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防衛特別法人税とは?2026年に始まる新税制の仕組みと企業への影響を解説

防衛特別法人税とは?2026年に始まる新税制の仕組みと企業への影響を解説

会計・税務
2026年9月29日

2026年4月1日以後に開始する事業年度から、「防衛特別法人税」という新たな税制度が適用されます。防衛特別法人税は、日本の防衛力を強化するために必要となる財源を継続的に確保する目的で創設された税金です。法人税が課される法人に対し、法人税額を基礎として追加の負担を求める仕組みとなっています。

本記事では、防衛特別法人税の制度概要、計算方法、申告実務・企業経営・会計実務への影響と注意点を解説します。

1. 防衛特別法人税とは

防衛特別法人税とは、防衛力強化に必要な財源を確保するため、法人税額を基準として追加的に課される税金です。2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

一般的な法人税は、企業の所得金額をもとに税額が計算されます。一方、防衛特別法人税は所得へ直接税率を掛けるのではなく、「基準法人税額」を計算の基礎とする点に特徴があります。したがって、企業の利益に対して単純に4%の税金が追加される制度ではありません。法人税の計算を行ったうえで、その税額をもとに防衛特別法人税を算出します。
また、通常の内国法人では、法人税・地方法人税の申告書と一体となった「別表一次葉一」で防衛特別法人税を申告します。防衛特別法人税額が0円であっても当該別表の提出が必要です。

2. 防衛特別法人税の制度概要

防衛特別法人税の主な内容は、次のとおりです。

項目内容
適用開始2026年4月1日以後に開始する事業年度
納税義務者法人税を課される法人
課税標準基準法人税額から基礎控除額を差し引いた金額(課税標準法人税額)
税率4%
基礎控除額年500万円
  •  なお、基準法人税額は、所得税額控除や外国税額控除などを適用しないで計算した法人税額です。そのため、基準法人税額と最終的な法人税の納付額は異なる場合があります。
  • このほか、制度の適用に当たっては次の点にも注意が必要です。
  • 税額がゼロでも別表(次葉)の提出が必要。
  • 事業年度が1年未満の場合、基礎控除額は月数に応じて按分します。
  • グループ通算制度では、500万円を各通算法人に配分し、各法人がそれぞれ500万円を控除できるわけではありません。

3. 防衛特別法人税の計算方法

防衛特別法人税は、原則として次の計算式によって求めます。
(基準法人税額-500万円)×4%
基準法人税額が500万円以下の場合には、控除後の金額が生じないため、原則として防衛特別法人税は発生しません。

なお、基準法人税額は、通常の法人税額を基礎としつつ、所得税額控除や外国税額控除など一定の税額控除を適用しないものとして算定します。

防衛特別法人税の額は、この基準法人税額から基礎控除額を差し引き、4%を乗じて計算します。その後、法人税や地方法人税で控除しきれなかった外国税額がある場合などには、防衛特別法人税から一定の税額控除を適用します。

例えば、ある法人の基準法人税額が3,000万円であった場合、税額は次のように計算します。

まず、基準法人税額3,000万円から基礎控除額500万円を差し引きます。
3,000万円-500万円=2,500万円
続いて、控除後の2,500万円に4%を掛けます。
2,500万円×4%=100万円
このケースにおける防衛特別法人税額は、100万円です。

基準法人税額が大きくなるほど、基礎控除額500万円の影響は相対的に小さくなります。そのため、法人税負担の大きい企業ほど、防衛特別法人税による追加負担も増加することになります。

また、防衛特別法人税は、最終的な法人税の納付額を基礎として計算するものではありません。このため、一定の税額控除(所得税額控除など)によって法人税の納付額が0円または少額となっても、防衛特別法人税が生じ、法人税の納付額を上回る場合も想定されます。

4. 防衛特別法人税による企業への影響

防衛特別法人税の導入によって企業に生じる最も直接的な影響は、法人にかかる税負担の増加です。もっとも、基準法人税額から年500万円を控除できるため、法人税額が比較的小さい企業については、追加負担が生じない場合があります。この点から、中小規模の法人への影響は一定程度抑えられると考えられます。一方、基準法人税額が大きい企業では、控除後の金額も大きくなるため、追加納税額が増加します。これまで日本では法人実効税率の引下げが進められてきましたが、防衛特別法人税の導入により、対象となる企業の実質的な税負担率は上昇することになります。

