国際ビジネスを支える専門家ネットワークの構築と信頼関係の重要性

ここ3年ほどの歩みを振り返ると、本当に多くの国々でRSMのメンバーファームと、国境を越えた強固な信頼関係を築き上げることができたと深く実感しています。交流を深める中で、現地の会計士はもちろんのこと、彼らとの繋がりからご紹介いただく弁護士や不動産会社といった周辺領域のプロフェッショナルたちとも、関わりが持てるようになりました。「この国での案件なら、この方に相談すれば絶対に大丈夫だ」と心から確信できるネットワークが、一歩一歩、確実に広がっています。

しかしその一方で、昨今の激しい経済環境の変化で、急激に進行した大幅な円安に加え、世界的なインフレも伴ってらゆるサービス価格が高騰しています。私たちが手掛ける国際ビジネスの展開支援、海外不動産、海外移住の手続き、そして国境をまたぐ国際相続といった領域では、現地の高度な専門知識が不可欠で、それに伴う専門家コストは、想像以上に重くなってきています。

そのため、正直なところ、十分な予算をあらかじめ確保していただける案件でなければ、ビジネスとしてスムーズに進めることが難しい場面ばかりというのが偽らざる現状です。特に、個人のお客様を対象としたご支援は、採算性という観点だけで考えると非常に悩ましい領域に突入しています。今、このような状況下でもご支援に踏み切れるのは、例えば「過去に事務所や私個人が大変お世話になった恩義があり、たとえ自分が持ち出してでも、何とかしてお力になりたい」と心から思えるような、特別なケースくらいかもしれない、というのが本音です。

少々取り留めのないお話になってしまいましたが、こうした厳しい環境に直面するからこそ、国際領域のビジネスにおいては「誰に頼めるか」、そして「誰を紹介してもらえるか」が何よりも大切であると改めて実感しています。世界中に広がる「信頼できる専門家ネットワーク」は、目に見えないからこそ、これ以上ない資産そのものです。今後も業界の皆様やクライアントの皆様に本当の意味でお役に立てるような、独自のポジションを目指してまいります。

厳しさを増す時代ではありますが、信頼できる仲間とともに、皆様の挑戦と未来を全力で支えてまいります。

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大切なのはキャリアパスではなくキャリアセット

20代半ば〜30代の公認会計士、税理士、USCPA等の方は、周りの活躍や転職、独立、海外挑戦などの話を耳にする機会も増え、どうしても焦りが出やすいタイミングです。自分だけが立ち止まっているように感じたり、このままで良いのだろうかと考えたりすることもあるかもしれません。

しかしこの時期は、自分の方向性を定め、必要なスキルや経験を積み上げていく、キャリアにおいて極めて重要なフェーズでもあります。

何かを始めるのに遅すぎることはありませんが、早い段階で自分にとって本当に意味のあるキャリアセット、すなわち”専門性×経験×志向”を見極められるかどうかで、その後の選択肢の質は大きく変わります。

「キャリアパス=時間軸のルート」に対して、私は「キャリアセット=価値を生む要素の組み合わせ」だと考えています。誰かのキャリアを真似たりとロールモデルを参考にすることは大切ですが、自分にとって最適なキャリアを考えること、「強みの掛け算」が何なのかを突き詰めることの方が、結果的に納得感のあるキャリアにつながるのではないかと感じています。

とはいえ、こういったことを一人で整理し判断していくのは中々大変です。目の前の仕事に全力で向き合っているからこそ、少し先の未来を考える余白がなくなってしまうこともあります。だからこそ、しかるべき相手に相談するべきだと思います。私自身も、今の道に至るまでたくさんの先輩方に相談させていただき、そのアドバイスに何度も救われてきました。

私が社内外でアドバイスをさせていただく際には、単なる職歴の確認ではなく、まず以下の点を必ずお聞きしています。

  • 人生の目標は何なのか
  • どんな人生にしたいのか
  • 何が好きで熱くなれるのか

まずはこうした人生の軸を明確にし、そこからバックキャスティングして、今何をするべきなのかを一緒に考えていきます。資格や職歴は大切ですが、それらはあくまで人生をより良くするための手段でもあります。自分がどんな未来を望んでいるのかを見つめることで、必要な経験や挑戦も少しずつ見えてくるはずです。

皆さんが自分だけの最高の「キャリアセット」を見つけ、納得のいく未来へ進むための小さなきっかけになれれば幸いです。

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技術革新がもたらす新たなリスクと成長の可能性

ここ最近、セキュリティに関するインシデントや情報漏洩の報告数が劇的に増加しています。デジタル化の進展に伴い、このような時代が到来することは予想されていたことではありますが、実際の脅威が広がるスピードやその影響範囲は、まさに私たちの想像を絶するものとなっています。

