商業登記関係 合同会社の社員(業務執行社員、代表社員)退社手続きサポート
合同会社の社員の退社手続き
合同会社の社員が退社するときは、出資の払戻し、定款の変更、登記申請等の手続きが必要となります。
会社法上の合同会社の社員とは、雇用関係にある被雇用者(いわゆる従業員)のことをいうのではなく、当該合同会社への出資者(株式会社でいうところの株主)のことをいいます。
(そのためここでの社員とは、会社法上の社員のことを指します。)
さて、退社を口約束だけで済ますことはお勧めしません。
正式に書類を交わしておかないと後のトラブルにつながる可能性があることに加え、登記申請をするには退社する社員の協力が必要となるため、相手の協力を得られるタイミングで全て済ませておくに越したことはありません。
社員が退社をするとき
社員が退社をする事由は、会社法に定められており、社員の退社事由についてはこちらの記事に記載していますのでご参照ください。
一般的には、経営から離脱する等を理由として、次のような方法で退社することが多いのではないでしょうか。
- 他の社員へ持分を全部譲渡して退社(脱退)
- 新しい経営者へ持分を全部譲渡して退社
- 会社から出資の払戻しを受けて退社
- 相続の発生による退社
※社員が死亡した場合に当該社員の相続人の相続人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めている場合は、相続の発生によって退社しません(会社法第608条1項)。
合同会社の社員と相続
合同会社の社員に相続が発生したときは、当該社員は退社して相続人がその持分の払戻しを受けるか、定款の定めに基づき当該社員の地位を相続人が承継します。
どちらに該当するのかは、定款を確認することによって確認をすることができます。
どちらのケースにおいても、定款に変更が生じ、また登記事項に変更が生じる可能性があります。
社員の退社と持分譲渡、持分の払戻し
合同会社の社員は必ず出資をしています。
他者へ持分を譲渡する際は、その対価を受け取ることが一般的であり(無償譲渡の場合は、贈与税にご注意ください)、退社をする際は出資の払戻しを受けることができます(会社法第624条)。
会社の状況によっては、払戻しを受けることができないこともあります(債務超過等)。
≫合同会社の持分全部譲渡による社員の変更
≫合同会社の社員が退社をするときの持分の払戻しと退社手続き
社員の退社と定款変更
合同会社には、社員に関する次の事項を記載しなければならないとされています(会社法第576条1項)。
- 社員の氏名又は名称及び住所
- 社員が有限責任社員である旨
そのため、社員が退社する等して変更が生じたときは、定款の変更をしなければなりません。
加えて、定款で業務執行社員や代表社員を直接定めている合同会社において、業務執行社員や代表社員が退社したときは、当該定款の規定も変更することになります。
社員の退社と登記手続き
合同会社は、その社員のうち業務執行社員と代表社員が登記事項とされています。
退社した社員が業務執行社員や代表社員である場合は、業務執行社員と代表社員の変更登記を効力発生日から2週間以内に行います。
また、社員の退社にともなう払戻しのために資本金の額を減少させた場合は、資本金の額の変更登記も必要です。
合同会社の社員退社サポートの内容
合同会社の社員が退社をするときは、上記のような退社手続が必要となります。
当事務所では、一例として次のような書類の作成、手続きのサポートを行います。
- 持分譲渡契約書の作成
- 定款変更に必要となる同意書等の作成
- 社員退社に必要となる同意書等の作成
- 社員退社後の定款の作成
- 持分の譲渡価格、払戻し金額の算定(税理士)
- 債権者保護手続きの公告申込み ※1
- 電子公告の調査会社への依頼代行(ダブル公告をする場合) ※1
- 知れている債権者への催告書の作成 ※1
- 亡くなった社員の戸籍謄本等の代理収集 ※2
- 遺産分割協議書の作成 ※2
- 業務執行社員・代表社員の変更登記申請代行
- 資本金の額の変更登記申請代行 ※1
※1 資本金の額を減少する場合に必要となる手続きです。
※2 相続による社員の変更手続きに必要となる場合のある書類です。
社員・従業員の退社と保険関係
当事務所では他士業と連携して、ワンストップでサービスをご提供できる体制を整えております。
法務的なご相談とは別に、社員や従業員の退社にともなう社会保険関係のご相談をご希望の方には、社会保険労務士を紹介いたします。
また、社員や従業員が退社する際に、トラブルになってしまうケースもあるかと思います。
トラブルが生じて紛争が生じてしまっているケースにつきまして、ご相談をご希望の方には弁護士を紹介いたします。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。