商業登記関係 司法書士が一般社団法人の定款の条文を解説します(除名編)
一般社団法人の定款の条文の内容を解説します。
一般社団法人は協会ビジネスをされる方や社会貢献活動をされる方に人気のある法人形態です。
現在は色々なサイトで株式会社の設立に関する情報が溢れているため、ご自身で一般社団法人設立の手続きをされるケースも少なくありません。
しかし、インターネット上にある定款の内容をよく理解せずに、そのまま利用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご自身で一般社団法人を設立する方のために、≫日本公証人連合会のホームページに掲載されている定款等記載例をベースとして、一般社団法人の定款の各条文について解説をしていきたいと思います。
以下、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律を「法人法」といいます。
ビジネスに専念したい方
一般社団法人設立の手続きは初めて行う方には時間がかかる上に、一生のうちにその知識を何度も使うわけではありません。
一般社団法人設立の手続きは専門家に任せて自分のビジネスに集中したい方は、こちらのページをご参照ください。
除名に関する条文
第8条 当法人の社員が、当法人の名誉を毀損し、若しくは当法人の目的に反する行為をし、又は社員としての義務に違反するなど除名すべき正当な事由があるときは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法人法」という。)第49条第2項に定める社員総会の決議によりその社員を除名することができる。
この規定は、社員の除名について規定しています。
ここでいう社員とは、いわゆる従業員のことではなく、社員総会で議決権を有する者のことをいいます。
この定款第8条(除名)は任意的に定めている規定であり、法律上必ず定款に定めなければならない事項ではありません。
むしろ定款第8条(除名)は、法人法第30条の規定に沿ったものをそのまま定款に規定しています。
一般社団法人の社員の除名
一般社団法人の社員は、社員総会の決議によって除名することができます(法人法第30条)。
除名とは、社員たる地位を奪うことをいいます。
社員側としても自由に法人側の都合で除名されては困りますので、社員を除名するには一定の理由と一定の手続きが必要とされています。
(除名)法人法第30条
社員の除名は、正当な事由があるときに限り、社員総会の決議によってすることができる。この場合において、一般社団法人は、当該社員に対し、当該社員総会の日から一週間前までにその旨を通知し、かつ、社員総会において弁明する機会を与えなければならない。
2 除名は、除名した社員にその旨を通知しなければ、これをもって当該社員に対抗することができない。
一般社団法人の社員を除名する手続き
一般社団法人の社員Aを除名するには、上記法人法第30条に記載されています。
その方法は次のようになります。
- 前提として、社員Aを除名することに正当な事由がある。
- 除名を審議する社員総会の招集通知を発送する。
- 除名を審議する社員総会の1週間前までに社員Aにその旨を通知する。
- 除名を審議する社員総会で社員Aに弁明の機会を与える。
- 社員総会の特別決議(法人法第49条2項)で社員Aを除名する。
- 除名した社員Aへ除名されたことを通知する。
- 社員名簿を書き換える(決議後速やかに)。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。