この状況が一過性の流行や一時的なブームではなく、私たちがインターネットを活用して日々の生活を送り、ビジネスを継続する限り、長期にわたって向き合っていかなければならない本質的な課題です。さらに今後、AIやロボット技術、自動運転、空飛ぶクルマ、あらゆる産業の無人化技術などが社会の隅々まで普及していくと、サイバー攻撃が直接的に人命を脅かす時代にもなり得ます。

このように社会構造が激変する時代の中にいると、限られたリソースや少人数の体制だけで事業を営み続けることには、従来以上に大きなリスクが伴うと実感します。企業規模の拡大を進めて強固なガバナンスと組織基盤を構築し、予期せぬ変化にも柔軟かつ迅速に対応できる体制を整えていくことが、これまで以上に重要となります。

一方で、技術の目覚ましい進歩は私たちに脅威だけをもたらすわけではありません。それ以上に大きな可能性をもたらしてくれるはずです。「乗り越えられない壁はない」私はそう強く信じています。

私たち自身も、RSMのグローバルネットワークを最大限に活用し、クラウド技術を通じたセキュリティサービスの提供をいっそう強化してまいります。これにより、多様化する脅威から企業を守り、社会全体の安全・安心に貢献していく所存です。

激変する環境や未知の脅威を過剰に恐れるのではなく、この変化そのものを新たな成長のチャンスへと変えていく。確かに大変な時代ではありますが、見方を変えれば、大きな可能性に満ちあふれた時代でもあります。

知恵を出し合い、強固に力を合わせて、この新しい時代を切り拓き、共に乗り越えていきましょう。

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AI時代におけるプロフェッショナルファームの組織構造と働き方の変革

先日、Deloitte UKの Equity Partnerが前年比6.5%増え、過去最多の784人になったという同社の決算ニュースがふと流れてきたのを見て、少し昔のことを思い出しました。

私が監査法人にいた2003年からの数年間は、今よりも組織全体に占めるパートナーの割合が高かった記憶があります。その後の約20年は、あくまで肌感覚ですが、パートナー比率を下げて若手を厚くし、大きなピラミッド型の組織へ向かってきたように思います。多くのスタッフが現場の作業を担い、少数のパートナーがそれを束ねる。それが事業を拡大するための自然なかたちでした。

でも、AIによってこの流れが反転するのかもしれない。最近、そんなことを考えています。リサーチ、ドラフト作成、データの照合といった定型業務をAIが担うようになれば、より多くの人が早い段階から専門性を高め、顧客と直接向き合い、Partnerレベルの仕事をするようになるはずです。そうなれば、これまで全構成員の10%程度だったパートナーが、将来は15%、20%になっていてもおかしくありません。組織のかたちも、ピラミッド型から少しずつ円柱型に近づいていくのではないでしょうか。もちろん、経験を積むことの大切さは変わりません。ただ、その中身は「時間をかけて作業をこなすこと」から、「早くから顧客の課題に向き合い、判断を重ねること」へ変わっていくのだと思います。

そして、私がいちばん面白いと感じるのはここからです。これまでプロフェッショナルが自分の裁量で仕事をつくろうとすると、独立が大きな選択肢でした。けれどもこれからは、独立しなくても、組織の中で経営者のように仕事をつくることができる。しかも、組織のブランドや仲間、ネットワークを活かして、一人ではできないことを大きなスケールで実現できる。

そんな未来なら、プロフェッショナルにとってすごく面白いと思います。

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努力で勝てる領域を選ぶということ

公認会計士として国内を中心にキャリアを積んできましたが、汐留パートナーズを創業後、「後発でも勝てる領域はどこか」と考え、たどり着いたのが国際分野でした。今振り返ってみると、ここは努力次第で何とかなる世界だった気がします。

少し余談ですが、高校時代は100mの選手でした。11秒3とまずまずの記録でしたがそれでは通用せず、200m、400m、800m、1500m、5000mと距離を伸ばしていきました。その過程で痛感したのは、100mは速筋、5000mは遅筋というように、生まれ持った資質の影響が大きい世界があるということ。短くても長くてもダメ…。

そこで800mに活路を見出し、北海道大会まで出場し、好タイムを記録することができました。ここで学んだのは、努力で届く領域とそうでない領域があるということ。努力をいとわないのであれば、自分の努力が報われる世界に身を置くべきだということでした。

