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代表司法書士・相続診断士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

取得条項付株式の設定と発行

一定の事由が生じたときに、会社が取得することのできる株式

株式会社は、当該会社が一定の事由(「取得事由」といいます)が生じたことを条件としてこれを取得することができることをその内容とする株式を発行することができます(会社法第107条、108条)。

この株式は、発行会社が取得事由が生じたことを条件に取得することができるため、「取得条項付株式」と呼ばれています。

株主の同意を要することなく、発行会社が株主からその保有株式を取得することができる点がその最大の特徴です。

≫種類株式の基本

取得条項付株式を設定する

発行する全ての株式に取得条項を付けることはあまり多くはないと思いますので、種類株式として一部の株式に取得条項を付けるケースを考えます(会社法第107条ではなく第108条)。

取得条項付株式は次に掲げる事項を定款に定める方法により設定しますので、株主総会の≫特別決議が必要です。

加えて、種類株式発行会社が特定の種類株式に取得条項を付ける場合は、当該種類株式の株主全員の同意が必要となります。

取得条項付株式の設定と定款記載事項

一例として、対価を金銭とする取得条項付株式を設定するときは、次の事項を定款に定めます(会社法第108条2項)。

  • 発行可能種類株式総数
  • 一定の事由が生じた日に会社が当該株式を取得する旨
  • 上記一定の事由
  • 会社が別に定める日が到来することをもって上記事由とするときは、その旨
  • 上記事由が生じた日に株式の一部を取得することとするときは、その旨及び取得する株式の一部の決定方法
  • その対価が金銭である旨とその金額またはその算定方法

なお、既に発行されている種類株式へ取得条項を付ける場合でなければ、取得条項付株式について定款に定めただけでは誰も取得条項付株式の保有者となっていません。

そのため、取得条項付株式を実際に発行するには別途募集株式の発行の手続きを採るか、現在の株主が保有している株式を取得条項付株式に変更することになります。

取得日を株式会社が別に定める場合

「会社が別に定める日が到来することをもって上記事由とするときは、その旨」を取得事由とした場合、この日は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議(取締役会非設置会社の場合は、株主総会の普通決議)で取得日を定めます(会社法第168条)。

取得条項付株式の一部を取得する場合の決定方法

「上記事由が生じた日に株式の一部を取得することとするときは、その旨及び取得する株式の一部の決定方法」を定めた場合、この取得する株式は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議(取締役会非設置会社の場合は、株主総会の普通決議)で決定します(会社法第169条)。

株主が所有している株式を取得条項付株式に変更する

株主が現在保有している株式の種類を変更することもできるとされています。

例えば発行している株式が次のような株式会社において、

普通株式100株(株主構成 X:50株、Y:50株)

であるときに、定款に取得条項付株式の定めがあるときは、原則として株主全員の同意あるいは合意により、

普通株式50株(X:50株)、取得条項付株式50株(Y:50株)

とすることもできます。

≫発行済株式の一部の株式の内容を変更する登記手続き

対価と分配可能額

取得条項付株式の取得事由が生じた場合においても、当該株式の取得日における分配可能額を超えて対価を交付することはできません。

そのため、当該会社は株主からは取得条項付株式の取得をすることができません。

なお、発行会社の株式を対価として交付する場合は、分配可能額の制限はありません。

取得条項権付株式の対価となる株式と発行可能株式総数

取得条項権付株式の対価が他の株式であるときに、対価として自己株式ではなく新たに株式を発行して交付する場合は発行可能株式総数に注意が必要です。

発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数を超えて新たに株式を発行することはできません。

取得事由が生じるまでに、株主総会の特別決議により発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数を増加する定款変更をしておきます。

取得条項付株式の設定・発行と登記

取得条付株式を新たに設定したとき、取得条項付株式を新たに発行したときは、

  • 発行済株式の総数並びに種類及び数
  • 資本金の額
  • 発行可能種類株式総数及び各種類の株式の内容

に変更が生じますので、その変更登記を申請しなくてはなりません。

取得条項付株式の取得と変更登記

取得条項付株式の取得事由が生じると、発行会社は当該取得条項付株式を取得し(自己株式となります)、取得条項付株式を保有していた株主はその対価を得ます。

対価が金銭あるいは自己株式であるときは、発行済株式数も資本金の額の変動も生じないため、変更登記をする必要がありません(することができません)。

取得条項付株式の対価として発行会社が別の種類の株式等を新たに発行し交付するときは、その新たに発行した分につき発行済株式数等の変更登記をします。

会社が取得して自己株式となった取得条項付株式を消却したときは、その取得条項付株式の減少に係る変更登記をします。

登記期間は、それぞれ効力発生日から2週間以内です(会社法第915条1項)。

取得条項付株式の取得と資本金の額

取得条項付株式の対価として株式や新株予約権、社債を交付したときも、金銭等の財産を交付したときも資本金の額に変動はありません。

これは対価となる株式につき、自己株式を交付した場合も新たに株式を発行した場合も同様です。

取得事由の発生と取得条項付株式の取得

取得条項付株式の取得事由が発生した際の、取得条項付株式の取得手続きについてはこちらの記事をご参照ください。

≫取得条項付株式の取得事由が発生した場合の、当該株式の取得


この記事の著者

司法書士/相続診断士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士・相続診断士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留司法書士事務所では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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