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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

【ケース別】種類株主総会の決議が必要なケース・不要なケース

種類株主総会

株式会社においては、ある議案を成立させるために、株主総会の決議の他に、種類株主総会の決議も必要なケースがあります。

≫種類株式に係る株主総会(種類株主総会)の決議が必要なとき

それでは、具体的にどのようなケースにおいて種類株主総会の決議も必要となるのでしょうか。

ここでは、登場する会社が非公開会社の株式会社であることを前提としています。

種類株式発行会社が、新しく別の種類の種類株式を発行するケース

普通株式、A種類株式が発行されていて、他に種類株式に関する定款の定めのない株式会社Oにおいて、新たにB種類株式を発行するケースはどうでしょうか。

このケースでは、次の株主総会の決議が必要となります。

  1. 全体の株主総会
  2. 普通株主による種類株主総会
  3. A種類株主による種類株主総会

種類株主総会の決議が必要な理由は、会社法第322条1項1号の「株式の種類の追加」に該当するためです。

ところで、株式会社Oの定款に、普通株主・A種類株主による種類株主総会の決議を要しない旨が定められていた場合はどうでしょうか(会社法第322条2項)。

この場合でも、種類株主による種類株主総会の決議が必要であるとの結論に変わりはありません(会社法第322条3項)。

つまり、定款の定めに関わらず、株主総会・普通株主による種類株主総会・A種類株主による種類株主総会の3つの株主総会の決議が必要です。

≫種類株式発行会社が新たに別の種類株式を発行するときの手続きと登記

既存の種類株式を追加発行するケース

普通株式、A種類株式が発行されていて、他に種類株式に関する定款の定めのない株式会社Pにおいて、A種類株式を追加で発行するケースはどうでしょうか。

このケースでは、原則として次の株主総会の決議が必要となります。

  1. 全体の株主総会
  2. A種類株主による種類株主総会

種類株主総会の決議が必要な理由は、A種類株式の追加発行が会社法第199条4項に該当するためです。

なお、当事務所では、A種類株式の内容として普通株式へ転換できる旨の取得請求権等が付いている場合は、普通株主による種類株主総会の決議も得ていただいております。

ところで、株式会社Pの定款に、A種類株式を追加発行する際はA種類株主総会の決議を要しない旨が定められていた場合はどうでしょうか。

この場合は、A種類株主による種類株主総会の決議は不要です。

≫種類株式発行会社が、既存の種類株式を発行をして増資するときの手続き上の注意点

定款に定めはあるが実際に発行されていない種類株式を発行するケース

普通株式、A種類株式が発行されていて、B種類株式に関する定款の定めはあるがまだ発行されていない株式会社Qにおいて、B種類株式をこれから第三者割当の方法で発行するケースはどうでしょうか。

このケースでは、原則として次の株主総会の決議が必要となります。

  1. 全体の株主総会

会社法第199条4項によりB種株主による種類株主総会の決議が必要であるように思えますが、B種類株主が存在しないためB種株主による種類株主総会は不要です(できません)。

ところで、株式会社Qの定款に、募集株式の発行をするときは全体の株主総会の決議の他に、A種類株主による種類株主総会の決議も必要と定められていた場合はどうでしょうか。

この場合は、A種類株主による種類株主総会の決議も必要となります(会社法第108条1項)。

新株予約権を新たに発行するケース

普通株式、A種類株式が発行されていて、他に種類株式に関する定款の定めのない株式会社Rにおいて、新株予約権(その目的である株式=普通株式)を発行するケースはどうでしょうか。

このケースでは、原則として次の株主総会の決議が必要となります。

  1. 全体の株主総会
  2. 普通株主による種類株主総会

普通株主による種類株主総会の決議が必要な理由は、新株予約権の発行が会社法第238条4項に該当するためです。

株式会社Rの定款に、新株予約権(その目的である株式=普通株式)を発行する際は普通株主による種類株主総会の決議を要しない旨が定められているのであれば、当該種類株主総会の決議は不要です。

ところで、株式会社Rの定款に、新株予約権を発行する際はA種類株主総会の決議を要する旨が定められていた場合はどうでしょうか。

この場合は、A種類株主による種類株主総会の決議も必要となります(会社法第108条1項)。

特定の種類の株式につき株式分割をするケース

普通株式、A種類株式が発行されていて、他に種類株式に関する定款の定めのない株式会社Sにおいて、普通株式につき株式分割をするケースはどうでしょうか。

このケースでは、原則として次の株主総会の決議が必要となります。

  1. 全体の株主総会
  2. A種類株主による種類株主総会

A種類株主による種類株主総会の決議が必要な理由は、会社法第322条1項2号の「株式の分割」に該当するためです。

ところで、株式会社Sの定款に、A種類株主による種類株主総会の決議を要しない旨が定められていた場合はどうでしょうか(会社法第322条2項)。

この場合は、A種類株主による種類株主総会の決議は不要です。

ただし、一般的には普通株式を株式分割するときには、A種類株式も同じ比率で株式分割をする旨が定款に定められていることがほとんどです。

資本金の額の減少(減資)をするケース

普通株式、A種類株式が発行されていて、他に種類株式に関する定款の定めのない株式会社Tにおいて、減資をするケースはどうでしょうか。

このケースでは、原則として次の株主総会の決議が必要となります。

  1. 全体の株主総会

種類株主総会の決議が不要な理由は、種類株主総会の決議が必要となる会社法の条文につき、減資の手続きが該当しないためです。

ところで、株式会社Tの定款に、減資をするときは全体の株主総会の決議の他に、A種類株主による種類株主総会の決議も必要と定められていた場合はどうでしょうか。

この場合は、A種類株主による種類株主総会の決議も必要となります(会社法第108条1項)。

種類株主総会の決議が必要か不要かはケースバイケース

ある議案を株主総会で成立させる場合に、種類株主総会の決議も必要かどうかは、議案の内容と定款の定めによってケース毎に異なってしまいますので、ケース毎に慎重に判断をしていくことになります。

そのため、上記の各ケースでは、必要となる株主総会の決議につき「原則として」とさせていただきました。

当事務所にご相談をいただいたときには、種類株主総会の決議を欠いていたために議案が有効に承認されていないまま1年以上経過していた…、というケースも実際にはありました。

出資を受け、ステークホルダーも多くなってきている会社においては、今まで以上に法務手続きもしっかりと踏んでおいた方がいいでしょう。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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