商業登記関係 募集株式の発行の払込期間中に、総数引受契約の締結→出資の履行をする
募集株式の発行と払込期間
非公開会社が募集株式の発行をするときは、株主総会の決議において「募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間」を定めます(会社法第199条1項4号)。
募集株式の発行手続きについては、こちらの記事をご確認ください。なお、本ページも第三者割当を前提としています。
金銭の払込み期日又はその期間のどちらを採用するかは会社の決めの問題となりますが、出資者と契約をするタイミングによって会社法上の手続きに不備が生じないよう注意が必要です。
申込み+割当て方式
申込み+割当て方式の場合、払込期日の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集株式の数を通知しなければなりません(会社法第204条3項)。
払込期間を定めた場合は、払込期間の初日の前日までに当該通知が必要です。
そのため、払込期間の初日が到来した後は、新たに割り当てる募集株式の数を通知することはできません。
総数引受契約方式
総数引受契約方式の場合、申込み+割当て方式の規定が適用されません(会社法第205条1項)。
払込期間の初日の前日までに割り当てる募集株式の数を通知したり、払込期間の初日の前日までに総数引受契約を締結することは、会社法上求められていることではないことになります。
株主総会の決議(取締役会の決議) → 払込期間の初日の到来 → 総数引受契約の締結→出資の履行 → 払込期間の満了 という時系列でも、登記手続きは問題ありません。
一部の投資家との契約締結が遅れそうであったり、他の出資者の出資履行日に関わらずどうしても出資履行日=増資日=株主となる日としたい事情がない限り、払込期間ではなく払込期日で定めた方が無難であることが多いかと個人的には思います。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。