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代表司法書士・相続診断士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

創業者の持株比率を高めるにはどのようにしたらよいか

資金調達と持株比率

2人で創業し、半分ずつ出資し合い株式を半分ずつ持ち合っていたけれどもエクイティでの資金調達をした結果、創業者らの持株比率が大きく低下してしまったとします。

多くの場合、出資者も慈善事業で出資をするわけではありませんので、出資をした対価としての株式を通じて議決権による影響力を保持したり、Exitの際の利益を確保したりすることになります。

バリュエーションをいくらに設定して、出資者に株式を何株発行するか、それは普通株式なのか種類株式なのかは発行時に検討することを要しますが、資本政策を誤ってしまい出資額の割には創業者の持株比率が低くなることもあります。

持株比率とインセンティブ

経済活動と人のいるところにインセンティブ設計というものは必ず付きまといますが、それはIPOやMBOを目指すベンチャー企業においても同様です。

持株比率が低すぎたり、創業者の所有する株式の残余財産の分配が劣後する度合いが強いと、創業者のインセンティブが弱まってしまいます。

出資額に対して適切な対価(株式)を出資者に付与しているのであれば仕方ない部分もありますが、最初の資金調達等で資本政策を十分に行わなかったために著しく創業者側が不利な状況であれば、改善できるならしたいところです。

これから出資する投資家の要求

これから出資をする投資家からすると、創業者のインセンティブが弱まっている状態というのは望ましい状態ではありません。

また、経営に関わらない投資家が数ヶ月前に1000万円の出資で30%の株式を取得したのに対し、今回出資をする投資家が数億円を出資して3%程度しか株式を保有できないのでは、後発の投資家にとって魅力が薄まってしまうかもしれません。

そうであれば、以前の投資家の持株比率を調整すれば投資をするという条件もあり得ます。

やり直しはできない

1年前に調達した1000万円に対して交付した株式が多すぎたとしても、それを今になって訂正や変更することは原則としてできません。

持株比率を高めることを目的として、出資者に対して株式の譲渡を請求することはできますが、当然相手の承諾が必要であることや、買い取るための資金をどうするかといった問題があり現実的ではないケースが多いでしょう。

株式も発行後は相手の財産の一部となっていますので、後で変更することや取り戻すことは難しい(できない)です。

株式を新たに発行する

創業者の保有する株式が1000株であり、投資家の保有する株式も1000株(発行済株式数2000株)であるときに、創業者の持株比率を高めるには株式を新たに発行して創業者に割り当てる方法が考えられます。

創業者に潤沢な資金があるケースは少ないかと思いますので、1株の価格をどうするかという問題があります。

理論上は1株1円で8000株(=8000円)発行し創業者に割当てをすれば、持株比率は50:50から90:10になり創業者の持株比率は大きく向上します。

とはいえ、そのような募集株式の発行は投資家が賛成しないため株主総会の決議を成立させることはできないでしょう。

投資家の持株比率が低く株主総会の特別決議を通すことはできたとしても、投資家との投資契約書で募集株式の発行につき縛られているというケースもあります。

なお、払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合は、株主総会においてその理由を説明する義務が取締役には課されています(会社法第199条3項)。

劣後する種類株式

普通株式では投資家の了解が得られないことがあるでしょう。

そこで、創業者へのインセンティブとして上場したときは普通株式に転換されて上場した際のメリットは享受できるけれども、途中で会社を売った場合や解散した場合は他の株式よりも不利な条件となる種類株式で持株比率を高める方法が一つ考えられます。

具体的には、残余財産の分配に関して劣後する種類株式になるでしょう。

≫残余財産の分配に関する種類株式

議決権については、当初投資家に拒否権条項が付いていることが多いので、そうであれば種類株式を無議決権種類株式としなくてもいいかもしれません。

剰余金の配当についても劣後する内容にしてもいいかもしれませんが、剰余金を配当するくらいなら事業に回して上場を目指す方がリターンの期待値が高くなるでしょうから、あえて種類株式の内容にしないことも考えられます。

資本政策を最初から検討しておく

創業者の持株比率を高めるために募集株式の発行をするときは、当初投資家の承諾が欠かせません。

つまり、当初投資家の承諾を得られなければ、実行できない可能性が非常に高いものであるといえます。

資金調達を重ねていくのであれば、後でやり直すことが難しい以上、資本政策を最初の調達時から検討をしておかなければなりません。

汐留パートナーズグループでは、資本政策に関するコンサルティングサービスもご提供しております。


この記事の著者

司法書士/相続診断士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士・相続診断士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留司法書士事務所では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
様々なサポートを行っております。


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