商業登記関係 会社が解散ではなく休業を選ぶとき
廃業と休業
会社を立ち上げて運営はしていたものの、諸事情により会社を休止するということもあります。
当該会社で今後事業を行っていく予定が無いのであれば廃業という方法をとることになります。株主総会で解散決議をして解散登記、清算人の登記を申請して、債権者保護手続き、解散時のBS等の承認・・・最後に清算結了登記を申請し、税務署に届け出をすることになります。
≫会社の清算手続き
それに対して、一旦事業は停止するけれども今後再開する予定であるときは休業という方法も選択できます。
今回は休業の手続きについて見ていきます。
休業する際の手続き
会社が休業するときは、税務署や自治体に対して「休業届(異動届出書)」を提出します。従業員を雇用していた会社は、年金事務所に対して「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」なども提出する必要があります。
休業中の税務申告
休業中は事業を行っていないため法人税はかかりません。ただし、法人住民税の均等割りは支払う必要がある可能性があります。法人住民税が免除になるのか、減免になるのか、免除されないのかは自治体によって運用に差があるようです。
休業中も確定申告は必要です。申告を忘れていると青色申告を取り消されてしまいます。
休業中の登記
休業自体に登記手続きは不要です。そのため登記簿上はその会社が休業しているのかどうか分かりません。
休業中であっても会社は存続しているため、役員の任期が満了すればその変更登記が必要となるのでご注意ください。
もちろん、変更の効力発生日から2週間以内に登記の申請をしなければ登記懈怠による過料を科される可能性もありますし、株式会社は最後の登記から12年間、一般社団法人は最後の登記から5年間ずっと登記の申請がなければ、休眠会社として扱われ解散の登記を職権で入れられてしまいます。
≫平成28年度休眠会社の整理
廃業ではなく休業を選ぶとき
廃業には全て自分で行った場合でも登記費用がかかります。具体的には、解散登記(3万円)、清算人の登記(9,000円)、清算結了(2,000円)となります。また、債権者保護手続きのために官報公告費用も3万円~4万円くらいします。
それに比べて休業は全て自分で行えば費用はかかりません。ただし、毎年の税務申告や何年か置きの役員変更登記は必要となります。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。