商業登記関係 2019年5月、6月の定時株主総会で役員の選任手続きが必要となる株式会社
定時株主総会と役員の任期
事業年度末を毎年3月末としている株式会社は多く、当該株式会社は5月または6月に定時株主総会を開催することが一般的です。
定時株主総会では、取締役及び監査役等の役員の任期が満了することがあるため、役員の任期の確認は必須でしょう。
今年の定時株主総会の終結の時に任期が切れる役員がいるときに、当該役員に役員を継続してもらうのであれば定時株主総会において選任(再任)の決議を行わなければなりません。
また、当該役員が任期満了退任することにより、会社法や定款で定める役員数を下回ることになる場合は、それを満たす人数の役員を選任する必要があります。
取締役、監査役の任期はいつまでか
役員の任期はいつまででしょうか。
役員の任期は会社法で定められており、それは、選任後●年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなっています。
詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
≫取締役、監査役の任期の計算方法
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。(会社法332条1項) | 監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。(会社法336条1項) |
公開会社ではない会社は、10年まで伸長可能 | 公開会社ではない会社は、10年まで伸長可能 |
定款により短縮可能 | 定款による短縮不可能 |
2019年5月、6月の定時株主総会の終結時に任期が満了する取締役
2019年5月、6月の定時株主総会の終結時に任期が満了する取締役は、いつ選任された取締役が該当するでしょうか。
なお、ここでは事業年度を3月末までとしている株式会社を対象としています。
選任時期 | ~ 2019年3月31日 | ~ 2018年3月31日 | ~ 2010年3月31日 |
備考 | 監査等委員会設置会社の取締役(監査等委員であるものを除く。)任期は1年※です。 | 公開会社においては、取締役の最長任期は2年※です。 | 取締役の任期を10年※としている会社は任期を忘れがちなので注意 |
※「選任後●年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」という記載を省略しています。
2019年5月、6月の定時株主総会の終結時に任期が満了する監査役
2019年5月、6月の定時株主総会の終結時に任期が満了する監査役は、いつ選任された監査役が該当するでしょうか。
なお、ここでは事業年度を3月末までとしている株式会社を対象としています。
選任時期 | ~ 2016年3月31日 | ~ 2015年3月31日 | ~ 2010年3月31日 |
備考 | 公開会社においては、監査役の最長任期は4年※です。 | 監査役の任期を10年※としている会社は任期を忘れがちなので注意 |
※「選任後●年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」という記載を省略しています。
会計監査人は必ず任期満了する
会計監査人の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなっていますので(会社法第338条1項)、定時株主総会の度に任期が満了します。
なお、会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなされますので(会社法第338条2項)、同じ会計監査人を再任するときは、会計監査人の再任決議それ自体は不要です。
しかし、会計監査人を再任した(が再任されたものとみなされた)ときは、その旨の変更登記申請をする必要があります。
増員規定、補欠規定
取締役の任期につき、増員規定や補欠規定が定款に定められている会社は少なくありません。
これらの規定が定款に定められている会社は、それに従って役員の任期を計算しなくてはなりません。
役員の選任懈怠
取締役の選任手続きをし忘れてしまったときはどうなるのでしょうか。
取締役の資格がないのに取締役として会社の業務を執行していた、なんてことになりかねません。
なお、任期満了により会社法または定款で定める役員の員数に足りなくなるときは、任期満了となる役員は権利義務役員として存続し続けることになります。
≫株式会社の権利義務取締役、権利義務監査役とは何でしょうか。
役員の権利義務は保持し続けますが、会社法違反の状態となってしまっていますので、早く解消しなくてはならないでしょう。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。