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代表司法書士・相続診断士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式会社の権利義務取締役、権利義務監査役とは何でしょうか。

株式会社の取締役、監査役と任期

取締役及び監査役(以下、併せて「役員」といいます)には必ず任期があり、創業者取締役であっても代表取締役社長あるいは会長であっても、また1人会社の取締役であっても例外ではありません。

役員の任期は各株式会社によって異なり、一般的には会社の定款に役員の任期が定められているかと思います。

役員の任期が定款に定められていない会社においては、監査等委員会設置会社を除き、取締役の任期が約2年、監査役の任期が約4年となっています。

役員の任期の計算方法については、こちらの記事をご参照ください。

≫取締役、監査役の任期の計算方法

同じ人が継続して役員となる

よくある誤解として、同じ人が継続して役員となるため役員改選の手続きが不要と考えていたという場合があります。

役員を交代する場合のみ、その改選手続きが必要と考えているケースです。

しかし、前述のとおり役員には必ず任期がありますので、継続して役員であり続ける人がいたとしても任期が満了すれば一度退任することは避けられません。

任期が満了した役員が継続して役員となる場合は、当該役員を役員として再任する株主総会の決議及びその旨の登記申請をする、という再任手続きを行う必要があります。

権利義務役員とは

任期が満了した役員は退任することになりますが、役員全員の任期が満了しているのにも関わらず、当該役員を含め役員が誰も選任されなかった場合はどうなるでしょうか。

この場合、役員が全員いなくなり会社が突然機能しなくなってしまうのではなく、現在就任している役員が引き続き役員としての権利義務を有することになっています(会社法第346条1項)。

このように役員を退任しているのにも関わらず、役員としての権利義務を有する役員のことを権利義務役員といいます。

例えば取締役の義務の一例としては、善管注意義務(会社法第330条、民法第644条)や忠実義務(会社法第355条)、競業及び利益相反取引の制限(会社法第356条)等が挙げられます。

役員が欠けた場合とは

会社法第346条1項のいう役員が欠けた場合とは、次の3つのいずれか(または複数)に該当した場合をいいます。

  • 役員が0名となった場合
  • 取締役会設置会社の取締役が2名以下となった場合
  • 役員の数が定款で定めた人数を下回った場合

役員の数が定款で定めた人数を下回った場合とは、「取締役の員数を2名以上とする。」としている取締役会非設置会社において、取締役が2名いるところ1名が辞任をするようなケースをいいます。

任期満了または辞任に限られる

権利義務役員が生じる条件としては、役員の退任事由として当該役員が任期満了して退任した場合または辞任をした場合に限られます。

役員が解任された場合や、会社法第331条1項に定められている欠格事由に該当することになった場合は当該取締役は権利義務役員とはならずに退任します。

取締役会設置会社の取締役ABCがいるときに、取締役Aが解任された場合は、取締役Aは権利義務取締役とはならずに退任することになります。

ただし、取締役会設置会社は取締役3名以上であるため取締役Aの後任者を選任する義務は生じています。

一部の役員の後任のみ選任

取締役会設置会社の取締役ABCがいるときに、取締役全員の任期が満了したのにも関わらず再任を含め後任者が選任されていない株式会社があったとします。

取締役Aの後任者としてDを取締役に選任したときでも、取締役Aは取締役としての権利義務役がなくなるわけではありません(取締役Aの退任登記をすることもできません)。

現状は新たに選任された取締役Dを除き全員が任期満了しており、法定の員数要件を満たしていないため、Aのみが退任することはできません。

取締役Aが権利義務役員でなくなるためには、取締役Dの選任+取締役BCを再任するか、D以外に新たに2名の取締役を選任する必要があります。

後任者が選任されるまで辞められない

法定の人数ぴったりの会社においては、1人でも取締役を辞任または任期満了により退任すると法定の人数を満たさなくなってしまいます。

つまり、このような会社の取締役は辞任をしたとしても、後任者が選任されるまで取締役の義務から逃れられないということになります。

取締役会を廃止する、定款を変更する等して、法定の人数を変更する(少なくする)ことで後任者なしでも辞任をして取締役としての義務から解放されることがあり得ます。

≫取締役会を廃止して取締役を1名とする手続き

上記の他、必要がある場合は利害関係人の申立てにより、裁判所が一時役員の職務を行うべき者を選任することができるとされています(会社法第346条2項)。

役員選任と登記

役員の任期が切れているのに役員の選任手続きをしない状態は選任懈怠の状態ですので、会社法違反により過料の対象となっています。

これを解消するには、再任する場合を含めて、法定の人数を満たす数の役員を選任することです。

取締役の任期が切れている会社の対応方法については、こちらの記事をご参照ください。

≫役員(取締役・監査役)の任期が過ぎてしまっているとき

権利義務役員となっているか確認する

原則として登記簿からは役員の任期が切れているかどうかは判別しにくい仕組みになっています。

登記簿には役員の任期が記載されず、また取締役の任期の起算点となる選任された日が掲載されないためです(就任日の記載はあり、多くの場合、選任日と就任日は同日かそれほど離れていません)。

公開会社の取締役で就任後2年以上経過をしている、非公開会社の取締役が就任後10年以上が経過をしていることが登記簿から分かるときは、役員の任期が切れている可能性が高そうです。

登記簿、定款(任期、決算月)、必要に応じて株主総会議事録を確認して、役員の任期が切れていないか確認をしてみてください。


この記事の著者

司法書士/相続診断士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士・相続診断士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留司法書士事務所では、
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