商業登記関係 2027年(令和9年)1月1日を効力発生日とする新設分割のスケジュール例
新設分割の効力発生日
新設分割設立株式会社は、その成立の日に、新設分割計画の定めに従い、新設分割会社の権利義務を承継します(会社法第764条1項)。
株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立しますので(会社法第49条)、新設分割による設立の登記をした日に新設分割の効力が生じることになります。
新設分割の手続きについてはこちらのページをご参照ください。
休日を会社成立の日とする
2026年(令和8年)2月2日以降、行政機関の休日を株式会社の成立の日(設立日)とすることもできるようになりました。
≫【2026年2月2日以降】株式会社等の設立日として土日祝日・年末年始も選択可能となります。
1月1日は行政機関の休日に当たりますので(行政機関の休日に関する法律第1条1項3号)、1月1日を新設分割の効力発生日とするのであれば、この設立の登記の申請の特例を使うことになります(商業登記規則第35条の4)。
設立の登記の申請の特例は、新設分割による設立登記もその対象です。
登記申請日
設立の登記の申請の特例における設立の登記申請日は、行政機関の休日を設立の日として指定する場合における当該指定日の前日の平日となります。
行政機関の休日が続くときは、その最初の休日の前日に登記申請をします。
「12月29日から翌年の1月3日までの日」は行政機関の休日に当たりますので、2027年(令和9年)1月1日を設立の登記の日とするのであれば、2026年12月28日に登記が受け付けられるよう申請しなければなりません。
2026年12月25日に、2027年1月1日を設立の指定日として登記が受け付けられたとしても、2027年1月1日を新設分割の効力発生日とすることができません。
指定登記日の記載を漏らさない
設立の登記の申請の特例の適用には、設立の登記申請書に、当該特例の適用を求める旨と設立の登記の日(=指定登記日)を記載します。
申請書にこれらの記載がない場合、2026年12月28日(申請日)がそのまま新設分割の効力発生日になってしまうものと思われます。
代表取締役住所非表示措置の申出を行う場合は、申請書にこの申出に関する記載も漏らさないようにしたいところです。
【要注意】登記申請の前日までに債権者保護手続きを終わらせる
設立の登記の申請の特例においては、登記の添付書面は申請日までに作成された書面を添付することになります。
そのため、2026年12月27日までに債権者保護手続きが終了していなければならず、加えて、2026年12月27日は日曜日であることにも注意が必要です。
期間の末日が日曜日である場合、期間は、その翌日に満了するためです(民法第142条)。
【要注意】新設法人が分割法人の商号を使用する場合
分割会社である株式会社Aが、新設分割により設立する株式会社の商号を株式会社Aとし、新設分割の効力発生と同時に分割会社の商号を株式会社Bとするケースがあります。
分割会社と新設会社の本店が同一本店に該当する場合、同一商号・同一本店の禁止により、1月1日に新設分割の効力を発生させることはできません。分割会社の商号変更登記は1月1日以降の平日においてしか申請することができないためです。
このようなケースにおいては、新設分割の効力発生日を2027年1月4日とすることが考えられます。
あるいは、株式会社Aの商号変更の効力発生日を2026年12月1日等とし、2026年12月1日に商号変更の登記申請をしておくことも考えられます(他社により、同一の場所に株式会社Aを作られる又は別の場所にあった株式会社Aの本店を移転される可能性は生じます)。この商号変更の登記が2026年12月28日までに終わらない場合は、新設分割の登記申請において株式会社Aの商号変更の登記審査中である旨を法務局へ伝えておいた方が良いものと思われます。
上記ケースにおいて同一本店に該当しない場合は、新設分割の効力発生日を2027年1月1日とする新設分割の登記を2026年12月28日に申請し、分割会社の商号変更の登記は2027年1月4日以降に申請します。
新設分割のスケジュール例
分割会社の公告方法が官報公告で、最終の計算書類に関する決算公告をしていない場合のスケジュール例です(債権者保護手続きが必要な場合)。
| 11月4日 | ・取締役会決議(新設分割計画の承認、株主総会の招集決定) ・官報公告の申込み | |
| 11月19日 | ・官報に分割公告・決算公告が掲載 ・債権者への個別催告 ・契約書等の事前備置 | |
| 12月1日 | ・株主総会招集通知 ・反対株主等への通知 | |
| 12月21日 | ・債権者異議申述期間満了 | |
| 12月25日 | ・株主総会決議(新設分割計画の承認) | |
| 12月28日 | ・新設分割による変更登記申請 | ・新設分割による設立の登記申請(登記指定日を2027年1月1日とする) |
| 1月1日 | ・事後備置書面の備置 | ・事後備置書面の備置 |
※分割型分割の場合は、株主総会で剰余金の処分についても決議します。
※簡易分割の要件に該当し、分社型分割である場合は株主総会の決議は必須ではありません。
※会社分割に伴う労働契約の承継がある場合は、それに関する手続きも必要です。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。





