商業登記関係 役員全員の解任登記を申請すると・・・
こちらの記事をご確認ください。
≫【運用変更】役員全員の解任登記の申請があった場合、登記完了後に本店へ連絡がされるようになりました
株主総会による取締役の解任決議
取締役に会社から出て行ってもらう方法として、株主総会で取締役を解任するという方法があります。
取締役の解任の決議は、定款に別段の定めがない限り、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行います(会社法第339条)。
なお、この決議はいわゆる特殊普通決議ですので、定款で定めても定足数を3分の1以下にすることはできません(会社法第341条)。
累積投票で選任された取締役の解任
累積投票で選任された取締役を解任するときは、定款の定めの無い限り、株主総会の特別決議が必要となります(会社法第309条2項7号)。
役員選任権付種類株主が選任した取締役の解任
役員選任権付種類株主総会の決議によって選任された取締役を解任するときは、当該総会の決議によって解任します(会社法第347条)。
取締役の解任と損害賠償
解任された役員は、その解任について正当な理由がある場合を除き、解任によって生じた損害の賠償を請求することができるとされています。
非公開会社においては取締役や監査役の任期を10年まで伸長することができますが、任期が長いと任期の途中で辞めてもらいたくなったときに大変です。
任期を1年、2年など短くしておくと、辞めてもらいたい役員を再任しなければいいだけとなります。
役員全員の解任する登記申請があった場合の取扱い
役員の解任の登記は、株主総会議事録(必要であれば定款)、株主リストがあれば登記申請ができてしまいます(新しい役員の就任にかかる添付書類を除く)。
つまり会社実印があれば本当に役員解任にかかる株主総会があったかどうかに関わらず、役員解任の登記ができてしまうことになります。
役員全員の解任という会社にとって非常に重要な内容の登記を、登記手続き上は比較的容易にできてしまうため、法務局では次のような運用をされています。
なお、あくまで役員「全員」の解任登記の場合です。
役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて(H15.5.6民商第1405号)
役員全員の解任登記が法務局に申請をされると、法務局から当該会社に適宜の方法で連絡が入ります(多くは書面で、でしょうか)。
一定期間、法務局に対して異議等がなければ当該登記が完了するという流れになりますので、通常の登記より時間がかかることになります。
<追記>冒頭にあるとおり、この運用が令和2年3月23日に変更されました。
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この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。