「どこに住むか」に左右されない社会へ

東京は、多くの人にとって、以前ほど住みやすい街ではなくなってきたと感じています。こんなことを言うと怒られるかもしれないですが、いまの東京で無理なく暮らせるのは、しっかり稼げる高所得者か、実家が太く支援が得られる人、あるいはすでに家を持っている人に限られつつあるのが現実ではないでしょうか。

普通に働き、普通に家庭を持ち、普通に暮らしたいだけなのに、その「普通」を維持するためのハードルがあまりにも上がってしまいました。家賃も住宅価格も教育費も高騰の一途をたどっています。少しでも生活にゆとりや広さを求めようとすれば、住まいは都心からどんどん離れ、毎日の通勤時間は長くなるばかりです。それでもなお、「東京という場所を離れてしまえば、大切な機会や情報から取り残されてしまうのではないか」という空気感があります。

確かに、大きな案件を獲得し、最新のトレンドを肌で知り、人と出会う上で、東京が今も極めて重要な拠点であることは揺らぎません。私自身、東京にいたからこそ得られた多くの機会やご縁があり、その恩恵を大いに受けてきました。だからこそ、東京が持つ集積の価値もよく理解しているつもりです。

しかし、だからといって仕事や成長の機会までが、「東京という高コストな街に住み続けられる人」だけのものになってよいとは到底思えません。全国どこに住んでいても、確かな能力と挑戦する意欲さえあれば、価値ある仕事に挑める環境や選択肢があって然るべきです。「東京に出なければ成長できない」「東京に住み続けなければ取り残される」、このような社会構造は、そろそろ変わってよい時期に来ているのではないでしょうか。

日本には、豊かな自然に囲まれ、食事がおいしく、伸びやかな住環境に恵まれた素敵な街がたくさんあります。東京に人や機能を集中させ続けることだけが、この国の成長や発展だとは思いません。むしろ、全国どこにいても自分の力を発揮し、正当な機会を得られる国にしていくことの方こそが、これからの日本にとって重要で、持続可能な豊かさにつながるのではないかと最近よく考えています。

「どこに住むか」によって人生の可能性が狭まらない、そんな選択肢に満ちた社会の実現こそが、これからの私たちが目指すべきところなのかもしれません。

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前川研吾 X(旧Twitter) RSM汐留パートナーズ 採用X(旧Twitter)
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