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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

団体信用生命保険と抵当権抹消手続き

団体信用生命保険とは

団体信用生命保険(以下「団信」といいます)とは、住宅ローンの返済中にローン契約者が死亡あるいは高度障害になった場合、本人に代わって生命保険会社がその時点の住宅ローン残高に相当する保険金を金融機関に支払い、それによって住宅ローンが完済となる制度です。

簡単に表現すると、住宅ローンの返済中に債務者が死亡等した場合は、住宅ローンが無くなる仕組みです。

団信に加入することが義務付けられている住宅ローンも多く、これから住宅ローンを組む人のほとんどは団信に加入するのではないでしょうか。

団信の効果と相続人の返済義務

団信に加入していた被相続人が住宅ローンを残して死亡した場合、団信によって住宅ローンが完済されますので相続人は住宅ローンを引き継ぐことはありません。

一方で、被相続人の自宅は相続財産の一部ですので、相続人は相続をすることができます。

住宅を取り上げられて、その代わりに住宅ローンの返済義務が無くなる、という制度ではありません。

住宅ローンは保険金によって全額返済されることになりますので、自宅それ自体は相続財産として、住宅ローンが無い状態で引き継ぐことができます。

団信に加入していない場合

もし被相続人が団信に加入していなかったのであれば、住宅と一緒に住宅ローンも相続人が承継することになります。

相続財産のうち負債の方が大きく、相続人が返済することが難しいのであれば相続放棄・限定承認の手続きを取る必要がでてきます。

相続放棄・限定承認には自分が相続人となる相続が発生したことを知った時から3ヶ月以内という期限がありますので、相続財産の調査は早めに行っておいた方がいいでしょう。

抵当権抹消手続き

団信によって住宅ローンが完済となった場合でも、自動的に自宅の登記簿から抵当権が消えるわけではありません。

もう少し細かく言うと住宅ローンの完済はしているので、その抵当権は登記簿に記載は残っていますが、実行(差し押さえ、競売)されることはありません。

抵当権の登記を抹消するには、抵当権の抹消登記に必要となる書類を集めて、当該不動産の管轄法務局に抵当権抹消の登記申請をする必要があります。

≫抵当権抹消登記の費用例

相続登記と抵当権抹消登記の順番

相続が発生して住宅ローンが団信によって返済されるときの事実関係の順番は、

  1. 住宅ローンの契約者が亡くなった
  2. 団信によって住宅ローンが返済された
  3. 返済によって抵当権の効力が無くなる

となりますので、登記申請の順番はこの順に従うことになります。

つまり、①不動産の所有者名義を相続した人に変更した後、②抵当権抹消登記の申請をすることになります。

同時に申請することも可能

相続登記と抵当権抹消登記の順番は上記のとおりですが、登記に必要な書類が全て揃っているのであれば、同時に行うことも可能です。

ただし、①相続登記②抵当権抹消登記の順番は守る必要がありますので、同時に法務局へ申請書を提出する場合は①相続登記の申請書に「1/2」、②抵当権抹消登記の申請書に「2/2」のように順番を振ります。

≫相続登記の費用例

抵当権の登記を抹消する期限

抵当権の抹消登記はいつまでにしなければならないという法律で定められた期限がありません。

これは2015年現在、相続登記についても同じことがいえます。

住宅ローン自体は完済されていますので、その抵当権の登記が自宅に残っていたとしても、その登記が残っていることが原因で自宅が競売にかけられるということもありません。

しかし、例えば将来自宅を売却しようと思った場合でも、抵当権が付いたままでは一般的には売ることができません。

また、金融機関から受け取った抵当権抹消登記にかかる書類を紛失してしまうと、後になってその抹消登記をしようしたときに余計な手間と費用が発生してしまいますので、金融機関からの書類が届いたら速やかに抵当権の抹消登記をしておきましょう。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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