その考えは、大規模でも小規模でもない「中堅ファーム」という立ち位置の選択や、努力で切り開ける領域を選び続けるという、今の人生の選択にもつながっているような気がしています。

さて、話は戻りますが、30代前半で国際業務を始めた当時は英語もほとんどできませんでした。そこから34歳でUSCPA(米国公認会計士)を取得し、その後も10年以上、英語を学び続けています。

今は何とか最低限の議論ができ、意思決定に関与できるレベルにはなってきたと思います。これも国際経験が豊富な優秀な経営メンバーに支えられたからこそ。「RSM」への加盟までたどり着くことができました。

仲間と環境に恵まれたことに心から感謝しています。今では、皆の期待に応えたくて努力を重ね、国際経験のあるマネージングパートナーになったと、少しは言えるようになってきたかもしれません。もちろん、まだまだ学ばなければならないことばかりですが。

1回目の職業人生は、人の3~4倍働くような肉体派で思い切り走り切りました。こうして2回目は国境を超えるチャレンジングな職業人生を歩ませていただいていることにも、改めて感謝しています。

長くなりましたが、もし3回目があるなら、フィランソロピー(慈善事業)的な領域にも取り組んでみたいと思っています。まずは60歳以降に向けて、もう一段成長していきたいです。頑張っている人、努力をしている人が正しい方向に向かって進めるようにこれからも応援しています。

私自身も、皆さんに負けないよう、自分の信じた道を全力で走り続けていきます。

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士業とITの融合が拓く、プロフェッショナルファームの未来

9月にアメリカ、パナマ、ペルーと、ITコンサルティング事業部のパートナーである西岡と一緒に回ってきました。移動時間が長くなるので、いつもより濃密な対話ができたように感じます。士業というバックグラウンドを持つ私の視点と、ITの最前線を走る彼の視点。それぞれの世界の共通点や相違点について語り合う機会が何度もあり、これが実に刺激的で面白かったのです。

彼らITコンサルティングのプロフェッショナルたちがグループに加わってくれたおかげで、RSM汐留グループにおいても、ITコンサルティングサービスを強力に、そして垂直に立ち上げることができました。もちろん、まだスタートラインに立ったばかりであり、本当の勝負はこれからです。それでも、彼らとの協業を通じて、これまでのプロフェッショナルファームの常識を塗り替えるような可能性を日々肌で感じています。

これからの士業ファームは、エンジニアの力を単に「借りる」だけでは足りないのではないか?最近、強くそう感じています。システム開発を発注し、納品してもらうという従来の縦割りや外注の関係ではなく、エンジニアと対等に議論し、一緒に新しいサービスをつくり上げ、時には共に経営を担っていく。そんな深いレベルでの一体感が必要なのではないでしょうか。

グローバルを見渡しても、その潮流はすでに現実のものとなっています。例えばRSM USでも、数年前からコンサルティング部門出身のリーダーがCEOを務める時代になりました。文系・理系と単純に二分するつもりはありませんが、異なる環境で深く学び、異なる思考回路で課題を解決してきたプロフェッショナルたちが交わることで、ファームはより強靭に、そしてダイナミックに進歩できるはずです。

最近は士業の世界でも、特に税理士の皆様が最新のテクノロジーを積極的に業務に取り入れ、サービスそのものを変革しようとしています。私自身も技術の進化の速さに驚かされつつ、日々勉強の連続です。こうした変化の波を間近に体験するなかで、私自身のこれからのテーマとして、「士業×IT」に本気で取り組みたいと思いました。

単に士業の業務をITで効率化・自動化する、いわゆるバックオフィスのDXに留まらず、士業の専門性と最先端のITが融合したその先に、これまでになかった新しいプロフェッショナルサービスを自分たちの手で創り出すこと。西岡をはじめとする優れたエンジニアたちから学びながら、この挑戦を本気で形にしていきたいと思っています。

グローバルな旅のなかで得た確信と熱量を胸に、私たちにしか描けない未来へ向けて、ここから力強く歩みを進めてまいります。

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RSM Shiodome Partners Leadership Conference 2026東京開催

先日、2026年9月24日に東京アメリカンクラブにて「RSM Shiodome Partners Leadership Conference 2026」を開催いたしました。今年で2回目となったこのカンファレンスには、全国の各拠点からリーダー陣が一堂に会し、ゲストを含めた約90名が一つの空間に集いました。

