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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

親から相続した有限会社の事業を承継しない場合の対応

有限会社と相続

特例有限会社(以下、単に「有限会社」といいます)を経営している親が亡くなったときは、その相続人が当該有限会社を承継します。

「有限会社を承継する」につき、もう少し具体的に言うと、相続人は有限会社の株式を相続するだけであって取締役や社長の地位を相続するわけではありません。

有限会社の株式を相続した相続人が、株主総会の決議で自身を取締役に選任することによって相続人が取締役や社長となることになり、結果として「会社を承継した」ことになります。

有限会社の多くは株主が親族で構成されており、役員は株主の中から選任されていますが、もし仮に親が社長であっても株主が別の人(法人)であれば、社長の相続人は当該有限会社の社長とはなれないかもしれません。

有限会社の社長の相続人は、まずは誰が当該有限会社の株式を保有しているのかをご確認ください。

誰も会社を引き継がない

父Aが唯一の株主であり取締役である有限会社Xがここにあります。

父Aには母Bと長男Cがおり、父Aの相続人は母Bと長男Cの2名だとします(長男視点の記載であり、BはAの妻・配偶者です)。

ここで、父Aが亡くなったときに、母Bは専業主婦で長男Cは会社員であった場合、誰も有限会社Xを引き継ぎたくないというケースは少なくないかもしれません。

このようなケースにおいて母Bと長男Cには、一例として次のような選択肢が存在します。

  1. 解散・清算手続きをして会社を清算する。
  2. 会社を売却する。
  3. 相続放棄をする。

1. 解散・清算手続きをする

会社を承継した上で、解散・清算手続きをして会社を清算する(消滅させる)ことができます。

承継した会社の解散・清算手続きをする手続きの一例は次のとおりです。

  1. 遺産分割協議
  2. 株主名簿の書換え
  3. 株主総会
  4. 解散登記
  5. 清算手続き

会社や父A個人に債務・借金が多いときは注意が必要です。

下記「3. 相続放棄をする」にも記載しているとおり、会社の債務につき有限会社の株主としては有限責任で済みますが、社長が会社の債務を個人保証している場合はその保証債務につき無限責任を負いますので、会社を承継するときはお気を付けください。

なお、債務超過の会社は特別清算の手続きを経る必要があります。負債が社長貸付金のみであれば、債権放棄や債務免除をすることにより特別清算ではなく通常の清算手続きをすることが多いでしょう。

遺産分割協議、株主名簿の書換え

一般的には、遺産分割協議によって株式を相続する相続人を決定します。

株式に価値がある場合、その他の相続財産との兼ね合いから遺産分割協議において平等性や相続税について検討をすることになるでしょう。

会社に財産が残っている場合は、清算時の残余財産は清算時の株主が取得することになります。

株式会社や有限会社の解散・清算手続きについてはこちらの記事をご確認ください。

≫株式会社の清算手続きの内容とスケジュール例

2. 会社を売却する

株式を相続した上で、第三者に会社を売却するという方法があります。

法律的な手順としては、遺産分割協議⇒株主名簿の書換え⇒役員の選任⇒株式譲渡の合意⇒株式譲渡承認手続き⇒株式譲渡契約の締結⇒買い手側の役員選任といった流れで進むことになるでしょう。

上記は実際に買い手が見つかっているケースであり、買い手を見つけることが大変かもしれません。

M&Aは大きい会社だけの話ではなく、今は小さい会社でも行われており、M&Aの仲介をしている会社を当事務所でもご紹介することが可能です。

≫M&A・会社買収・事業買収に関する登記手続きサポートサービス

3. 相続放棄をする

有限会社に債務があった場合、株式を相続したり有限会社の役員になったとしても、有限会社の債務を相続人個人で弁済する義務を負うわけではありません。

有限会社の株主には間接有限責任しかなく、会社にいくら負債があったとしても株主は出資をした分が戻ってこないという範囲でしか損をしない仕組みになっています(株式会社や合同会社も同様です)。

一方で、会社の債務につき社長が個人保証をしている場合は話が変わってきます。

社長の個人保証についても相続人が承継するため、その保証している額につきその返済義務を相続人は負うことになります。

会社を引き継ぐ気はないのに負債の額が大きいようなケースにおいては、相続放棄を検討した方がいいでしょう。

相続放棄には期限があります

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に行わなければなりません(民法第915条1項)。

ご家族が亡くなってからの3ヶ月は意外と早く過ぎてしまうものです。

負債を含めた相続財産の調査を行い、相続放棄をするのであれば早めに手続きをするに限ります。

なお、単純承認に該当する行為を行うと、被相続人が亡くなってから3ヶ月を経過していなくても相続放棄ができなくなりますのでご注意ください。

他の遺産も承継できない

父Aが会社の債務につき個人保証をしているケースにおいて、父Aが自宅も保有している場合、相続放棄をすると会社債務の個人保証分を相続することはありませんが自宅も相続することができなくなってしまいます。

相続人としては負債だけ相続放棄をすることができれば、、、と思うかもしれませんが、会社債務の個人保証分だけを相続放棄することはできないことになっています。

相続放棄をするときは、負債等のマイナス財産だけを見るのではなく、父Aの自宅やその他のプラスの財産も洗い出し、検討した上で相続放棄をしましょう。

プラスの遺産の範囲でのみ負債を承継する「限定承認」という方法もあります。

相続放棄の手続き

相続放棄は「私は相続放棄をします」「私は遺産を相続しません」と口頭で伝えるだけでは効力が生じません。

相続放棄は家庭裁判所に申述する方法によって行います。

≫相続の放棄の申述(裁判所)

相続放棄に関する書類作成の代行もしておりますので、相続放棄をご検討されている方はご相談ください。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
様々なサポートを行っております。


 

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