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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

一般社団法人がみなし解散状態を脱する方法(法人継続の登記)

みなし解散という制度

一般社団法人は理事の任期が最長約2年と長くはなく、知り合いや身内だけで設立した場合は役員のメンバーに変更がないことも少なくありません。

役員が変わらない場合でも任期が来れば再任手続きとその登記を申請しなければなりません。

この登記申請を何年も忘れてしまっている場合はどうなるでしょうか。

長年登記をせずに放置している一般社団法人は休眠法人に該当し、登記官の職権により解散させられてしまいます。

休眠法人とは

休眠法人とは、「最後の登記から5年を経過している一般社団法人」のことをいいます(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条1項)。

一般社団法人の理事の任期は最長約2年ですので、5年も登記簿が変更されていないのであれば、当該一般社団法人は活動をしていない(休眠している)法人と判断され得ます。

なお、この「最後の登記」は理事に関する登記に限りませんので、設立してから4年間理事の変更登記をしていなくても、4年後に主たる事務所の移転登記を申請するのであれば、その登記から5年を経過するまでは休眠法人に該当しません。
(しかし、理事の選任懈怠の状態ですので過料の対象となりますので、できるだけ早急に理事の選任手続きを行わなければなりません。)

休眠法人の整理

休眠法人は、一定の手続きを経て整理され、解散したものとみなされ(みなし解散といいます)、登記官に解散の文字を登記簿に入れられてしまうことがあります。

みなし解散の登記が入る前には必ずみなし解散に関する通知が届きますので、当該通知が法務局から届いた一般社団法人は、みなし解散の登記をされないよう早急に次のページをご確認ください。

≫法務局から休眠会社に関する通知が届いたときはどうするか

みなし解散がされたときの登記簿の記載

みなし解散がされると、理事の記載や理事会設置法人の記載に全て下線が引かれ、加えて次の文言が登記簿に追加されます。

平成●●年12月●●日一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条第1項の規定により解散

法人継続の登記

法人の登記簿を確認したところ、みなし解散の登記がされていたとしても、その法人がなくなったり必ずしも法人を畳まなければならないわけではありません。

みなし解散がされた後でも、登記簿から解散の文字を削除し、法人を復活させ営業活動等を継続させる旨の登記申請をすることができます。

これを継続の登記といいます。

法人継続するには期限があります

継続するには社員総会の決議が必要となりますが、この決議はみなし解散時から3年以内に行わなければなりません(法人法第149条1項)。

≫みなし解散された会社が継続をすることができる期間は3年

みなし解散の登記が入ってるけどよく分からないから放置、、、しておくと、法人継続ができなくなってしまうかもしれません。

社員総会の開催

みなし解散された法人を継続するには、その旨を社員総会で決議する必要があります。

この決議は、特別決議の要件を満たさなくてなりません。

さらに、同じ社員総会において、新しい役員の選任(従前の役員を選任することも可)と、必要に応じて定款変更(監事廃止、理事会の再設置、本店移転等)の決議もします。
※定款変更の決議は必須ではありません。

≫一般社団法人における社員総会の開催とその決議要件

清算人、代表清算人の登記

みなし解散の登記をされると、理事と代表理事の氏名・住所には下線が引かれ、退任したことになっています。

そのため、法人継続の登記の前提として、清算人と代表清算人の登記をしなければなりません。

定款に清算人・代表清算人に関する定めがあればその規定に従うことになりますが、その規定が無ければ、みなし解散時の理事・代表理事を法定清算人・代表清算人として登記をします。

なお、監事はみなし解散時に退任することはありません(登記簿に記載されている氏名に下線を引かれることはありません)。

法人継続の登記、他

社員総会の決議が終わりましたら、法人継続の登記、清算人・代表清算人の登記、理事や監事の変更登記を管轄法務局へ申請します。

必要に応じて、理事会設置法人の登記や本店移転、名称変更等も変更したのであれば併せてそれらの登記も申請します。

法人継続の登記の添付書類

法人継続の登記、清算人・代表清算人の登記、役員変更の登記、理事会設置法人の定めの登記を申請する場合の添付書類の一例は次のとおりです。

登記申請のに内容によって添付書類が変わりますので、事前に法務局へ相談した方が無難でしょう。

  • 定款
  • 社員総会議事録
  • 理事会議事録
  • 役員の就任承諾書
  • 役員の印鑑証明書(理事会に出席していない監事は≫本人確認証明書でも可)

また、登記申請時に申請書と一緒に法務局へ「印鑑届書」も提出します。

法人継続の登記の登録免許税

一般社団法人が、法人継続の登記、清算人・代表清算人の登記、役員変更の登記、理事会設置法人の定めの登記を申請するときの登録免許税は次のとおりです。

  •  9,000円 清算人、代表清算人の登記
  • 30,000円 法人継続の登記
  • 10,000円 役員変更の登記
  • 30,000円 理事会設置法人の登記

上記の他に、目的変更や主たる事務所移転の登記申請を併せてするときは、上記に加えてその区分に応じて3万円+の登録免許税がかかります。

印鑑カードの交付申請

みなし解散前の印鑑カードは、みなし解散後の清算人・代表清算人の登記時に引き継ぐことはできませんので、上記の法人継続の登記等が終わったら再度管轄法務局に発行してもらいます。

オンライン申請や郵送申請で行うときは、申請書や添付書類と一緒に印鑑カード交付申請書+返信用封筒を同封しておくと、印鑑カードを郵送で送ってもらえるため、印鑑カード交付のために管轄法務局へ行く手間を省略することができます。

登記懈怠による過料

法人登記の申請は、その内容に応じて変動はあるものの、その多くは効力が発生してから2週間以内に登記申請をしなければなりません。

その期間を超えてから登記申請をすると、代表者へ100万円以下の過料を課される可能性があることになっています。

そして、休眠法人は少なくとも役員の選任懈怠か登記懈怠の状態の法人ですので、実際に過料が課されるかどうかは別として、その対象にはなってしまっています。

とはいえ、今後も当該休眠法人で事業を行っていくのであれば、一刻も早くみなし解散状態を解消しなくてはなりません。

みなし解散状態をそのままにしておくとどうなるか

解散したとみなされてから3年以内に限り、社員総会において法人継続の決議をすることができます。

逆に言えば、解散したとみなされてから3年を経過してしまうと、それ以降は社員総会において法人継続の決議をすることができなくなってしまいます。

こうなると法人は以降事業活動を行うことはできず、以降は清算事務しか行えないことになってしまいますのでご注意ください。

法人の登記簿をチェックしてみてください

法務省は毎年休眠法人の整理を行う意向を示していますので、今年も12月に休眠法人の整理を行う可能性が高いといえます。

そういえば何年も登記をしていないな、、、と思う法人は、一度登記簿をチェックしてみてはいかがでしょうか。

みなし解散後に継続の登記をするよりも、今のうちに役員の選任登記をした方が、選任懈怠・登記懈怠期間も短くなり、そして何より手間も費用も安くなります。

役員の任期がいつまでか分からない、登記をしている時間がないとお困りの方は、是非お近くに司法書士に相談してみてください。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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