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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

【2018年11月30日施行】会社・法人設立と新たな定款認証制度(実質的支配者となるべき者の申告書)

公証人法施行規則の一部改正が2023年6月1日から施行されましたので、本ページもそれに合わせてアップデートしています。

≫定款認証に係る実質的支配者申告書の様式の変更について(日本公証人連合会)
 

設立時の定款認証と実質的支配者となるべき者の申告

平成30年11月30日から、新たに第13条の4が新設された改正公証人法施行規則が施行されることになり、定款認証の方式が変わりました。

実務的には、株式会社、一般社団法人及び一般財団法人を設立するときに、公証役場における定款認証手続きにおいて、提出する書類が増えることになります。

また、当事務所ではまだ経験をしたことはありませんが、実質的支配者となるべき者が暴力団員等に該当し、又は該当するおそれがある場合は、最終的には公証人が認証をしてくれないというケースも生じ得ることになりました。

対象となる会社、法人

設立時に公証人の定款認証が必要な会社のうち、当該定款認証時に「実質的支配者になるべき者の申告書」の提出が必要となった会社、法人は次の3つです。

  • 株式会社
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人

合同会社は、そもそも公証人の認証手続きが不要ですので本改正による影響は受けません。

また、上記の法人3形態を除き、定款認証の必要な特定目的会社や特殊法人等も今までと変更はありません。

実質的支配者となるべき者の申告書

公証役場で認証手続きをする前に、定款案を事前に送付することが一般的ですが、その定款案の送付の際に、一緒に実質的支配者に関する申告書をファックスまたはメールで送信することになります。

申告書は、日本公証人連合会のホームページからダウンロードすることができます。

実質的支配者となるべき者の申告書(株式会社用) – 日本公証人連合会出典
実質的支配者となるべき者の申告書(一般社団、一般財団用) – 日本公証人連合会出典

実質的支配者となるべき者(株式会社)

株式会社の実質的支配者となるべき者とは、次のとおりです。

  1. 設立する会社の議決権の50%を超える議決権を、直接または間接に有する自然人
  2. 上記1がいない場合は、設立する会社の議決権の25%を超える議決権を直接または間接に有する自然人全員
  3. 上記1と2いずれにも該当する者がいない場合は、出資・融資・取引その他の関係を通じて、設立する会社の事業活動に支配的な影響力を有する自然人全員
  4. 上記123いずれにも該当する者がいない場合は、設立する会社を代表し、その業務を執行する自然人

ケース別の実質的支配者の特定の仕方については、こちらの記事をご参照ください。
≫【ケース別】株式会社の設立時、定款認証で求められる実質的支配者の特定

多くのケースが「1」または「2」に該当

ほとんどのケースでは、「1」または「2」に該当するのではないでしょうか。

出資者が1人であれば「1」に該当し、出資者が2-3名であれば必ず「1」または「2」に該当します。

出資者が4名以上であれば「3」または「4」に該当し得ますが、株式が散らばる保有の仕方は避けた方が設立後の意思決定をスムーズに行うことができます。

発起人が法人である場合(上場会社等以外)

発起人に法人がいる場合は、実質的支配者となるべき者の特定に注意が必要です。

X株式会社の発起人がY株式会社:100%であるときに、Y株式会社の株式をAが50%超保有している場合は、Aが「1」の実質的支配者となるべき者に該当します。

X株式会社の発起人がA:34%、Y株式会社:33%、B:33%であるときに、Y株式会社の株式を50%超保有している場合は、Aのみが「1」の実質的支配者となるべき者に該当します。

X株式会社の発起人がY株式会社:100%であるときに、Y株式会社の株式をZ株式会社が50%超保有していて、Z株式会社の株式をAが50%超保有している場合は、Aが「1」の実質的支配者となるべき者に該当します。

発起人が法人である場合(上場会社等)

発起人が法人であるときに、当該法人が上場企業またはその子会社である場合は、当該法人が自然人とみなされます。

そのため、このような場合は、当該法人につき株主を調査する等の必要はなく、そのまま当該法人が実質的支配者となるべき者に該当します。

実質的支配者となるべき者(一般社団法人、一般財団法人)

一般社団法人、一般財団法人の実質的支配者となるべき者とは、次のとおりです。

  1. 出資、融資、取引その他の関係を通じて事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人
  2. 1に該当する者がいない場合は、設立する法人を代表し、その業務を執行する自然人
申告受理及び認証証明書

実質的支配者となるべき者が暴力団員等に該当しないと認められる場合には定款の認証を行うこととなりますが、その認証文言は、従来のものに、「嘱託人は、『実質的支配者となるべき者である○○○○は暴力団員等に該当しない。』旨申告した。」旨の文言が付加されます。
<出典:新たな 定款認証制度に ついて”>新たな定款認証制度について(日本公証人連合会)>

この申告受理及び認証証明書は、当事務所で定款認証手続きを代行したときは、必ず発行してもらっています。

無料で交付してもらえますので、会社設立後にどこかの機関(例えば金融機関)等に提出する運用に変わる可能性もあるため、この証明書はご自身で手続きをされる場合も交付してもらった方がいいでしょう。

司法書士が会社、法人設立手続きを代行する場合

司法書士に会社、法人設立手続きを依頼する場合は、実質的支配者となるべき者の申告書への記名、押印及びその提出も当該司法書士が行うことになります。

そのため、司法書士に設立手続きを依頼すれば、実質的支配者となるべき者の申告手続きを含め司法書士が登記完了まで代行してくれるため、ご依頼者様はご自身のビジネスに集中をすることが可能です。

司法書士に依頼した場合、ご依頼者様は公証役場や法務局へ行く必要もありません。

会社、法人の設立手続きは、お近くの司法書士に是非お問い合わせをしてみてください。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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