商業登記関係 平成18年、平成19年に就任した取締役・監査役は任期が切れています
取締役・監査役には任期があります
取締役及び監査役には必ず任期があり、任期が満了すれば当該取締役及び監査役は退任します。
取締役と監査役の任期の計算方法については、次の記事をご参照ください。
任期が切れている取締役や監査役の後任者が選任されていないときは、権利義務取締役、権利義務監査役として、その義務を果たすことになります。
権利義務役員については、次の記事に説明があります。
同じ人が続投する場合も選任手続きが必要
多くの会社では、役員がずっと変わらないということもあるかもしれません。
しかし、同じ人が役員を続ける場合でも任期が満了したときは、その再任手続きとその登記手続きが必要です。
これは、1人会社(1人が株主であり、かつ唯一の取締役である会社)においても変わりはありません。
会社登記と登記期間
会社の登記は、その変更の効力が発生した時から2週間以内に変更登記をする必要があるとされています(会社法第915条1項)。
(変更の登記)
会社法第915条1項会社において第911条第3項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
この期間を守らなかったときは、過料に処せられてしまう可能性が生じます(会社法第976条)。
既に任期切れが確定しているのは平成19年以前に選任された役員
会社法が施行されて以降、非公開会社の取締役と監査役の任期は選任されてから10年(以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで)です。
会社の事業年度末がいつであったとしても、平成19年以前に選任された取締役と監査役は必ず任期が切れていることになります。
もちろん、役員の任期が10年の会社の役員が平成18年に選任されて、平成28年に再任されているようなケースにおいては当該役員の任期は切れていません。
平成20年に選任された役員
平成20年に選任された役員でも、既に任期が切れている可能性があります。
まず、任期が9年以下である会社の役員は任期が切れています。
また、任期が10年である会社の役員も、12月末決算の会社で平成20年3月に選任された役員も人任期が切れています。
会社の登記簿と定款を確認して、役員の任期が切れていないか一度確認をしてみてください。
登記なんてしなくてもいい?
取締役、監査役の任期が切れていたとしても、法務局から人気が切れていますよという通知が来るわけではありません。
そのため、登記をしなくても特に問題無いと思われるかもしれませんが、次の点で気を付けなければなりません。
- 登記懈怠による過料
- みなし解散
- 実態と異なる登記簿による弊害
みなし解散という制度
株式会社は12年間、一般社団法人と一般財団法人は5年間、何も登記をしていないと休眠会社に該当することとなっており、休眠会社は毎年12月に登記官によって解散(「みなし解散」といいます)をさせられてしまいます。
以前は休眠会社の整理は毎年行われていませんでしたが、近年は毎年休眠会社の整理が行われており、今後は毎年休眠会社の整理が行われることが予想されています。
実態と異なる登記簿
実態と登記簿が異なっていると、行政からの許認可を受けるときや融資を受けるとき、取引相手と取引をするとき等に不都合が生じるときがあります。
登記事項に変更が生じているのであれば、いつかはその登記をすることになりますので、早めに登記申請をするに限ります。
登記をするならお早めに
登記をずっと放置していると、みなし解散の期限が来れば勝手に解散の登記を入れられてしまい、ビジネスに支障をきたしてしまいます。
みなし解散の期間まで数年あるから大丈夫と考えていても、登記懈怠期間が長くなれば長くなるほど、過料が課される可能性と金額が高くなると言われています。
登記懈怠を解消するのであれば結局、登記申請をするしかなく、気付いた時から早いうちに登記申請をすることをお勧めします。
役員の変更登記でお困りの方は、こちらの≫お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。