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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

【相談事例】有限会社において株価の低いうちに子へ株式譲渡し、属人的株式で議決権比率を高める

特例有限会社の株主総会の決議

X氏が株式の100%を保有する特例有限会社(以下、有限会社)あり、この有限会社にこれから不動産を持たせる等をする前に子3名に株式の大部分を渡しておき、その後に有限会社の価値を高めたいというニーズがあったとします。

子らに株式の大部分は渡すけれども有限会社の運営はXがスムーズに行うために、株主総会の決議はXだけでいつでも通せる状態にしておきたいと考えたときに、Xの議決権比率を高めるか、X以外の株主の議決権を無くすという選択肢があります。

前者においては属人的株式又は種類株式+単元株という方法が考えられ、後者においては属人的株式又は種類株式(無議決権株式)が考えられます。

有限会社の特別決議

ところで、有限会社の特別決議は株式会社のそれと異なり、株主の頭数要件が存在します。

具体的には、有限会社の特別決議の要件は、総株主の半数以上でかつ、総株主の議決権の4分の3以上の賛成を要します(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第14条3項)。

≫有限会社の特別決議は、株式会社の特別決議と要件が異なるというお話

Xが属人的株式や種類株式を用いて議決権の99%あるいは100%を保有したとしても、普通決議は一人で通せたとしても、特別決議の「総株主の半数以上でかつ」の部分を満たすことができず、特別決議は通せない結果となってしまいます。

この問題を解決する方法の一つとして、有限会社の商号を変更して株式会社へ組織変更することが考えられます。

≫有限会社から株式会社へ組織変更(商号変更)手続き

株式会社であれば、特別決議に頭数要件がないため、Xが議決権の67%以上を保有することにより特別決議を通すことができるようになります。

属人的株式の設計

属人的株式と種類株式は、それぞれに良さがありますが、株主が親と子だけであれば属人的株式がシンプルで、かつ、好まれるように思います。

≫属人的株式(株主ごとに異なる取扱いを行う旨の定款の定め)とは

また、より運営をスムーズにするという観点からは、Xの保有する株式の議決権数を増やすよりも、子らの保有する株式につき無議決権としておくことになるでしょう(子らが議決権を少しでも有すると、株主総会の招集通知等を発する必要があるため)。

有限会社から株式会社へ組織変更するタイミングで、株主全員の同意を得た上で(会社法上は全員の同意は要件ではありませんが)、子らが株式を保有する場合は当該株式につき議決権を有さないものとしつつ、Xが認知症と診断されたあるいはXが死亡した場合は子らが保有する株式にも議決権が戻るように設計することが考えられます。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

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商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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