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池田 孝太 Kota Ikeda

この記事の著者

池田 孝太 Kota Ikeda

コンサルタント  / 申請取次行政書士

JETRO(ジェトロ)の目的・業務内容と対日投資促進のための活動とは

2023年5月16日

皆さんも一度はJETRO(ジェトロ)という名前を聞いたことがあるかもしれません。特に経済や投資に関して詳しい方はご存知でしょう。詳しく知らないという方でもテレビのニュース番組などで聞いたことがあるかもしれません。

日本企業が海外に進出する際にはJETROに相談する企業が多くあります。一方で、日本に進出を検討している外資系会社の多くもJETROに相談に行くことがあります。JETROに相談に行った後にRSM汐留パートナーズに相談にいらっしゃるというお客様もおります。そういった意味で、アウトバウンド(海外進出)・インバウンド(日本進出)の両方の相談窓口でもあります。

こちらのページでは、このJETROについてのご紹介です。

JETROって一体どのようなものなのか?

(1) JETROとは?

JETROは、独立行政法人日本貿易振興機構です。Japan External Trade Organizationの頭文字をとってJETROと呼ばれている独立行政法人で、目的は日本の貿易や、日本、海外の企業への投資を促進させ、日本経済や社会に貢献することが目的とされています。

そのために、海外にいくつかの支部を持ち、主要な貿易国として発展途上国を研究しています。独立法人としてのJETROの歴史は2003年からとまだ浅いのですが、前進となったのは財団法人海外市場調査会という大阪の財団法人で、その歴史は1951年から活動実績のある法人です。

所管は経済産業省で、本部は東京にもありますが、前述したように前進となった財団法人は大阪で発足された影響から、大阪にも本部が設置されています。

JETROは東京都港区と大阪府大阪市に本部を構え、2020年5月現在日本国内には51の事務所、そして海外には54カ国に74の事務所を構えて業務を行なっています。またJETROで働く人は国内で約1,000名、海外で約700名とその合計は1,700名を超えています。

(2) JETROの業務内容とは?

JETROの業務内容は、日本企業の海外進出の支援、対日投資や外資系企業の誘致の促進、農林水産物の海外輸出の促進、そして、海外市場の研究です。日本企業の中でも中小ではまだまだ海外とのコネクションを持っていない企業や、ノウハウを全く知らない企業も少なくはありません。そこで、JETROが持っている外資系企業とのコネクションや進出のためのノウハウを生かし、日本企業の海外進出を支援しています。

もちろん、そのためにも海外では市場の研究ばかりではなく、いかに日本の製品に興味を持ってもらえるか、または日本の企業に興味を持ってもらって出資してもらえるか、手を組んでもらえるのか、海外でセミナーを行うなどして、日本の様々なことをプレゼンしています。

(3) JETROの存在意義は?

JETROに関わることで、忘れてはならないのがその存在意義です。活動内容などは中小企業であったり、農林産業に関わることがほとんどなので、もうすでに海外とのコネクションを持っていたり、海外での活動が滞りなく行える企業からすれば、JETROは必ずしも必要ではありません。そのようなJETRO不要論を囁く背景には、競争においてJETROが目の上のたんこぶでもあると言えるのでしょう。

しかし、JETROがあるために、これまでに日の目の見なかった企業に日の目が当たり、活性化し始め、貿易による利益を上げられるようになり始めているので、十分な存在意義はあります。JETROの目的は自分たちの利益ではなく、関わった日本企業や外資系企業の活動を活発化させて、それらに利益を与えることですので、JETROの存在による経済効果は十分にあると言えるでしょう。

JETROが対日投資を促進するために行っている活動

(1) 対日投資は日本経済の活性化に必要な要素

JETROの主な活動の一つとして、対日投資の促進が挙げられます。現在、日本での投資家による投資は、大手企業や外資系企業に集中しており、地方にある中小企業への投資は縮小傾向にあります。しかし、このような地方、都市部を含めた中小企業に十分な資金が回るようにならないと、日本経済の活性化の糸口を掴むことはできません。そこで、JETROは日本のこれらの十分な資金が巡っていない企業に対しての投資を増やすためにも、外資系企業の誘致を行いながらも、対日投資を増やすようにしています。

(2) ネットワークを利用した対日投資の促進

JETROはもともと海外での市場研究を行っていた財団法人が前進となっているので、他の企業には無い外資系企業との強いネットワークがあります。そのため、外資系企業に対する活動の経験が豊富なスタッフが揃っているので、その専門スタッフを通して、新たな対日投資案件を探り出し、さらには様々な企業との関わりを生かし、日本企業に興味を持っている外資系企業への情報提供や個別コンサルテーションも行っています。また、ネットワークは日本企業にもあり、特に海外誘致を活性化したい地方自治体などには弁護士などを通し、お互いに情報を交換し、目的の合致する企業を探り当て、対日投資にまで繋げると言った活動を行っています。

(3) 日本企業の情報発信

日本企業に興味を持ってもらうためには、何よりもPRが欠かせません。そこで、JETROは海外の主要都市に持っている支部を通し、シンポジウムやセミナーを開催し、投資家や外資系企業へ向けて、日本の魅力や日本企業に投資をすることのメリットなどをPRする活動を行っています。もちろん、PRのためにも有効活用しているのが、インターネットです。 Investing in Japanというウェブサイトを立ち上げ、日本企業に投資をする上で欠かせない情報をこちらで提示し、誰でも閲覧できるようにし、幅広い海外の投資家や企業からの対日投資を促しています。

(4) 立ち上げや運営

さらにJETROの活動の中には、政府が設置したアジア拠点化立地推進事業費補助金への積極的な運営を行っており、アジアからの対日投資を増やすための活動も行っています。また、新たに対日投資促進本部の立ち上げも行っており、政府も含めた外資系企業との会合も行い、対日投資を促すためにはどのようにすべきかを国内外から意見を交換し、そのための問題点を浮き上がらせるなどの活動も行っています。このようにJETROは多方面からの対日投資の促進を行っているのです。

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