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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

韓国法人が出資して設立する日本法人(日本支社)の設立登記手続き

韓国法人の日本支社

韓国法人が出資をして日本に会社を設立したいというご相談をいただくことがあります。

ここでは「駐在員事務所」という形態は置いておくとすると、韓国法人が日本に進出するときはその形態として「日本支社」か「日本支店」を選択します。

日本支社を選択された場合は、韓国法人が出資をして日本に会社を作ることになりますが、次はその会社の形態として「株式会社」か「合同会社」を選択することになります。

日本に住所のある個人が出資をして日本で会社を設立するケースと比較して、韓国法人の日本支社設立の登記手続きには次のような気を付けた方が良い点があります。

日本支社として株式会社を設立する

韓国法人が日本支社を設立するときに、その法人形態として株式会社が選ばれることは多いかもしれません。

日本で株式会社を設立するときの一般的な流れは、こちらの記事をご確認ください。

≫司法書士による株式会社設立サービス

当事務所には連携している税理士・会計士がおりますので、税務等のご相談にもワンストップで対応させていただくことができます(海外法人が日本支社を設立するときは、税務の点も気になるかと思います)。

上記は株式会社設立の一般的な手続きの流れですので、韓国法人が発起人の場合は次のような点に注意が必要です。

公証役場での定款認証

株式会社を設立するときは、定款を公証人に認証してもらう必要があるところ、2018年11月30日より定款認証の方式が変わり、実質的支配者となるべき者の申告書の提出が義務付けられています。

法人が発起人となるケースにおいては、公証人に発起人たる法人の登記簿謄本と印鑑証明書を提出する点については以前と変わりはありません。

加えて、設立する株式会社の実質的支配者を確認するために、発起人たる法人の株主名簿及び発起人たる法人の議決権50%超を有する個人の本人確認書類も求められます。

(実質的支配者が韓国在住の韓国籍の人である場合)本人確認書類を含めこれらの書類は韓国語で作成されているため、日本語の訳文も併せて提出します。

なお、公証人の定款認証は郵送+テレビ会議システムでも行うことができるようになりましたので、東京にいながら、北海道や九州エリアに株式会社を設立したいというご相談にも対応することができます。

発起人の銀行口座

株式会社を設立するときは、発起人は自身の預金(貯金)口座に出資金を振り込みます(入金でも可)。

韓国法人が日本に進出する際、韓国法人が預金口座として日本の金融機関のそれを保有していないことが少なくありません。

≫設立時、払込証明書として邦銀の海外支店の口座を利用できるか

その場合、日本支社の代表取締役が日本の銀行口座を保有しているときは、当該銀行口座に出資金を振り込むことでこの問題をクリアできます。

≫設立時、払込証明として利用できる預金口座名義人の範囲

日本支社の役員全員が日本の銀行口座を保有していない場合は、日本にいる協力者の銀行口座を利用することになるでしょう。

出資するお金の種類

日本支社を設立するときの出資金は、日本円で(またはウォンを日本円に換金して)出資をすることが多いのではないでしょうか。

一方で、韓国の通貨であるウォンをウォンのまま出資することも可能ではあります。

≫募集株式の発行(増資)の手続きにおいて外貨で出資をする場合の手続きと登記

役員が韓国在住の韓国国籍の人

現在においては、代表取締役全員が日本に住所のない人であっても、登記手続き上は問題ありません。

≫代表者全員が日本に住所を有していなくても法人登記は可能に

ただし、一般論として役員全員が日本に住所がない場合、設立した株式会社の銀行口座を開設するときにそのことがネガティブに判断されることがあります。

ところで、韓国の個人印鑑証明書には必ずしも印鑑登録者の生年月日が記載されないので注意が必要です(印鑑証明書取得者の生年月日は記載される)。

パスポート等の公的書類のコピーで生年月日をフォローすることにより登記が通った法務局はありましたが、印鑑証明書に生年月日の記載がないときは、事前に法務局と相談をした方が無難です。

日本支社として合同会社を設立する

韓国法人が日本支社を設立するときに、その法人形態として合同会社が選ばれることもあります。

日本で合同会社を設立するときの一般的な流れは、こちらの記事をご確認ください。

≫司法書士による合同会社設立サービス

例えば自己資金で日本において不動産投資を行う場合、出資金の全額を資本剰余金に計上できる点は合同会社の便利なところです。

仮に、10億円出資して日本で不動産投資を行う日本支社を設立するケースでは、株式会社であればミニマムで5億円は資本金に計上しなければならないため登録免許税は350万円かかります。

加えて資本金が5億円を超えるため、会計監査人及び監査役の設置義務も生じてしまいます。

一方で合同会社であれば、仮に資本金に計上する額を100万円とすれば、登録免許税は6万円で済むことになります(残りの9億9900万円は資本剰余金に計上)。

定款認証

株式会社と異なり、合同会社の場合は公証人に定款認証をしてもらう必要がありません。

ただし、登記手続き上、韓国法人の登記簿謄本及び印鑑証明書(とそれらの日本語訳文)は準備する必要があります。

発起人の銀行口座

株式会社と異なり、合同会社の場合は必ずしも、出資があったことの証明として預金(貯金)口座の通帳の写しは求められておらず、合同会社の代表社員が作成する領収書でも足りるとされています。

ただし、司法書士に合同会社の設立登記を依頼するときは、通帳の写しでなく領収書を用意するケースにおいても、実際に出資金たるお金があるかどうかの証拠(通帳の写し等)が求められるでしょう。

代表印の届出と保証書

業務執行社員及び代表社員が法人であるときは、その職務執行者を選任しなければなりません。

この職務執行者も、日本に住所を有しない人でも登記手続き上は問題ありません。

ところで、代表社員の職務執行者が会社実印の届出を行うときは、印鑑届書を提出する方法により行います。

代表社員たる法人の代表者(印鑑提出者)以外の人が職務執行者となるときは、保証書の作成・提出が必要となります。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
様々なサポートを行っております。


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