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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株主総会議事録・取締役会議事録への押印又は電子署名と登記の添付書面としての議事録等

株主総会議事録、取締役会議事録の作成義務

株主総会・取締役会を行ったときは、株式会社には、株主総会議事録・取締役会議事録(以下、合わせて「議事録等」といいます)を作成する義務があります。これは株主総会又は取締役会を開催した場合に限らず、書面決議(書面報告)を行った場合も同様です。

≫みなし株主総会(書面決議・みなし決議)-会社法第319条1項
≫みなし取締役会(みなし決議・書面決議)-会社法第370条

各議事録の作成根拠、議事録の記載事項は次のとおりです。みなし決議・報告は電磁的記録による同意でも行うことはできますが、ここではそれも含めて書面決議・書面報告としています。

作成根拠
記載事項
株主総会議事録(開催型)会社法第318条1項会社法施行規則第72条1項
株主総会議事録(書面決議型)会社法施行規則第72条4項1号会社法施行規則第72条4項1号
株主総会議事録(書面報告型)会社法施行規則第72条4項2号会社法施行規則第72条4項2号
取締役会議事録(開催型)会社法第369条3項会社法施行規則第101条3項
取締役会議事録(書面決議型)会社法施行規則第101条4項1号会社法施行規則第101条4項1号
取締役会議事録(書面報告型)会社法施行規則第101条4項2号会社法施行規則第101条4項2号

議事録等の作成者

議事録等の記載事項は上記の表のとおりですが、開催型の株主総会議事録、書面決議・報告型の株主総会議事録及び書面決議・報告型の取締役会議事録には「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」を記載しなければなりません。

一方で、開催型の取締役会議事録には「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」を記載することは必須ではないため、議事録作成者の記載のない取締役会議事録や、稀に役員以外の方が作成している議事録も見かけます。

各議事録への押印又は電子署名をする義務

各議事録への押印又は電子署名(以下、合わせて「押印等」といいます)をする義務は次のとおりです。ただし、次項以降のとおり定款の定めや登記手続き上の要請から押印等の義務が生じる場合がありますのでご注意ください。

押印等の義務がない場合でも議事録作成者が押印等をしているケースがほとんどではないでしょうか。

押印義務
根拠条文
株主総会議事録(開催型)
なし
株主総会議事録(書面決議型)
なし
株主総会議事録(書面報告型)
なし
取締役会議事録(開催型)
あり
会社法第369条3項
取締役会議事録(書面決議型)
なし
取締役会議事録(書面報告型)
なし

定款の定めに基づく押印等の義務

定款に議事録への押印等の義務が定められている場合はそれに従います。当該定款の定めの一例は次のとおりです。

第●●条 株主総会の議事については、開催の日時及び場所、出席した役員並びに議事の経過の要領及びその結果その他法務省令で定める事項を記載又は記録した議事録を作成し、議長及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし、株主総会の日から10年間本店に備え置く。
登記手続きにおける押印の義務

代表取締役又は(指名委員会等設置会社における)代表執行役を選定した議事録等には、商業登記規則第61条6項の要請により会社実印あるいは個人実印を押す必要が生じます。

≫代表取締役を選定した取締役会議事録に個人実印を押さなくても良いケース

代表取締役の選定方法が株主総会の決議による場合で、商業登記規則第61条6項ただし書きの適用がない場合、定款に出席取締役の記名押印義務がない株式会社であっても議長及び出席取締役の(個人実印による)押印が必要となります。

なお、代表取締役の就任登記ではなく株式分割等の登記で取締役会議事録を添付するのであれば、当該取締役会議事録は会社実印が押されていなくても登記手続き上の問題はありません。

登記手続きにおける電子署名の義務

取締役会議事録が電磁的記録をもって作成されている場合、当該議事録には出席取締役及び監査役が電子署名をします(会社法第369条4項、会社法施行規則第225条)。

電磁的記録で作成された議事録等を登記申請の添付書面とするときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を記録した電磁的記録を添付します(商業登記法第19条の2)。

電磁的記録で作成された議事録等には、その内容に応じて商業登記規則第36条4項で定める電子署名を施します。

代表取締役を選定した株主総会議事録を除き、押印がされていない株主総会議事録でも登記の添付書面としては足りますが、電磁的記録で作成された株主総会議事録を登記の添付書面とするときは商業登記規則第36条4項のいずれかの電子署名をする必要が生じます。

実務上よく見かける電子署名は、会社実印の押印が必要な書面には商業登記電子証明書であり、それ以外の押印で済む書面はクラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)やEU Advanced(ドキュサイン・ジャパン株式会社)です。

≫商業・法人登記のオンライン申請について【第3電子証明書の取得】

議事録作成者の電子署名

前述のとおり開催型・書面決議(報告)型の株主総会議事録作成者は取締役であり、書面決議(報告)型の取締役会議事録作成者も取締役です。

開催型の取締役会議事録は作成者が取締役に限られてはいませんが、仮に出席取締役又は監査役以外の人が議事録作成者となっていて、電磁的記録で作成された取締役会議事録を登記の添付書面とするときは議事録作成者の電子署名も求められます(商業登記規則第36条3項)。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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