しくはありません。取締役会設置会社に代表取締役が就任(重任を除く、以下同じ)したとき、取締役会非設置会社に取締役が就任したときの登記申請には当該取締役につき、日本の市区町村長の作成した印鑑証明書の添付が求められるところ、日本に住所を有していない外国人は署名証明書(署名が本人のものであることについて本国官憲が作成した証明書)をもってこれに代えることができます。
具体例
国籍がアメリカ合衆国のA氏が取締役会設置会社である株式会社の代表取締役に就任する登記において、法務局へ提出するA氏の署名証明書は、A氏がアメリカ合衆国に居住しているのであればアメリカ合衆国のNotary Public(公証人)に認証された署名証明書が一般的です。署名証明書の内容としては登記手続き上、少なくともA氏の住所、氏名、生年月日、国籍、本人の署名に相違ない旨の記載があると良いかと思います。
日本にいる場合
A氏が日本にいる場合、日本の印鑑証明書を取得できるのであれば当該印鑑証明書を登記に使用することができます。
日本に住所がない場合は、駐日アメリカ合衆国大使館又は領事館において認証された署名証明書を登記に使用することも可能です。
第三国に居住している場合
A氏が韓国に居住しているときは、駐韓アメリカ合衆国大使館で取得した署名証明書を登記に使用することができます。韓国では日本同様に行政機関が印鑑証明書を発行していますが、韓国の行政機関はA氏の本国官憲に当たりませんので、韓国の行政機関が発行する印鑑証明書は、下記のやむを得ない事情がある場合に該当しない限り登記に使用することができません。
国籍が韓国
大韓民国に居住する国籍が大韓民国のB氏は、大韓民国の行政機関が発行する印鑑証明書を登記に使用することができます。B氏が日本の印鑑証明書を取得することができる場合は、日本の印鑑証明書を登記に使用することも可能です。なお、登記簿に記録する代表取締役の住所は登記申請書に添付する印鑑証明書と同じ住所となります。
やむを得ない事情がある場合
国籍がX国であるC氏が、居住しているY国において本国官憲の署名証明書の取得ができないやむを得ない事情がある場合は次の署名証明書の添付が許容される場合があります。
1.Y国官憲が作成した署名証明書
2.Y国の公証人が作成した署名証明書
3.日本の公証人が作成した署名証明書
やむを得ない事情の一例としては、Y国にあるX国の大使館が署名証明書の認証を取り扱っていないようなケースであり、この場合は上記123のいずれかの署名証明書に加えて上申書の提出も求められます。
【今月のサービスPickup】
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後継者問題や成長戦略、経営資源の選択と集中など、M&Aはさまざまな経営課題の解決手段となります。会計・税務・法務の専門家が一体となったワンストップ体制で、経営者の想いと企業価値を次世代へつなぐお手伝いをします。
