外国人を雇用する際に注意が必要な不法就労と不法就労助長:不法就労助長にならないための対策とは
2023年12月13日
日本で就労する外国人は、出入国管理及び難民認定法(入管法)が定めるルールに従う必要があります。このルールに違反した就労活動を不法就労と呼びます。
不法就労は法律で禁止されており、不法就労した外国人本人に加えて、不法就労させた事業主も不法就労助長罪として3年以下の懲役または300万円以下の罰金など処罰の対象となります。
そのため、外国人を雇用する事業主や人事担当者は「どういったケースが不法就労になるか」「不法就労に関わらないためにどんな対策があるか」を知っておく必要があります。本記事では、不法就労や不法就労助長について詳しく説明いたします。
不法就労となるケースとは
不法就労となるのは以下の3つのケースです。
(1)不法滞在者等が働くケース
外国人が在留資格を持たずに滞在したり、在留期間を経過して滞在したりしている場合は、不法滞在となります。そうした不法滞在者等が就労するケースがこれに当たります。具体的には、密入国した人やオーバーステイの人が働くといった場合です。
(2)出入国在留管理庁(入管)から働く許可を受けていないのに働くケース
在留資格には就労可能なものと就労不可なものがありますが、就労不可の在留資格を有する人が就労するケースがこれに当たります。具体的には、観光等の目的で入国した人(在留資格は「短期滞在」)が働く場合や、留学生(在留資格は「留学」)が許可(※)を受けずに働く場合です。
(※)留学生は資格外活動の許可を受けることで、1週について28時間以内の就労が可能になります。
(3)入管から認められた範囲を超えて働くケース
一定範囲に限って就労できる在留資格がありますが、この範囲を超えて就労するケース等がこれに当たります。
具体的には、語学学校の先生として働くことを認められた人が工場等で単純労働者として働く場合です。また、(2)の(※)に記載した許可を取得した留学生が、許可された時間数を超えて働く場合も本ケースに該当します。
不法就労助長にならないための対策
雇用者が不法助長の罪に問われないようにするためにも、外国人を雇用する際にはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
(1)必ず在留カードの現物を確認する
雇用者が外国人を雇用する際、在留カードで身分確認を行うことになります。不良外国人は、正規滞在と偽るための身分証明書として偽造在留カードを利用します。そのため、コピーではなく、必ず現物を確認するようにしてください。
(2)偽造在留カードの対策をする
入管は偽造在留カード対策として、パソコンやスマートフォンに対応した「在留カード等読取アプリケーション」を無料で提供しています。このアプリケーションを使うことで、容易に偽変造の有無を確認することができます。また、入管の「在留カード等番号失効情報照会」というウェブサイトではカード番号が失効していないかを確認できます。ただし、実在する番号を悪用した偽造在留カード等も存在するため、上のアプリケーションの活用が望まれます。
アプリケーションを活用できない場合は、在留カードを傾けたり透かしたりすることでカード自体に施された偽変造防止対策を活用します。
偽造在留カード対策については、入管が提供する以下の資料や動画をご参照ください。
・(資料)「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方
・(動画)「事業主のみなさま,不法就労の防止にご協力ください!」
(3)在留カードの確認ポイント
在留カードを確認する際には次の2点を必ず確認してください。
①在留カード表面の「就労制限の有無」欄
代表的な記載内容 | 確認事項 |
---|---|
就労不可 | 原則就労できないが②を確認 |
在留資格に基づく就労活動のみ可 | 業務の内容が在留資格で認められた範囲内に含まれるか確認 |
指定書により指定された就労活動のみ可 | 業務の内容が指定書に記載された範囲内に含まれるか確認 。指定書はパスポートに添付 |
②在留カード裏面の「資格外活動許可」欄
①で「就労不可」の人であっても、本欄に次のような記載があれば就労可能です。
代表的な記載内容 | 確認事項 |
---|---|
許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く。) | 複数のアルバイト先がある場合、その合計が週28時間以内か確認します。 |
許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動) | 資格外活動許可書の内容を確認します。 |
おわりに
不法就労者と知らずに雇用したとしても、在留カードの確認を怠ったなどの過失があった場合、事業主は不法就労助長罪として処罰の対象となります。また、不法就労者の雇用が発覚した場合、消費者・取引先等からの信用を失い、企業イメージは大きく損なわれます。外国人を雇用する際は、在留カード等をよく確認し雇用可能か判断してください。
もし外国人の雇用に関してお困りのことがございましたら、外国人雇用のトータルサポートを実施している弊社までお気軽にお問い合わせください。