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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

一般社団法人の社員になる方法と社員の権限はどのようなものか

一般社団法人の社員になるには

一般社団法人には必ず社員を1名以上置かなければならず、設立時には2名以上の社員が必要とされています。

社員が欠けた(1名もいなくなった)ことは、解散事由の一つです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第148条)。

※以下、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律のことを「法人法」といいます。

法人法上の社員は、正社員や契約社員等のことを指す従業員としての社員とは異なります。

法人法上の社員は株式会社における株主のように、社員総会(株主総会)での議決権の行使を通じて、一般社団法人の運営に大きな影響を与える存在です。

社員と会員の違い

一般社団法人において、社員と会員は原則として異なります。

社員は法人法上の権限(社員総会における議決権等)を有していますが、会員は定款や会員規定等によって定められた権利義務を有するのみです。

なお、会員に社員の権限を与えることも可能ですので、全ての会員を法人法上の社員とすることや、 「正会員」「賛助会員」「名誉会員」の3種の会員を置き、「正会員」をもって法人法上の社員とするような定め方をすることもできます。

≫会員を広く募る一般社団法人は、社員と会員を定款で明確に分けておく

社員の資格の得喪に関する定款の規定

どうすれば当該一般社団法人の社員になれるのか、どうすれば当該一般社団法人の社員の資格を失うのかは、定款の記載事項とされてます(法人法第11条1項)。

公証役場の提供している定款例の場合、次のような規定となっています。

(入社)
第5条 当法人の目的に賛同し、入社した者を社員とする。
2 社員となるには、当法人所定の様式による申込みをし、代表理事の承認を得るものとする。

≫【Ⅰ 一般社団法人定款記載例】<公証役場>

社員の資格の喪失については、下記「社員をやめるには」をご確認ください。

一般社団法人の設立時の社員になる

定款を作成し、役員等を選任して一般社団法人を立ち上げようとする(法)人が設立時社員となります。

一般社団法人を設立するときに、その社員になろうとする者(以下「設立時社員」といいます。)が、共同して定款を作成し、その全員がこれに署名し、または記名押印しなければなりません(法人法第10条1項)。

加えて、「社員の氏名または名称及び住所」は定款の記載事項とされていますので、定款に設立時社員の氏名等を記載をします(法人法第11条1項)。

一般社団法人の設立時は、社員2名以上が必要です。

一般社団法人の設立後の社員になる

一般社団法人の設立後に社員になるには、当該一般社団法人の定款の規定に従った入社条件を満たす必要があります。

一例として、次のように定款に規定されている一般社団法人に入社するには、当該法人規定の入社申込書を代表理事に提出して、理事会の決議によって承認をしてもらわなければなりません。

本法人の社員となろうとする者は、別に定める入社申込書を代表理事に提出し、理事会の承認を得なければならない。

NPO法人と異なり、一般社団法人においては原則として、社員の申込みがあったときはその人を必ず入社させなければならないという決まりはありませんので、全く面識のない人が社員になることは難しいことが多いかもしれません。

なお、社員が新しく入社した後は社員名簿に入社した社員の氏名(名称)と住所を記載しましょう。

社員をやめるには

定款に別段の定めがある場合を除き、社員はいつでも退社をすることができます(法人法第28条1項)。

定款に別段の定めがあるときでも、やむを得ない事由があるときは、社員はいつでも退社することが可能です(法人法第28条1項但書)。

また、次の事由の発生によって社員は退社します(法人法第29条)。

  1. 定款で定めた事由の発生
  2. 総社員の同意
  3. 死亡または解散
  4. 除名

社員の役割

設立時社員や設立後の社員には、それぞれ権限と責任を有しています。

社員総会における議決権の行使を通じて、社員は一般社団法人に対して大きな影響力を有しています。

設立時社員の権限

一般社団法人の設立時社員には次の事項を行う権限があります。

  • 定款の作成
  • 定款の閲覧の請求
  • 設立時役員の選任・解任

一般社団法人の設立時、少なくとも次の事項は定款に記載しなければなりませんので(法人法第11条1項)、社員は定款の作成を通じて当該法人の多くのことを決めることが可能となっています。

  1. 目的
  2. 名称
  3. 主たる事務所の所在地
  4. 設立時社員の氏名又は名称及び住所
  5. 社員の資格の得喪に関する規定
  6. 公告方法
  7. 事業年度
設立時社員の責任

設立時社員には上記のような権限がある一方で、次のような責任が生じ得ます。

  • 設立についてその任務を怠ったことにより生じた損賠の賠償
  • 職務を行うにつき悪意または重大な過失があったことにより生じた損賠の賠償
  • 一般社団の不成立時、その行為についての責任
  • 一般社団の不成立時、その費用の負担
設立後社員の権限

一般社団法人の設立後の社員には、次のような権限があります。

  • 社員総会における議決権
  • 社員総会の議案の請求権
  • 役員の責任追及等の各種訴え

社員総会では次のような事項を決議することができるため、社員には大きな権限があるといえます。

  • 定款の変更
  • 役員の選任・解任
  • 役員の報酬の決定
  • 社員の除名
  • 役員の責任一部免除の承認
  • 決算の承認
  • 事業の全部譲渡、合併に関する承認

一方で、社員は定款の定めに従い、一般社団法人の経費を支払う義務を負っています(法人法第27条)。

一般社団法人の社員と剰余金の配当

株式会社の株主と一般社団法人の社員の大きな違いとして、株主は剰余金の配当を受けることができますが、社員は剰余金の配当を受ける権利がありません(法人法第11条2項、法人法第35条3項)。

加えて、社員は解散後の残余財産の分配を受ける権利もありません(法人法第11条2項)。

なお、残余財産の帰属についてはこちらの記事をご参照ください。

≫一般社団法人が解散した後の財産の行方


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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