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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式会社の解散事由と解散登記手続き

株式会社が解散するとき

株式会社は次の事由が生じたときに、解散します(会社法第471条)。

これらの事由が生じない限り、例えば代表取締役が死亡したり、本店のあるビルが取壊しになったとしても、会社は存続することになっています。

  1. 定款で定めた存続期間の満了
  2. 定款で定めた解散の事由の発生
  3. 株主総会の決議(特別決議)
  4. 合併(消滅会社となる場合)
  5. 破産手続開始の決定
  6. 解散を命ずる裁判

解散する場合の多くは、「株主総会の決議」によるものが多いのではないでしょうか。

みなし解散制度

株式会社の場合は、12年間何の登記申請もされていない休眠会社は、一定の手続きを経た後、解散したものとみなされてしまいます(会社法第472条1項)

これを「みなし解散」といいます。

みなし解散の場合は、登記官の職権によって解散の登記が入るため、会社側から解散の登記申請をする必要はありません。

≫平成29年度の休眠会社に関する官報公告は平成29年10月12日(木)

解散の登記申請

解散の登記は、どの解散事由に該当するかによって添付書類が異なります。

よくあるケースとして、次のケースに関する解散の登記申請についてここでは紹介します。

  • 株主総会の決議によって解散し、清算人を1名選任する

また、(代表)清算人選任の登記は解散の登記とは別でもOKとされてはいますが、多くの場合一緒に登記申請をしますので、ここでも一緒に登記申請をすることが前提となっています。

解散の決議

株主総会を開催して、解散の決議、清算人選任の決議をします。

議事録に記載する議案のサンプルとしては、次のようなものが考えられます。

第1号議案 当会社解散の件
 議長は、解散のやむを得ざるに至った事情を詳細に説明し、賛否を求めたところ、本日をもって解散することを全員異議なく承認した。

第2号議案 清算人選任の件
 議長は、解散に伴い清算人に次の者を選任したい旨を総会に諮ったところ、全員異議なくこれを承認した。 
 清算人 東京都中央区銀座七丁目13番8号
     汐留太郎
なお、被選任者はその就任を即時承諾した。

解散の決議に関する決議要件は、特別決議です。

解散の登記申請

解散日から2週間以内に、解散の登記申請書とその添付書類を管轄法務局へ提出します。

登記申請書のサンプルは、法務省のこちらの資料が参考になります。

≫株式会社(解散,清算人選任(清算人が1人の場合)【法務省】

株式譲渡制限の定めの登記
当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を要する。

のように譲渡制限規定が定款にある株式会社は、解散をすると取締役会が無くなる関係上、この規定を変更する必要があるとされています。

株式譲渡の承認機関を株主総会とするのであれば、次のように変更します。

当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する。

譲渡制限規定は登記事項ですので、変更をしたらその旨の登記も解散の登記と併せて行います。

なお、上記譲渡制限規定の変更登記を解散の登記と同時に行わない場合でも、解散の登記は却下されないものとして取り扱われています。

添付書類

添付書類は、次のようなものが挙げられます。

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 定款
  • 就任承諾書

清算人の本人確認証明書や印鑑証明書の添付は不要です。ただし、登記申請の添付書類以外に、次の書類も併せて提出をします。

  • 印鑑届書
  • 印鑑証明書(代表清算人、発行後3ヶ月以内)
登録免許税

登録免許税は、30,000円(解散の登記)+9,000円(清算人の登記)で39,000円です。

株式の譲渡制限規定変更の登記申請もするのであれば、追加で30,000円の登録免許税がかかります。

解散後は清算手続きへ

株式会社を解散しても、すぐに会社が消えて無くなるわけではありません。

解散後は清算手続きを経て、清算結了をして初めて会社が消滅することになります。

≫株式会社の清算手続きの内容とスケジュール例


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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