商業登記関係 理事、監事の変更登記の登録免許税(一般社団法人、一般財団法人)
一般社団(財団)法人の理事、監事の変更登記
一般社団法人と一般財団法人(以下、併せて「一般社団法人等」といいます)の理事や監事(以下、併せて「役員」といいます)には必ず任期があり、任期を満了した役員等は退任します。
これは、同じ人物が引き続き役員になる場合も同様であり、再任手続きとその登記をしなければなりません。
任期満了を迎えたときであっても、後任者が選任されないことにより会社法あるいは定款で定める役員の員数が満たされないときは、当該任期満了を迎えた役員は退任することなく≫権利義務役員としてその業務を行う責任を負います。
役員変更登記を放置すると
役員変更登記は、その効力が生じた時から2週間以内にその登記申請をしなくてはなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第303条)。
この期間を過ぎてから登記申請をしたときは、100万円以下の過料が課される可能性があり、また5年以上何も登記をしていない一般社団法人等は、法務局の職権によって解散させられてしまう可能性がありますのでご注意ください。
役員変更登記と登録免許税
一般社団法人等が役員変更登記を法務局へ申請するときは、登録免許税を納めなければなりません。
役員変更登記の登録免許税は、株式会社の場合は資本金の額によって変動しますが、一般社団法人等は登記申請1件につき1万円で固定です。
1回の申請で複数名の役員変更登記をする場合
役員変更登記の登録免許税は、申請1件/1社につき1万円です。
申請の件数によって登録免許税が課されているため、1回の登記申請で役員複数名の変更分を申請しても登録免許税は一定です。
これは、平成30年6月4日に理事が3名就任した旨の変更登記も1件の申請であれば1万円であり、平成30年5月30日に理事2名就任・平成30年6月4日に理事1名、監事1名が就任した旨の役員変更登記も、1件の申請であれば登録免許税は1万円です。
あえて平成30年6月4日の理事、監事就任登記を別々の申請書で申請するのであれば、同日に登記申請をした場合であっても、登録免許税は1万円×2(2万円)かかってしまいます。
代表理事の住所変更も同じ
代表理事の住所も登記事項ですので、変更が生じたときは変更登記が必要となっています。
代表理事の住所変更登記の登録免許税も、役員の選任、退任登記の登録免許税と同じ区分であり、その額は申請1件につき1万円です。
理事の就任・退任登記、監事の就任・退任登記と代表理事の住所変更登記を一緒に(同一の申請書で)申請したときは、登録免許税は全て合わせて1万円です。
他の変更登記も一緒に申請する場合
役員変更登記と併せて他の変更登記を申請するときは、その分の登録免許税が加算されます。
例えば、役員変更登記と一緒に法人名を変更したり目的を変更するようなケースです。
役員変更登記と名称変更登記を申請するときは、その登録免許税は3万円(名称変更分)+1万円(役員変更分)となり、合計4万円となります。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。