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代表司法書士・相続診断士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

種類株式に係る株主総会(種類株主総会)の決議は必要?不要?

種類株主総会の決議が必要なとき

株式会社は、当該会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができることをその内容とする株式を発行することができます(会社法第107条、108条)。

≫種類株式の基本

株式会社が一定の事項を決議するときは、(全体の)株主総会に加えて、ある種類株式に係る株主総会(以下「種類株主総会」といいます)が必要なケースがあります。

全ての事項について種類株主総会の決議が必要なわけではなく、会社法及び定款で定められた事項についてのみ、決議をすることができます(会社法第321条)。

(種類株主総会の権限)
会社法第321条

種類株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。

種類株主総会の決議が必要なとき

種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存在しない場合を除き、次のようなケースにおいて、当該種類株主総会の決議が必要となります。

種類株主総会の決議が必要なとき
根拠条文
ある種類株式に、譲渡制限を付けるとき
会社法第111条2項
ある種類株式に、譲全部取得条項を付けるとき
会社法第111条2項
譲渡制限の付いている、ある種類株式の募集株式の発行をするとき
会社法第199条4項
譲渡制限の付いている、ある種類株式の募集株式の発行を取締役会(取締役)へ委任するとき
会社法第200条4項
譲渡制限の付いている、ある種類株式を目的とする募集新株予約権の発行をするとき
会社法第238条4項
譲渡制限の付いている、ある種類株式を目的とする募集新株予約権の発行を取締役会(取締役)へ委任するとき
会社法第239条4項
一定の事項(会社法第322条1項参照)を決議する場合の、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき
会社法第322条1項
株式の内容として種類株主総会の決議があることを必要とする旨の定めがあるとき
会社法第323条
会社法第108条1項

※会社法第111条2項の規定につき、これらが対価となる取得請求権付種類株主の決議、取得条項付種類株主総会の決議、組織再編行為を含みます。

種類株主全員の同意が必要なとき

種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存在しない場合を除き、次のようなケースにおいて、当該種類株主全員の同意が必要となります。

種類株主全員の同意が必要なとき
根拠条文
ある種類株式に、取得条項を付けるとき
会社法第111条1項
ある種類株式に付いている取得条項の内容を変更するとき
(取得条項を廃止する場合を除く)
会社法第111条1項
ある種類株式について、種類株主総会の決議を要しない定款の定めを設けるとき
会社法第322条4項

ある種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合

次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該種類株式に係る株主総会の決議がなければ、その効力を生じないとされています(会社法第322条1項)。

  1. 株式の種類を追加する定款の変更
  2. 株式の内容を変更する定款の変更
  3. 発行可能株式総数(発行可能種類株式総数)を増加する定款の変更
  4. 特別支配株主の株式等売渡請求に係る承認
  5. 株式の併合、株式の分割、株式無償割当て
  6. 株主割当てによる募集株式の発行
  7. 株主割当てによる募集新株予約権の発行
  8. 新株予約権の無償割当て
  9. 合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転
  10. 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
  11. 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得

※上記123については、会社法第111条による変更を除きます。

種類株主総会の決議を要しない旨の定め

種類株式発行会社は、ある種類の株式の内容として、種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができます(会社法第199条4項、第200条4項、第238条4項、第239条4項、第322条2項、3項)。

当該定めにつき、登記の要否は次のとおりです。

定款の定めの内容
登記の要否
募集株式及び募集新株予約権に関する種類株主総会の決議が不要である定款の定め
不要
会社法第322条2項に関する種類株主総会の決議が不要である定款の定め
必要

決議を要しない旨の定めと特定の定款変更

ある種類株式の内容に、単に「株主総会において議決権を行使することはできない。」と定めている場合でも、次の事項に関する定款の変更については種類株主総会の決議が必要です(会社法第111条による変更を除く)。

  • 株式の種類の追加
  • 株式の内容の変更
  • 発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数の増加

これらについても種類株主総会の決議を不要とする場合は、その旨の定款の規定も必要であるとされています。

決議を要しない旨の定めを置けない決議事項

次の事項については、種類株主総会の決議(総種類株主の同意)を要しない旨の定めを定款に置くことはできません。

  • ある種類株式に譲渡制限を付けるとき
  • ある種類株式に全部取得条項を付けるとき
  • ある種類株式に取得条項を付けるとき

※これらが対価となる取得請求権付種類株主の決議、取得条項付種類株主総会の決議、組織再編行為を含みます。

種類株主総会の決議を必要とする旨の定めがある場合

一定の事項を決議するときに、株主総会の決議の他に、ある種類株主総会の決議がなければ効力を生じないと定款に定めることができます。

この種類株式は、拒否権付種類株式と呼ばれています。

≫拒否権付種類株式

ベンチャーキャピタル等が出資をするときに用いられる種類株式においては、この条項が入っていることが多いです。

そのため、会社法第322条1項に列挙されていない事項、例えば資本金の額の減少や目的の変更といった定款の一部内容の変更についても種類株主総会の決議が必要かどうか、登記簿や定款をチェックしなくてはなりません。


この記事の著者

司法書士/相続診断士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士・相続診断士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留司法書士事務所では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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