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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

有限会社から株式会社への商号変更と株式の分割

有限会社から株式会社への商号変更

有限会社は、定款を変更してその商号中に株式会社という文字を用いる商号の変更をすることができ(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下、「整備法」といいます。)第45条1項)、この定款の変更は、その登記をすることにより効力が生じます(整備法第45条2項)。

≫有限会社から株式会社へ組織変更(商号変更)手続き

この商号変更は、ABC有限会社からABC株式会社にすることは必須ではなく、XYZ株式会社と変更することもできます(同一商号・同一本店の禁止に注意)。

また、株式会社への移行の登記申請日=商号変更の効力発生日において事業目的、公告方法、発行可能株式総数又は役員等の事項に変更が生じたときは、商号変更による株式会社の設立登記の申請書に変更後の事項を記載することが可能です(一部、本店移転等、別の登記申請(通常は連件申請)で行う必要がある事項もあります)。

加えて、商号変更による株式会社の設立登記においては代表取締役住所非表示措置の申出を行うこともできますのでこれを行うことも検討します。

有限会社と株式の分割

株式会社と同様に、有限会社も株式の分割を行うことができます。

有限会社の株主は少数の親族のみであることが多いため、株式の分割のニーズは高いものではありませんが、一例として次のようなケースで株式の分割が有用であることがあります。

  • 相続・事業承継対策として株式数を増加させる場合
  • 募集株式の発行をするため1株あたりの価格を調整する場合
  • 組織再編行為における合併比率等を調整する場合

株式の分割により1株あたりの価格を下げることができ、株式の譲渡を行いやすくなるというメリットや、商号変更後に吸収合併等の組織再編行為を予定しているときに、吸収合併等の対価として交付する株式に端数が生じないようあらかじめ調整しておくというメリットがあります。

株式の分割を商号変更時に行うのではなく、株式会社となった後に行うことも当然可能ではありますが、単独で株式の分割を行うと登録免許税3万円が別途かかってしまいます。

株式の分割をするときは、株式の分割後の発行済株式数が発行可能株式総数を超えないよう、株式会社へ商号変更をする際の定款変更において発行可能株式総数も変更しておきます。

有限会社から株式会社への商号変更と株式の分割の手続き

有限会社から株式会社への商号変更と同時に株式の分割を行うときは、株式会社への商号変更に係る定款変更の決議をする株主総会で、併せて(別の議案で)株式の分割についても決議するのがスムーズです。

≫有限会社から株式会社へ組織変更(商号変更)手続き
≫株式分割の手続きと登記(スケジュール例あり)

以下、任期の満了する取締役ABが再任する場合の株主総会の議案の一例です。

第1号議案 定款一部変更の件

商号をABC株式会社に変更するため、株主総会の特別決議によって定款の変更を行います。ここでは商号の他に発行可能株式総数の変更も行い、必要に応じて事業目的や公告方法その他の内容も行っておきます。

また、定款の附則に株式会社移行後の代表取締役を定めること、株式の分割に係る基準日を定めておくことが考えられます。

≫有限会社の特別決議は、株式会社の特別決議と要件が異なるというお話

第2号議案 取締役選任の件

取締役ABが変更後の定款で定める任期を当てはめたときに任期を満了しているときは、商号変更の効力発生時に任期満了により退任するため、取締役として再任します。

第3号議案 株式の分割の件

株式の分割をするため、有限会社が種類株式を発行していない場合、次の事項を決議します(会社法第183条)。

  1. 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
  2. 株式の分割がその効力を生ずる日

株式会社への商号変更の効力発生を条件に、株式の分割の効力が生じる旨を議事録に記載しておくと分かりやすいかと思います。

登記申請

特例有限会社の商号変更による株式会社設立登記と、特例有限会社の商号変更による解散登記を連件にて管轄法務局へ申請します。

特例有限会社の商号変更による株式会社設立登記における登記すべき事項のうち、発行済株式の総数は株式の分割後の株式数を記載します。

2026年2月2日以降、会社及び法人の設立登記について行政機関の休日を設立日と指定して申請することができるようになりましたが、特例有限会社の商号変更による株式会社設立登記は対象外ですので、いわゆる平日に申請をすることになります。

≫休日を会社等の設立の日とすることが可能になりました(法務省)


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記・不動産登記・相続手続き・遺言・成年後見など、
様々なサポートを行っております。


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