上場企業においては、投資家や株主への説明も重要です。新税制が当期純利益や将来キャッシュフローにどの程度の影響を及ぼすのかを把握し、必要に応じて業績予想や開示資料へ反映することが求められるでしょう。

また、グループ通算制度を採用している企業グループでは、個々の法人だけでなく、グループ全体への影響を分析する必要があります。

5. 税効果会計に及ぼす影響

税効果会計とは、会計上の利益と税務上の所得の認識時期のずれなどを、将来の税負担まで見込んで財務諸表に反映する会計処理です。防衛特別法人税は、税効果会計の対象となる税金に含まれ、法定実効税率にも反映されます。そのため、防衛特別法人税が課される事業年度以後に解消すると見込まれる一時差異については、防衛特別法人税率を考慮した税率により、繰延税金資産または繰延税金負債を測定する必要があります。

特に注意したいのが、年500万円の基礎控除の扱いです。実際の防衛特別法人税額の計算では基準法人税額から年500万円を控除しますが、企業会計基準委員会(ASBJ:Accounting Standards Board of Japan)が示す法定実効税率の算式では、この500万円の基礎控除は考慮しません。

経理・財務担当者は、決算時に慌てて対応することがないよう、監査法人や税務専門家とも相談しながら、事前に会計処理への影響を整理しておくことが望まれます。

6. 実務上確認しておきたい事項

まず確認したいのは自社の適用初年度です。対象となるのは2026年4月1日以後に「開始する」事業年度であり、3月決算法人は2027年3月期、12月決算法人は2027年12月期から適用されます。

次に、基準法人税額をもとに追加税額の概算を確認します。ここでいう基準法人税額は、所得税額控除や外国税額控除など一定の税額控除を適用しないで計算するため、法人税の最終的な納付額とは必ずしも一致しません。追加税額の規模を把握し、必要に応じて予算や納税見込みに反映しておくとよいでしょう。

7. 申告・計算上の注意点

防衛特別法人税の申告は、法人税・地方法人税と一体の様式で行います。別表一に続く「別表一次葉一」に防衛特別法人税の計算欄が設けられており、防衛特別法人税額が0円の場合でも、この次葉の提出が必要です。
なお、防衛特別法人税についての中間申告は、2027年4月1日以後に開始する課税事業年度から開始されます。

また、防衛特別法人税は仕組み自体は複雑ではありませんが、計算上は、特に次の2点を押さえておくと理解しやすくなります。

①「法人税率が4%上がる」わけではない

4%は企業の所得に直接加算される税率ではありません。原則として、基準法人税額から基礎控除額(500万円)を差し引いた「課税標準法人税額」に4%を乗じます。したがって、法人税等の税率が単純に4%増加するという制度ではありません。

② 500万円は「所得から差し引く控除」ではない

年500万円の基礎控除は、課税所得から差し引くものではなく、基準法人税額から差し引きます。例えば、課税所得が500万円以下なら防衛特別法人税が必ず0円になる、という意味ではありません。なお、課税事業年度が1年に満たない場合は、500万円を12で除し、その事業年度の月数を乗じた金額が基礎控除額となります。

8. まとめ

防衛特別法人税は、防衛力強化に必要となる財源を安定的に確保するために設けられた新しい税制度です。2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用され、基準法人税額から年500万円を控除した金額に4%を掛けて税額を計算します。基準法人税額が500万円以下であれば、原則として防衛特別法人税は発生しません。そのため、法人税額が比較的小さい企業への影響は抑えられる一方、基準法人税額が大きい企業ほど追加負担も大きくなる仕組みです。

制度の導入は、単に納付する税金が増えるだけの問題ではありません。企業の最終利益、納税資金、投資計画、予算管理、税効果会計、業績予想など、幅広い実務に影響を及ぼす可能性があります。経理・財務担当者は、自社の適用開始年度を確認するとともに、将来の利益計画をもとに税額を試算し、必要な資金や会計処理を早めに検討しておくことが重要です。

制度の詳細や実務上の取扱いについては、今後公表される情報も確認しながら、必要に応じて税理士などの専門家へ相談し、適切な対応を進めましょう。

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