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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

既に発行された新株予約権の内容を変更する手続きと登記

発行済み新株予約権の内容を変更する

既に発行された新株予約権の内容を変更することも可能とされています。

例えば、新株予約権の行使期間を伸長又は短縮、行使条件の変更、取得条項の変更が該当します。

当初新株予約権を発行するときは●●の達成を行使条件としていたけれども、その達成までにもう少し時間がかかりそうなので行使期間を伸長する、その達成が不可能となりそうだが当該新株予約権の行使ができるようにしたいというようなケースがあるでしょうか。

なお、税制適格ストックオプション・税制非適格ストックオプションについては、会社法上はその内容が変更できるとしても、税法上で想定通りの結果となるのかは顧問税理士の先生に確認の上、手続きを進められるのがよろしいかと思います。

新株予約権の数の増加

第1回新株予約権を100個発行している株式会社が、当該第1回新株予約権を追加で50個発行したいというニースがあるかもしれませんが、割当日が異なれば別の新株予約権となりますので、既発行の新株予約権を追加発行しその個数を150個に増やすということはできません。

その場合、割当日の異なる同じ内容の新株予約権に別の名称を付けて発行することになるでしょう(同じ第1回新株予約権という名称とすることも可能ではありますが、特定方法が面倒ですので別の名称とすることが一般的です。なお、税制適格ストックオプションの場合は各新株予約権ごとにその要件にお気を付けください)。

また、株式分割と異なり、新株予約権の分割という制度はありませんので、新株予約権の個数が増加することは原則としてありません。

本当は第1回新株予約権を150個発行していたけれども、誤ってそれを100個と登記してしまったようケースであれば、更正登記をすることで100個から150個に更正できるかもしれませんが、あくまでそのような事実があることが前提となります。

新株予約権の行使又は消滅等による変更

新株予約権を行使、新株予約権が消滅等をすると発行済みの新株予約権の数やその目的である株式の数等が変わることがあり、株式分割をするとその目的である株式の数や行使価額が変わることがあります。

それらの手続きや登記については、次の記事をご確認ください。

≫新株予約権が行使されたことによる変更登記
≫新株予約権の行使不能と登記手続き
≫株式分割と新株予約権の登記内容の変更

新株予約権の内容を変更する

非公開者が発行済みの新株予約権の内容を変更するには、原則として次の2点が必要です。

  1. 当該新株予約権の発行を決議した機関にて、新株予約権の内容の変更を決議する。
  2. 当該新株予約権の新株予約権者全員の同意を得る。

非公開会社において、発行済みの新株予約権の内容を取締役会で変更して行使された新株発行が無効とされた事例もありますので(最判平成24年4月24日)、内容の変更手続きはご注意ください。

新株予約権の発行を決議した機関が取締役会であり、取締役会の決議によって当該新株予約権の内容を変更するケースでは、その変更後の内容が株主以外の者に特に有利なものであるときは、取締役会の決議だけでなく株主総会の特別決議による承認も必要とされています。

また、新株予約権の変更内容が当該新株予約権者に不利益とならない場合、当該新株予約権者の同意は不要とされていますが、不利益とならないことが明確なケースを除き、当該新株予約権者の同意を得ておくのが無難かと思います。

添付書類

株主総会の決議によって新株予約権の内容を変更した場合、当該登記申請の添付書類の一例は次のとおりです。

  1. 株主総会議事録
  2. 株主リスト
  3. 新株予約権者全員の同意書

新株予約権の目的である株式の種類を変更(普通株式→A種優先株式)する場合は、A種優先株式につき会社法第238条4項の定めがない限り、A種優先株主総会の株主総会議事録+その株主リストも必要となるでしょうか。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
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