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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

種類株式発行会社が特定の種類の株式についてのみ株式の分割をする

種類株式発行会社と株式の分割

種類株式発行会社(=剰余金の配当その他の会社法第108条1項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいいます(会社法第2条13号))も株式の分割をすることができます。

全ての種類の株式について等しく株式の分割を行うときの手続きはこちらです。
≫種類株式発行会社における株式分割の手続きと登記

株式の分割がされたときの調整式が種類株式の内容、あるいは新株予約権の内容となっているときは、株式の分割の登記と併せて種類株式・新株予約権の変更登記も併せて行います。

種類株式の残余財産優先分配額が1株につき100万円である内容である場合、当該種類株式が1株につき100株へ分割されたときは、調整式がある場合に限りその調整式に従い残余財産優先分配額が1株につき(一般的には)1万円に調整されます。

普通株式及びA種株式を既に発行している株式会社X(株券不発行会社)が、普通株式のみ株式の分割をするときの手続きは次のとおりです。

取締役会又は株主総会の決議事項

株式会社は株式の分割をすることができ(会社法第183条1項)、株式の分割をしようとするときは、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めます(会社法第183条2項)。

<会社法第183条2項>
一 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第三号の種類の発行済株式)の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
二 株式の分割がその効力を生ずる日
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類

株式会社Xが普通株式のみ株式の分割をするときは、一例として次のような議案となります。

第1号議案 次のとおり当社の株式を分割すること。

  1. 当社の普通株式を1株を100株に分割する(分割により増加する発行済株式数は●●株、発行済普通株式数は■■株)。
  2. 株式の分割に係る基準日:2025年12月31日
  3. 株式の分割がその効力を生ずる日:2026年1月1日
  4. 分割する株式の種類:普通株式
損害を及ぼすおそれのある株主への通知

株式会社が特定の種類の株主に損害を及ぼすおそれのある株式の分割をしようとするときは、株式の分割の効力発生日の20前までに、当該特定の種類の株主に対し、株式の分割をする旨を通知します(会社法第116条3項)。

この通知は、公告をもってこれに代えることができます(会社法第116条4項)。

種類株主総会の決議

種類株式発行会社が株式の分割をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じません(会社法第322条1項2号)。

そのため原則として、株式会社Xが普通株式のみ株式の分割をするときは、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議の他に、A種株式を有する株主(以下、「A種株主」といいます。)を構成員とする種類株主総会(以下、「A種種類株主総会」といいます。)の決議が求められます。

種類株主総会の決議を得ないで株式の分割ができる

種類株式発行会社は、ある種類の株式の内容として、前項の規定による種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができます(会社法第322条2項)。

株式会社Xの定款にA種株式の内容としてこの会社法第322条2項の定めが置いてある場合において、普通株式のみ株式の分割をするときはA種種類株主総会の決議が不要となります。

なお、種類株式を発行した後にこの定めを定款に置く場合は、当該種類株主全員の同意が必要です(会社法第322条4項)。

発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数の増加を伴う場合

株式の分割をした後の発行済株式数又は発行済種類株式数が、発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数を超えてしまうようであれば、株式の分割が効力を生ずる前に、発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数を変更しなければなりません。

株式会社(現に二以上の種類の株式を発行しているものを除く。)が取締役会の決議により株式の分割をするときは、株主総会の決議によらないで、当該株式の分割比率に応じた範囲内で発行可能株式総数を増加する定款の変更をすることができますが(会社法第184条2項)、株式会社XはA種株式を発行しているのでこの方法が採れません。

そのため株式会社Xが発行可能株式総数又は発行可能種類株式を変更するときは定款変更に係る株主総会の決議に加え(会社法第466条)、原則として、各種類株式に係る種類株主総会の決議を行います(会社法第322条1項1号)。

普通株式の発行可能種類株式総数のみ増加させる場合は、A種種類株主総会の決議が必要となりますが、普通株式を有する株主を構成員とする種類株主総会の決議は不要であると考えられます。

反対株主の株式買取請求

株式会社Xにおいて普通株式のみ株式の分割がされると、A種株主の持株比率は低下しますのでA種株主に対して損害を及ぼすおそれがあります。

種類株主に損害を及ぼすおそれがある株式の分割がされる場合、反対株主は、株式会社に対し、自己の有する当該各号に定める株式を公正な価格で買い取ることを請求することができます(会社法第116条1項)。

この反対株主とは、次に掲げる場合における株主をいいます(会社法第116条2項)。

  1. 株式の分割をするために株主総会又は種類株主総会を要する場合は、当該株主総会に先立って株式の分割に反対する旨を株式会社Xに対し通知し、かつ、当該株主総会において当該行為に反対した株主又は当該株主総会において議決権を行使することができない株主
  2. 株式の分割を取締役会の決議のみで行う場合は、すべての株主

上記の株式買取請求は、効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の種類及び種類ごとの数を明らかにして行います(会社法第116条5項)。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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