今回のテーマは「2031へ、今日から。Leading the Next」です。私たちRSM汐留パートナーズが5年後の2031年に見据える大きな目標に向かい、リーダー一人ひとりが「これからの組織」そして「自分自身の果たすべき役割」を力強く再定義する、きわめて重要な機会となりました。

第1部では、取締役COOの金森より、全社向けの決算・事業計画報告会で示した方針を踏まえつつ、業績や主要指標、組織全体の現在地、そして今後の成長戦略を共有してもらいました。現状を正確に把握し、未来の方向性を揃えることがすべてのスタートになります。

続くパネルディスカッションのテーマは、「組織として、何を変え、何を守るべきか」です。事業規模が拡大を続ける局面にあっても、私たちが絶対に手放してはならない「RSM汐留パートナーズらしさ」という文化や価値観。一方で、さらなる飛躍のために果敢に変革していくべき組織のあり方を登壇者たちがそれぞれの立場から熱い思いを語り合い、私自身も胸を打たれました。

また、今回は単に登壇者の言葉に耳を傾けるだけでなく、参加者全員が自らの思考を言語化する時間も設けました。「あなたにとって、リーダーとは何か?」という問いに対し、指名されたメンバーが自身の経験や価値観に基づき、まっすぐな言葉で答えてくれました。多様な視点から語られる「リーダー像」の共有は、参加者全員に深い気づきをもたらしたはずです。

さらに「経験から語るリーダーシップ」をテーマとした2つ目のパネルディスカッションでは、背景の異なるリーダーたちが、これまで現場で直面してきた葛藤や葛藤の末の判断、人や組織との向き合い方を生々しく語ってくれました。組織を牽引する中でのリアルな試行錯誤を知ることで、リーダーとしての覚悟がより一層深まったと確信しています。

第2部の懇親会では、普段は異なる拠点や部門で活躍する仲間たちが親睦を深めました。第1部で同じテーブルを囲んだメンバーでの写真撮影をはじめ、会場のそこかしこで笑顔と対話の花が咲いていました。RSM清和監査法人からのゲストの皆様も含め、RSM Japanとしてのグループの垣根を越えた絆がより強固になったと感じています。

今回のカンファレンスを通じて交わされた真摯な対話や多くの気づきを、私たちは日々の現場での実践へと落とし込んでまいります。2031年の目標に向け、これからもグループ一丸となって力強く前進を続けてまいります。

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会社の成長を支える「人」と、これからの未来

先日、グループの決算報告と事業計画の発表会を行いました。おかげさまで、今期も無事に増収を達成し、これで18年連続での増収となります。

地球の裏側からオンラインで約1時間にわたって、会社の全役職員に向けてグループの現状とこれから描く未来についてお話ししました。画面越しではありましたが、皆さんの真剣な表情や熱量がこちらまでダイレクトに伝わってきて、私自身も胸が熱くなりました。未来についてあまりにも熱く語りすぎてしまったのか、興奮が収まらず、中々眠れない夜になりました。

資本主義の原則に照らし合わせれば、会社とは株主のものと定義されることが多いかもしれません。しかし、私たちが身を置くコンサルティング、士業ファームのあり方は、それとは少し異なる本質を持っているように感じています。

振り返れば、私が2008年に自宅の一室でこのビジネスを立ち上げたとき、莫大な資本はまったく必要ありませんでした。工場を建てるわけでもなければ、倉庫に大量の在庫を抱えるわけでもありません。形のない知見や信頼、そして「人」こそがすべての源泉です。だからこそ、株主だから偉い、創業者だから偉い、などと思ったことはありません。

私は、この会社に自分の人生の最もかけがえのない「時間」を投資してくれている、すべての役職員こそがこの会社のオーナーであると思っています。

だからこそ、年に一度の決算報告会は、単なる数字のトレンドを説明するだけの乾いた場ではありません。共同オーナーである皆さんに、この1年間で私たちが歩んできた足跡を報告し、これから一丸となってどこへ向かうのか、そのビジョンを共有する大切な時間です。そして同時に、これからも私が代表取締役として会社を牽引していくことへの信任を改めていただく場でもあると考えています。

今日という日を共に迎えられたこと、そして同じ未来を見据えて走ってくれる仲間がいること、役職員の皆さんへ心から感謝します。また新しい1年に向けて、共に歩んでいきたいと思います。

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公認会計士制度の変化から考える、人材と組織のこれから

日本は、学歴に関係なく挑戦のスタートラインに立てる公認会計士試験の制度を持っています。これは世界的にもかなり珍しいケースといえるでしょう。かつて受験生が大きく減少した時期に、あえて受験資格を撤廃し門戸を広く開いたことが現在の背景にあるとも耳にします。誰にでも門戸が開かれているこの仕組みは、多様なバックグラウンドを持つ人材がプロフェッショナルを目指す大きな原動力となってきました。

