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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

取締役、代表取締役の就任登記はその記載について確認事項が多い(俗字、旧氏併記、部屋番号等)

取締役、代表取締役の就任と登記

株式会社において取締役や代表取締役が就任したときは、その時から2週間以内に取締役の氏名(会社法第911条3項13号)、代表取締役の氏名及び住所(会社法第911条3項14号)を登記します(会社法第915条1項)。

クライアント側で取締役選任等の手続きを進めている場合、取締役、代表取締役の選任(選定)が有効に行われているか定款、株主総会議事録あるいは取締役会議事録を確認し、登記申請書を作成する段になって取締役の氏名や代表取締役の住所の記載について悩ましいことがあります。

取締役の氏名に関する表記

取締役の氏名について、次のような選択肢が生じることがあります。

  1. 俗字で登記するか、正字で登記するか
  2. 旧氏の申出(旧姓併記)をするか
  3. ミドルネームを記載するか
  4. 本名か通称名か、登記に使用できる漢字か
俗字で登記するか、正字で登記するか

取締役の氏名について、「高崎一郎」(仮名)を選任する旨の記載のある株主総会議事録と「髙﨑一郎」と記載されている住民票を受け取ることがあります。

この場合、「高崎一郎」「髙﨑一郎」「高﨑一郎」「髙崎一郎」いずれの表記でも登記をすることができます(議事録や就任承諾書の修正は不要です)。

氏名の表記は本人にとって大事な事項ですので、どの表記で登記するのか確認します。就任承諾書に記載された表記をご希望されることが多い印象です。

なお、株主総会議事録に記載された被選任者の氏名が「高崎一郎」であっても「髙﨑一郎」として登記することも可能であり、その逆も同様です。

旧氏の申出(旧姓併記)をするか

取締役は、その旧氏を登記簿に記録するよう申し出ることができます(商業登記規則第81条の2)。最近はこの申出をする機会が増えている印象です。

就任する取締役が旧氏の併記を希望する場合は、取締役の就任登記と同時に旧氏の申出を行います。なお、登記の申請時以外の申出をすることもできますので、取締役の就任登記が終わった後に旧氏の申出をすることも可能ではあります。

≫添付書面としての本人確認証明書及び旧氏の併記について(法務省)
≫【2022年9月1日以降】役員の氏名につき、併記可能な旧氏の範囲が拡大されます

ミドルネームを記載するか

新任取締役が外国籍の方の場合、ミドルネームを登記するかどうか、日本語表記をどうするかの確認が必要となります。

併せて、ファーストネームとラストネームの間を繋げて記載するか「・」で区切るかの確認も必要でしょうか。

中国籍の方の場合は特に、登記に使用できない漢字が氏名に用いられていないかも確認します。

本名か通称名か

取締役の氏名として通称名でも登記することができるところ、通称名で登記するのであれば住民票等に通称名が記載されている必要があります。

住民票や印鑑証明書のデータを見てから登記書類を作成するときはどの氏名で登記するか確認します。

≫取締役、監査役の氏名を通称名で登記

代表取締役の住所に関する表記

代表取締役の住所は2024年5月現在、登記簿の記載事項であるところ、住所をどこまで登記するかは選択肢があります。

印鑑証明書に記載されたとおりの住所を登記するケースが多いかと思いますが、次のように登記することも可能です。

住民票の記載
登記簿の記載
東京都港区新橋10丁目10番10号東京都港区新橋十丁目10番10号
東京都港区新橋10丁目10番10号新橋マンション101東京都港区新橋十丁目10番10号新橋マンション101

東京都港区新橋十丁目10番10号新橋マンション

東京都港区新橋十丁目10番10号
東京都港区新橋10丁目10番10-101号東京都港区新橋十丁目10番10-101号

東京都港区新橋十丁目10番10号 ※

※法務局によってはこのように登記できない可能性があります。

なお、2024年10月1日以降は一定の条件の下、登記簿に記載される代表取締役の住所を最小行政区画(東京都港区、さいたま市等)までとすることもできるようになりますので、確認事項が増えることになります。

≫代表取締役等住所非表示措置について(法務省)


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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