AI時代に問われる専門職の在り方

AIに数兆ドルが投じられ、今やどの企業もAI戦略を語る時代になりました。ちょうど先日、イギリスのコンサルティング業界で、今改めて「人間」に焦点が戻っているという記事を読みました。テクノロジーへの期待がかつてなく高まる一方で、そのテクノロジーを使いこなし、価値に変える主体としての「人」の重要性が、むしろ再認識されているのだと感じます。

BCGによれば、AIによる価値創出の内訳は「アルゴリズムが10%、データとテクノロジーが20%、そして残りの70%は人間の貢献」だそうです。結局のところ、価値の大部分は「人」に依存するということなのでしょう。 AIがどれだけ進化しても、それをどう使い、どう意思決定につなげ、どう現場で実装するかは、人間に委ねられているということだと思います。

また、EYは「AIリテラシーとは単にChatGPTを時々使うことではない」と述べ、BCGも入社時にAIの知識が乏しくても採用を継続しているそうです。その理由は、AIスキル以上に「深い好奇心」があるかどうかが重要だから。新しい技術や変化に対して自ら関心を持ち、学び、問いを立てられる人こそが、これからの時代に価値を発揮していくのだと思います。

クライアントが見ているのは、AIに詳しいかどうか以上に「AIのアウトプットに自分の名前を載せる覚悟があるか」なのだと感じます。つまり、判断力、共感力、そして責任感。技術が進歩するほど、こうした資質の重みは増していくでしょう。便利な道具が増えるほど、最後に問われるのは、それを使う人間の姿勢や覚悟なのだと思います。

確かに、私がどれほどAIを駆使して成果物を作成したとしても、それを「AIが作りました」とは言いません。「私が、弊社が責任を持って作りました」と伝えますし、クライアントもそれを期待しているはずです。AIは強力な補助線にはなっても、責任の主体そのものにはなりません。その意味でも、最後はやはり人が前に立つ世界なのだと感じます。

日本の士業の世界でも、AIや自動化が進む中で、知識や処理能力はやがて標準化されていくでしょう。知っていること、速く処理できることだけでは、差別化が難しくなっていく未来は十分にあり得ると思います。そのとき、最後に選ばれる理由は何か。

それは専門知識の量だけではなく、「この人に任せたい」と思っていただける人格や姿勢ではないか。――「人柄採用」は時代遅れになるどころか、これからの経営戦略における中核になりそうです。むしろ、AI時代だからこそ、人として信頼できるか、誠実に向き合えるか、責任を持てるかといった要素の価値は、これまで以上に高まっていくのではないでしょうか。

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前川研吾 X(旧Twitter) RSM汐留パートナーズ 採用X(旧Twitter)

多角化のススメ

先日、あるYouTuberの方が突然BANされ、一瞬にしてこれまでの収益源が断たれてしまったというニュースを目にしました。停止に至る事情は人それぞれでしょうが、「特定の顧客、特定のプラットフォーム、特定の収益源」にのみ依存して働くスタイルは、非常に脆く、不安定であることは間違いありません。

これは、プラットフォーム上で活動するクリエイターに限った話ではありません。一人の力で切り盛りする士業の方やフリーランスにとっても、極めて切実な問題ではないでしょうか。

一般的に、事業の多角化と聞くと、多くの従業員を雇い、大きな資本を投じて未開の市場へ打って出るような「攻めの戦略」をイメージしがちです。しかし、変化の激しい現代においては「守りの戦略」としての側面もあると感じます。

私自身、これまで数え切れないほどの挑戦をしてきました。そして、その裏には話せばきりがないほどの失敗談が積み上がっています(笑)。当時は「これはいける!」と確信して始めた事業が、鳴かず飛ばずで終わることも珍しくありませんでした。

しかし、そうした試行錯誤のひとつだった国際ビジネスが、思わぬ形で道を開いてくれました。何が当たるか分からないからこそ、種をまき続けることの大切さを身をもって実感しています。

多角化を始めるにあたって、大きな投資は必ずしも必要ではありません。個人事業主やフリーランスだからこそできる身軽な多角化があります。

  • 現在の仕事に関連する「一歩隣」の業務に少しだけ踏み込んでみる。
  • 信頼できるパートナーや他社と、まずは小さなプロジェクトで協力してみる。

これくらいのスモールスタートで十分です。もし上手くいかなくても、失うのは多少の時間だけです。しかし、その過程で得た知見や人脈は、必ず未来のどこかで自分を助けてくれる財産になります。

不安定な時代だからこそ、一つの場所に留まらず、しなやかに枝葉を広げていく。私のこの経験が、一歩踏み出そうとしている誰かのヒントや、安心材料になればこれほど嬉しいことはありません。

変化を恐れるのではなく、変化を味方につけるための「しなやかな備え」を、積み重ねていきましょう。

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課外活動のススメ

Big4の監査法人に身を置いていると、自分次第で課外活動のチャンスはいくらでもあります。「最近は忙しすぎてそれどころではない」という声も聞こえてきそうですが、それでもなお、若いうちに社外との接点を少しずつ広げておくことには大きな意味があります。