一方で、かつて私がワシントン州でUSCPAを受験した当時は、試験自体は受けられたものの、実際にライセンスを登録・取得するためには厳格な必要単位数が定められていました。私自身も、日本の環境からそのままでは基準を満たせず、海外の大学院に通信制で籍を置き、追加で単位を修得するプロセスを踏みました。米国においては社会人であっても必要な学び直しや大学院進学が一般的なようだ、と深く印象に残っています。

これからのAI時代を見据えると、監査法人やプロフェッショナルファームが必要とする人材像や人員のあり方も、間違いなく大きく変化していくはずです。「公認会計士の資格さえ取得すれば就職やキャリアに困らない」というかつての安定モデルも、少しずつ形を変えていく過渡期にあるのかもしれません。実際、試験制度においても英語力が短答式試験の一部に取り入れられるなど、時代に合わせた変化が起きています。こうした流れを見ていると、今後はまた、一定の高度な学歴や体系的な学習歴を持つ層が再び中心となって受験する時代に回帰していくのだろうかなどと、ふと取り留めもなく考えました。

ただ、急速に変化する時代や制度の潮流にあっても、私たちが身を置くRSM汐留グループが大切にしたいあり方は変わりません。私たちは、学歴や資格のラベルだけで人を見ない組織でありたいと強く思っています。どのようなバックグラウンドや経歴を持っていようとも、プロフェッショナルとして自らのバリューをしっかりと発揮できること。そして何よりも、仕事や周囲に対して誠実であり、真摯に向き合える姿勢を持っていること。そんな本質的な魅力を持った人を積極的に採用し、丁寧に育て、長く同じ釜の飯を食っていきたい。

日々刻々と変わる業界のトレンドや社会構造に触れる中で、最近はそんな組織のあり方や人の育ち方について、改めて深く考えることが多くなりました。

変化の激しい時代だからこそ、制度や形に囚われず、目の前の人と真っ直ぐ向き合いながら、ともに成長し続けられる組織でありたいです。

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生成AI時代における会計業界の価値と経営のあり方

Claudeをはじめとする生成AIを活用し、業務工数を劇的に削減できているという話を頻繁に耳にするようになりました。単なる事務作業の補助に留まらず、思考の壁打ちや高度なドキュメント作成までこなすその進化には、目を見張るものがあります。こうした取り組みは、資本を投下して大規模に実行すればするほど、そのリターンが指数関数的に拡大するという特徴を持っています。この構造は、現在欧米のPEファームが会計事務所を次々と買収しているトレンドとも、一部関連していると感じています。

PEファームが会計事務所を評価する際、従来の12x EBITDAという評価ではなく、本格的なAI導入による「人件費80%削減」を前提とした「15x」で評価しているという話を以前聞きました。通常、12倍という数字でも業界内では十分に高い評価と言えます。そこにさらに価値を上乗せするという判断は、この業界が持つポテンシャルと、テクノロジーによる利益率向上の確信がいかに強いかを物語っています。

しかし、会計や税務という業務の本質は、単なるデータの処理や計算の効率化だけではありません。最終的な判断の重み、法的・倫理的な責任の所在、そして何よりも長年培ってきた顧客との信頼関係。顧客層によって変わってくるかもしれませんが、こういったものこそ私たちが提供する価値の中核を占めているはずです。

AIによって定型業務の効率が飛躍的に向上することは疑いようのない事実ですが、それが直ちに「業界全体で一律に人件費を80%削減できる」という結論に結びつくかどうかについては、慎重に見極める必要があるのではないでしょうか。

日本では、従業員の雇用やコミュニティとしての組織が比較的重んじられる環境があります。私自身も、共に働く仲間たちの雇用を守り、共に成長していくことを大切にしたいと願う経営者の一人です。AIによる大幅な人員削減を唯一の正解とし、それを前提に巨額の資金を注入してバリュエーションを吊り上げるような「数字至上主義」の経営には、正直なところ心の底からの心地よさを感じることができません。

テクノロジーがどれほど進化しても、最後に問われるのは「私たち人間にとって何が本当に幸せなのか」という問いではないでしょうか。効率化の先にあるのは、単なる利益の極大化だけではないはずです。お金という指標だけでは測れない、仕事のやりがいや生きる価値、そして人との繋がり。そうした手触り感のある価値を、これからもしっかり意識していきたいです。

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