商業登記関係 平成28年度休眠会社の整理
休眠会社とは
休眠会社・休眠一般社団法人(休眠会社等といいます)とは、次のどちらかに該当する会社・法人をいいます。
- 最後の登記から12年を経過している株式会社 ※特例有限会社は除く。
- 最後の登記から5年を経過している一般社団法人・一般財団法人 ※公益社団、財団法人を含む。
株式会社のうち、非公開会社の役員の任期は10年まで伸長することができ、一般社団法人・財団法人の役員の任期の最大は4年であることから、しっかりと活動をしている会社・法人であれば、少なくともそれぞれ10年・4年経過後には役員変更の登記申請がされるはずであり、それがされ無いのであれば活動をしていないとみなしてそのような会社は解散をさせていくということです。
同じ人が役員をし続けていても再任は必要
1人オーナーでそのオーナーが1人で(代表)取締役をやっているような会社であっても、取締役の任期がくれば一度取締役を退任することになります。当該オーナーが取締役を続行するのであれば、株主総会で再度オーナー自身を取締役として選任する必要があり、任期満了による退任前後で同一人物が取締役になったときも取締役の重任(再任)登記をしなければなりません。
※登記申請は、効力発生日から2週間以内に行う必要があります。
任期を1日でも過ぎれば重任ではなく、退任・就任となります。
今後は毎年行われるらしい
法務省のHPによると、「全国の法務局では,平成26年度以降,毎年,休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行うこととしています。」とのことなので、おそらくこれからは毎年休眠会社等の解散登記をしていくのだと思われます。
役員の任期を10年にしている会社
平成18年5月1日に施行された会社法により、非公開会社は役員の任期を最大で10年まで伸長することができるようになりました。
役員の任期を10年としている会社は、本店移転など他の登記申請をしない限り、登記申請をしない期間が長くなり登記申請が必要であるという意識が薄れているかもしれません。
会社法施行時に役員の任期を10年とした会社は、ちょうど今年でそれから10年が経過しましたので、ご自身の会社登記簿と定款を確認してみてください。
平成28年度の、解散したものとみなされる期限
平成28年10月13日の時点で休眠会社等に該当する会社は、平成28年12月13日までに何かしらの登記(主に役員変更)を申請するか、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしないと、登記官により解散登記をされてしまいます。
法務局から通知がきたら
平成28年10月13日の時点の休眠会社等には、何もしないと解散したものとみなされるよという公告が行われた旨の通知が、管轄法務局から送られてきます。
当該通知が届いた会社は、平成28年12月13日までに対策をしないと解散登記が入ってしまうので、当事務所までご相談ください。
「まだ事業を廃止していない」旨の届出
役員・理事監事の任期が切れているため、本来はその選任・重任登記をする必要がありますが、諸事情によりその登記をしないのであれば、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしなくてはなりません。
上記法務局からの通知を利用し、郵送にて届出することもできます。
「まだ事業を廃止していない」旨の届出より登記申請を
「まだ事業を廃止していない」旨の届出をして今年はみなし解散を免れるかもしれませんが、来年また同じような状況になる可能性は高いかもしれません。
また、役員変更登記は効力発生日から2週間以内に登記申請をしなければならず、それを過ぎると過料に処せられる可能性があります。一般的には登記懈怠期間が長くなればなるほど、過料に処せられる可能性及び金額も高くなるかと思いますので、登記はできるときに早めに行っておくのがいいでしょう。
みなし解散後に、解散状態を解消したい
みなし解散の登記がされてしまった場合でも、その登記後3年以内であれば、株主総会の特別決議や社員総会の特別決議により、解散状態ではない状態に戻ることができます(継続の登記といいます)。
なお、この継続の登記も、株主総会等の決議によって効力が生じてから2週間以内に登記申請を管轄法務局へする必要があります。
継続の登記につきましては、こちらの記事をご参照ください。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。