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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式無償割当ての手続きと登記

株式無償割当てとは

株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の株式の割当てをすることができます(会社法第185条)。

これを「株式無償割当て」といいます。

株主割当ては、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して平等に割当てをしなければならないことと、自己株式がある場合当該株式会社には割当てられない点に特徴があります。

なお、当該株式会社の株式以外の株式を株主へ交付するには、現物配当等の手続きを踏むことになり、株式無償割当てとは異なります。

株主に平等に割り当てる

株式無償割当てでは、当該株式会社を除き、株主全員に平等に割り当てなければなりません。

A株主には1株につき5株、B株主には1株につき1株、C株主には割り当てないということはできません。

これを実現するには募集株式の発行(第三者割当)を検討することになるでしょう。

株式無償割当てにおいて1株につき1株割り当てると決定したときは、当該株式会社を除き、株主全員にそれが適用されることになります。

特定の種類の株主にのみ株式無償割当てを行う

普通株式と甲種類株式を発行している株式会社が無償割当てをするときは、

  • 株主全員を対象とする
  • 普通株式の株主を対象とする
  • 甲種類株式の株主を対象とする

ことができます。

なお割り当てる株式は、普通株式の株主に甲種類株式を割り当てることもできますが、種類株主総会の決議等にご注意ください(会社法第322条1項3号)。

自己株式を交付することも可能

株式無償割当てでは、自己株式を株主へ割当て、交付することも可能です。

募集株式の発行の手続きでも自己株式を交付することはできますが、募集株式の発行では株式の対価が求められている点で異なります。

株式無償割当ての手続きにおいて全て自己株式を交付したときは、発行済株式数に変動はないため、登記申請をする必要がありません。

株式分割との違い

株主の株式数を増やす方法として、≫株式分割という方法があります。

株式無償割当てと株式分割の違いは次のとおりです。

株式無償割当て
株式分割
自己株式を交付できるか
できる
できない
自己株式も増えるか
増えない
増える
増える(交付する)株式の種類
異なる株式も可
同じ株式

株式無償割当てを行う

株式無償割当てを行うには、定款に別段の定めがある場合を除き、次の事項を株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の普通決議によって行います(会社法第186条3項)。

  1. 株主に割り当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
  2. 当該株式無償割当てがその効力を生ずる日
  3. 株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類

株式の割当てを受けた株主は、上記2の効力発生日に、当該割当てられた株式の株主となります(会社法第187条1項)。

割当てを受けた株主への通知

株式会社は、株式無償割当ての効力発生日後遅滞なく、株主(種類株式発行会社にあっては、同項第3号の種類の種類株主)及びその登録株式質権者に対し、当該株主が割当てを受けた株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を通知しなければなりません(会社法第187条1項)。

また、各株主の保有する株式数も変更されるため、株主名簿の書き換えも必要となるでしょう。

株式無償割当ての登記と登録免許税

株式無償割当てを行うと、全てその自己株式を交付した場合を除き、発行済株式数が増えます。

発行済株式数が変更したときは、その効力発生日から2週間以内にその登記申請をしなければなりません(会社法第915条1項)。

この登記申請の添付書類の一例は次のとおりです。

  • 株主総会議事録+株主リスト または
  • 取締役会議事録

なお、この登記の登録免許税は3万円です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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