商業登記関係 (一般社団法人)役員の再選にかかる登記費用と、みなし解散から継続にかかる登記費用
一般社団法人とみなし解散
最後の登記から5年を経過している一般社団法人(休眠一般法人といいます)は、毎年10月頃に法務局による公告及び通知を経て、12月頃に法務局から解散の登記を入れられます。
この解散のことを「みなし解散」といい、実際に一般社団法人が事業活動を行っているかどうかに関係なく登記簿からのみ判断され行われます。
みなし解散の登記を入れられた後でも、継続の登記をすれば解散状態を脱することは可能です。
しかし、みなし解散の登記がされていない状況でも、役員の選任懈怠や登記懈怠に気付いているのであれば、早く役員変更の登記申請をするに限ります。
登記費用が変わる
みなし解散をされる前に役員の選任懈怠や登記懈怠に気付いた場合、早くその状態を解消した方が良い理由をここでは3つ挙げてみます。
1つ目は、法律違反である状況を改善した方がいい点です。役員の任期が切れているのにもかかわらず役員を選任しないことは、選任懈怠の状態に陥っています。
2つ目は、みなし解散から継続をしても、解散した旨の文字が3年程度履歴事項全部証明書に残ってしまうこと(抹消されたことを示す下線は引かれます)が挙げられます。
気にしない人は気にしませんが、一度何らかの理由により解散した法人なのだなと見られるかもしれません。
3つ目は、みなし開催後に継続の登記を申請することに比べて、みなし解散前に役員変更の登記を申請する方が費用が安くなる点です。
それでは、費用はどれくらいの差があるのでしょうか。
それぞれの登記費用はいくら?
みなし解散前にする役員変更登記とみなし解散後にする継続の登記の費用はそれぞれいくらで、どれくらいの差が生じるのでしょうか。
登記の費用とは、主に登録免許税のことを指しています。
この他に、司法書士に依頼した場合の司法書士への報酬についても差が生じることがほとんどです。
役員再選の登記費用
一般社団法人における役員変更の登記に関する登録免許税は1万円です。
新たに理事を追加するときも、現任の理事を再任(重任)するときも同様です。
司法書士報酬は変更内容(理事の人数含む)や各司法書士事務所の報酬体系によって変わってきますが、弊所の場合は書類作成業務を含めて4万円~となります。
みなし解散から継続の登記費用
継続の登記に関する登録免許税は3万円です。
この他に、清算人の登記に9,000円、継続後の役員の登記に1万円の登録免許税が発生します。
理事会設置法人の場合、みなし解散の登記によって理事会設置会社の登記は抹消されてしまうため、理事会設置法人として継続するのであればその旨の登記が必要となり、これに3万円の登録免許税が発生します。
司法書士報酬は変更内容にや各司法書士事務所の報酬体系によって変わってきますが、弊所の場合は書類作成業務を含めて7万円~となります。
どちらも懈怠による過料の可能性はある
役員の選任懈怠、あるいは登記懈怠をしている場合も、みなし解散から継続の登記をする場合も、選任懈怠・登記懈怠による過料の対象となります。
みなし解散から継続の登記をするのであれば、約3年以上もの間、役員の選任懈怠、あるいは登記懈怠に該当しています。
懈怠期間が長いほど、過料が課される可能性が高くなり、その金額が大きくなり得ますので、いつかは登記しなければなりません。
そうであれば、登記申請をするのは早い方が良いでしょう。
登記簿を確認してみましょう
一般社団法人の休眠会社の要件は、「最後の登記から5年を経過していること」であり、その期間は株式会社の12年に比べて短いものです。
登記簿を確認してみて、設立から4-5年何も登記を申請していない、、、という方は、少なくとも役員の登記が必要な状況となっていますので、早急に登記申請されることをお勧めします。
役員の任期が切れていて再任の手続きが必要な方は、こちらの記事をご確認ください。
≫一般社団法人の役員(理事・監事)の任期が過ぎてしまっているとき
既にみなし解散がされていて、継続の登記を検討している方は、こちらの記事をご確認ください。
≫一般社団法人がみなし解散状態を脱する方法(法人継続の登記)
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。