商業登記関係 令和2年(2020年)4月1日時点で任期が切れている取締役・監査役はいつ選任された人?
取締役・監査役の任期
株式会社の取締役・監査役には任期があり、任期が満了すると退任します。
当該取締役・監査役が継続して役員に就くのであれば、任期が到来するときに再度選任の手続きを行う必要があります。
取締役・監査役の任期は次のとおりです。
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。(会社法332条1項) | 監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。(会社法336条1項) |
公開会社ではない会社は、10年まで伸長可能 | 公開会社ではない会社は、10年まで伸長可能 |
定款により短縮可能 | 定款による短縮不可能 |
≫取締役、監査役の任期の計算方法
現在任期が切れているか確認する
取締役・監査役の任期が切れたとしても、法務局からその旨の通知が来たり、勝手に登記をしてくれるわけではありません。
会社が取締役・監査役の任期を把握して、任期が到来するときは再任手続き等をすることになります。
さて、令和2年(2020年)4月1日時点で任期が切れている取締役・監査役は、いつ選任されているでしょうか。
取締役・監査役の任期が1年の株式会社
平成31年(2019年 )2月1日より前に選任された取締役・監査役は、少なくとも任期が切れていると言えそうです。
令和2年(2020年)4月1日時点で任期が切れている取締役・監査役を考えたときに、在任期間が最長のパターンを考えると次のとおりです。
- 2019年1月31日に選任された
- 事業年度末が12月31日である
- 定時株主総会が事業年度末から3ヶ月以内に開催されると定款に定めがある
なお、2019年7月1日に選任された取締役・監査役も事業年度末が12月31日であれば、2020年4月1日時点で任期が切れています。
また、2020年1月に選任された取締役も、増員規定の適用を受けるのであれば、2020年4月1日時点で任期が切れています。
結局は、取締役・監査役の選任された日と定款を見て、任期を確認する必要があります(そのような意味で、「少なくとも」任期が切れていると表現しています。)
取締役・監査役の任期が2年の株式会社
平成30年(2018年 )2月1日より前に選任された取締役・監査役は、少なくとも任期が切れていると言えそうです。
令和2年(2020年)4月1日時点で任期が切れている取締役・監査役を考えたときに、在任期間が最長のパターンを考えると次のとおりです。
- 2018年1月31日に選任された
- 事業年度末が12月31日である
- 定時株主総会が事業年度末から3ヶ月以内に開催されると定款に定めがある
なお、2018年7月1日に選任された取締役・監査役も事業年度末が12月31日であれば、2020年4月1日時点で任期が切れています。
また、2020年1月に選任された取締役も、増員規定の適用を受けるのであれば、2020年4月1日時点で任期が切れています。
結局は、取締役・監査役の選任された日と定款を見て、任期を確認する必要があります。
取締役・監査役の任期が10年の株式会社
平成22年(2010年 )2月1日より前に選任された取締役・監査役は、少なくとも任期が切れていると言えそうです。
令和2年(2020年)4月1日時点で任期が切れている取締役・監査役を考えたときに、在任期間が最長のパターンを考えると次のとおりです。
- 2010年1月31日に選任された
- 事業年度末が12月31日である
- 定時株主総会が事業年度末から3ヶ月以内に開催されると定款に定めがある
なお、2010年7月1日に選任された取締役・監査役も事業年度末が12月31日であれば、2020年4月1日時点で任期が切れています。
また、2020年1月に選任された取締役も、増員規定の適用を受けるのであれば、2020年4月1日時点で任期が切れています。
結局は、取締役・監査役の選任された日と定款を見て、任期を確認する必要があります。
任期が切れているのであれば再任手続きを
取締役・監査役の任期が切れているときに、現在の取締役・監査役に引き続き役員職を委任するのであれば、再度選任手続きを行わなければなりません。
そのようなケースの多くは、取締役・監査役が権利義務役員となっていますが、稀に任期満了で退任してしまい役員でもない状態で役員をやっているケースもあります。
≫株式会社の権利義務取締役、権利義務監査役とは何でしょうか。
会社の登記簿と定款を確認し、取締役・監査役の任期が切れていることに気付いたときは、早急に選任手続きと登記をしておきましょう。
任期が切れてから再度の選任手続きや登記手続きをするまでの期間が長くなればなるほど、過料が課される可能性や金額が大きくなる印象があります。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。