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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式会社の募集株式の発行における募集事項等の通知内容

募集株式の発行と募集事項の通知

株式会社が募集株式の発行を行うときは、募集事項を株主総会で決議し、申込者に対して募集事項等を通知→引受けの申込み→募集株式の割当て→出資の履行と進めていきます。

第三者割当による募集株式の発行(申込み+割当て方式)の具体的な手続きは、こちらの記事をご確認ください。

≫第三者割当による募集株式の発行(増資)手続き

申込みをしようとする者への通知

株式会社は、募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知します(会社法第203条1項)。

当該通知には、次の事項を記載します。

  1. 株式会社の商号
  2. 募集事項
  3. 金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
  4. 上記に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
株式会社の商号

募集株式の発行を行う、発行会社の商号を記載します。

募集事項

募集事項は会社法第199条1項に列挙されており、金銭出資の場合における当該内容は次のとおりです。

  1. 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数)
  2. 募集株式の払込金額(募集株式1株と引換えに払い込む金銭)又はその算定方法
  3. 募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又はその期間
  4. 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項
金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所

金銭出資の場合、払込み先となる金融機関の口座情報を記載します。多くのケースでは、発行会社名義の金融機関の口座になるでしょう。

募集株式の発行に係る登記には、出資額の入金履歴のある発行会社の口座の写しが必要となるため、「払込みの取扱いの場所」を発行会社以外の口座とするときは、払込期日の末日までに発行会社の口座に出資金を入金しておきます。

上記に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

会社法第203条1項4号に規定する法務省令は会社法施行規則第41条であり、当該法務省令で定める事項は次のとおりです。

  1. 発行可能株式総数(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式の発行可能種類株式総数を含む。)
  2. 株式会社(種類株式発行会社を除く。)が発行する株式の内容として会社法第107条1項各号に掲げる事項を定めているときは、当該株式の内容
  3. 株式会社(種類株式発行会社に限る。)が会社法第108条1項各号に掲げる事項につき内容の異なる株式を発行することとしているときは、各種類の株式の内容(ある種類の株式につき同条第3項の定款の定めがある場合において、当該定款の定めにより株式会社が当該種類の株式の内容を定めていないときは、当該種類の株式の内容の要綱)
  4. 単元株式数についての定款の定めがあるときは、その単元株式数(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式の単元株式数)
  5. 次に掲げる定款の定めがあるときは、その規定
    イ 会社法第139条1項、第140条5項又は第145条1号若しくは第2号に規定する定款の定め
    ロ 会社法第164条1項に規定する定款の定め
    ハ 会社法第167条3項に規定する定款の定め
    ニ 会社法第168条1項又は第169条2項に規定する定款の定め
    ホ 会社法第174条に規定する定款の定め
    ヘ 会社法第347条に規定する定款の定め
    ト 会社法施行規則第26条1号又は2号に規定する定款の定め
  6. 株主名簿管理人を置く旨の定款の定めがあるときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
  7. 電子提供措置をとる旨の定款の定めがあるときは、その規定
  8. 定款に定められた事項(会社法第203条第1項第1号から第3号まで及び前各号に掲げる事項を除く。)であって、当該株式会社に対して募集株式の引受けの申込みをしようとする者が当該者に対して通知することを請求した事項
シンプルな通知書例(普通株式のみ発行している会社、金銭出資)
2022年12月10日
各位
東京都港区東新橋●丁目●番●号
株式会社汐留太郎
代表取締役 汐留太郎

募集事項等のご通知

2022年12月9日に開催された当社の臨時株主総会において決議された募集株式の発行の引受けの申込みに関する事項につき、下記のとおりご通知申し上げます。

  1. 株式会社の商号 株式会社汐留太郎
  2. 募集事項
     募集株式の数 1,000株
     募集株式の払込金額 1株につき1,000円
     払込期日 2022年12月15日
     増加する資本金の額 会社計算規則第14条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果1円未満の端数が生じたときは、その端数を切り上げるものとする。また、増加する資本準備金の額は、当該資本金等増加限度額から増加する資本金の額を減じた額とする。
  3. 払込みの取扱いの場所 ●●銀行 ●●支店 普通口座 0123456 カ)シオドメタロウ
  4. 発行可能株式総数 1,000,000株
  5. 株式の譲渡制限 当会社の発行する株式の譲渡による取得については、株主総会の承認を要する。
  6. 相続人等に対する売渡請求 当会社は、相続、合併その他の一般承継により当会社の譲渡制限の付された株式を取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。
以上
総数引受契約方式

上記は申込み+割当て方式の方法で募集株式の発行を行う場合であり、総数引受契約の場合は会社法第203条及び同法204条の規定は適用されません(会社法第205条1項)。

そのため総数引受契約方式の場合は、会社法第203条1項の通知をすることは必須ではありませんが、総数引受契約書には同程度の当該通知の記載事項と同程度の内容を記載しておくのが、後のトラブルを防ぐために良いかと思います。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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