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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

【相談事例】電子署名がされた添付書面情報を用いて役員重任の登記申請をしたい(完全オンライン申請)

商業登記と完全オンライン申請

商業・法人登記の申請は、次の方法によってオンライン申請をすることが可能です。

特にベンチャー企業においては、議事録その他書類を紙ではなくPDF(+電子署名)で保管していることが多く、それを登記に使用したいというニーズがあります。

オンライン申請をする場合は、申請用総合ソフト(法務省が提供する登記・供託オンライン申請システムで取り扱う手続の全てを行うことができるソフトウェア)又は民間事業者による登記・供託オンライン申請システムを利用するためのソフトウェアによって作成した申請書情報とその登記の申請に必要な添付書面情報とを登記・供託オンライン申請システムに送信してする必要があります。

≫商業・法人登記のオンライン申請について(法務省)

 

登記に使用可能な電子署名

オンラインで添付書面情報を送信する場合、添付書面情報には作成者の電子署名を付与する必要があります。

商業・法人登記申請の添付書面情報に使用できる電子署名は限られていて、こちらに列挙されています。
≫商業・法人登記のオンライン申請について 第3 電子証明書の取得(法務省)

ざっくりと分けると次のとおりです。

  • 会社実印の押印が必須なもの
     商業登記電子証明書、公的個人認証サービス電子証明書など
  • 認印でもOKなもの
     クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)、EU Advanced(ドキュサイン・ジャパン株式会社)など

後者の事業者電子署名型(立会人電子署名型)は普及している印象で、特にクラウドサインはよく利用されているイメージがあります。

よくご相談いただくものとして、DocuSign(not EU Advanced)がされたPDFは登記申請の添付書面情報として使用できないので注意が必要です。

登記申請の添付書類

ご相談いただいた事例は、定時株主総会(実開催)で取締役全員再任+取締役会(実開催)で代表取締役再任し、会計監査人が自動再任という内容で、この登記の添付書類は次のとおりです。

  • 定時株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 就任承諾書(株主総会に欠席した取締役)
  • 取締役会議事録
  • 登記委任状

株主総会議事録に法律上の押印等の義務はありませんが、定款に「議長及び出席取締役が署名又は記名押印する」とあればそれに従い、定款に特に規定がなければ議事録作成者が署名又は押印します(ここでは電子署名をします)。

事業者署名型電子署名で足りる添付書面情報

事業者署名型電子署名(ご相談いただいたケースではEU Advanced)で足りる添付書面情報は「1.定時株主総会議事録」「2.株主リスト」「3.就任承諾書」です。

また、次項にも記載していますが、商業登記規則第61条6項ただし書きを適用することにより「4.取締役会議事録(代表取締役以外の役員)」も事業者署名型電子署名で足ります。

いずれも、事業者署名型電子署名ではなく、商業登記電子証明書や公的個人認証サービス電子証明書などでもOKです。

商業登記電子署名書などが必要な書面情報

商業登記電子証明書など(ご依頼いただいたケースでは商業登記電子証明書)が必要な書類は「4.取締役会議事録」「5.登記委任状」です。

「4.取締役会議事録」は、出席役員全員が公的個人認証サービス電子証明書でもOKですが、商業登記規則第61条6項ただし書きにより、代表取締役が商業登記電子証明書、他の出席役員がEU Advancedという形にしました。

なお、みなし決議(会社法第370条)の場合は、代表取締役が議事録作成者として商業登記電子証明書を行えば、他の役員の電子署名は不要です。

また、本件は代表取締役の選定をしているので取締役会議事録に商業登記電子証明書などが必要となりますが、本店移転や株式分割などの登記に使用する場合は、全員がクラウドサインをしたものでも登記手続き上問題はありません。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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