その法人に長く勤めるかどうかは別として、公認会計士として30〜40年に及ぶキャリアを歩む中で、先輩・同期・後輩、そしてクライアントとの関係を良好に保つことは極めて重要です。目の前の仕事で成果を出すことはもちろん大切ですが、それと同じくらい、信頼できる関係性を積み重ねていくことが、長いキャリアの土台になっていきます。

なぜなら、この業界は想像以上に狭いからです。「間に一人挟めば、ほぼ全員が繋がっている」と言われるほどです。もちろん、海外まで視野を広げれば世界は一気に大きくなりますが、国内での信頼関係を大切にして損はありません。むしろ、若いうちに築いた関係が、何年も経ってから思わぬ形で仕事やキャリアを支えてくれることもあります。

大手監査法人の名刺があるうちは、絶好のチャンスです。準会員であっても、その名刺一枚で信頼を得やすく、銀行・証券・VC・PEファンド、さらには弁護士や医師など、多分野のプロフェッショナルと接点を持てる可能性が広がります。自分一人ではなかなか開けない扉も、所属している環境や肩書きがあることで、自然と開かれることがあります。

結局のところ、誰もが求めているのは「長く信頼できる付き合い」なのではないでしょうか。短期的な損得だけではなく、互いに相談し合える関係、困ったときに思い出してもらえる関係をどれだけ築けるか。この恵まれた環境を最大限に活かし、質の高い関係性を構築することが、将来の成功を支えてくれるはずです。最初の5年、10年の努力がすべてを解決できるとは言いませんが、その後のキャリアで大きな力となることは間違いありません。

本業だけでなく、人脈作りや異業種交流など、名刺一枚で広がる世界を楽しんでみてください。時には飲み会の幹事を務めるのも良い経験になります。シャイな方が多い業界かもしれませんが、少し勇気を出して一歩踏み出すことで、見える景色は大きく変わるはずです。そのきっかけになれば幸いです。

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地道な業務に宿る、仕事の基礎と組織を支える力

監査法人1年目の頃、私の業務にはシンプルな作業も多かったように思います。確認状の仕分けや捺印、フォルダへの分類、FAX送信、そして事務勤でのコピーやシュレッダーがけなどです。もちろん、事務所や時代によって状況は異なるでしょうが、少なくとも私の実体験としては、こうした地道な作業がたくさんありました。

しかし、新人時代の私にとって、これらは決して「簡単なこと」ではありませんでした。 FAXの送信先を間違え、シニアの先輩がクライアントに謝罪の電話を入れてくださったこともあります。自分の不手際が周囲に迷惑をかける申し訳なさに、次は絶対に間違えないようにとひとつひとつの作業に必死に向き合っていました。

単純に見える作業にこそ、高い丁寧さと集中力が求められます。宛先を確認する、書類の順番をそろえる、漏れがないかを見直す。そうした一つひとつの積み重ねが、仕事全体の品質や信頼につながっていきます。新人時代の仕事には、ビジネスの根幹となる大事な基礎が詰まっていたのだと、今になって強く思います。正直に言えば、私はこういった細かな作業が得意ではありませんでした。だからこそ、その難しさや大切さを身をもって学ぶことができたのだと思います。

また、こうした経験を通じて「組織には多様な役割がある」ことも学びました。表に出る仕事だけで組織が成り立っているわけではありません。縁の下で支えてくれる間接部門の方々がいて初めて、フロントのメンバーが安心してクライアントに向き合い、力を発揮することができます。その構造を理解できたことは、私にとって大きな財産です。

独立し、見積書の発行から入金確認、場合によっては督促のようなプロセスまで、自分自身の手でやってみて、当時の教えが身に染みています。どんな業務であっても、それをいかに「自分事」として捉え、主体的に向き合えるか。それによって、個人の成長スピードも、仕事への解像度も大きく変わるものだと思います。

支えてくれる多くの仲間に改めて感謝しながら、私自身もまた、誰かの活躍を支えられる存在であり続けられるよう、日々精進してまいります。

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一人士業の魅力と、持続可能な事務所のかたち

「一人士業の事務所」のあり方について考えてみました。もし私がもう一度独立するとしたら、次は「一人士業」という形態を選ぶかもしれません。実際には生涯をかけてRSMの日本代表を務め、RSMと共に歩んでいく決意ですので、あくまで仮定の話ではありますが(笑)。

私見ですが、一人士業の定義とは「完全に一人」であるか、あるいは「フルタイムの有資格者は所長一人で、数名のスタッフを雇用して運営している」状態を指すのではないかと考えています。

完全に一人で実務を行う道は、雇用の苦労や責任から解放される生き方です。これはまさに「自由な経営」と言えるでしょう。信頼できる外部協力者と連携しながら、目の前のお客様に全力で向き合うことができます。

一方で、自分の目が届く範囲でスタッフを採用するという考え方もあります。規模としては10名程度、売上高でいえば1億円前後が一つの目安でしょうか。 実際、契約・請求事務、入金確認、記帳、給与計算、書類作成といった業務を分業化したほうが、事務所全体の生産性は向上しますし、その枠組みの中で全員が豊かになれます。

例えるなら、所長は獲物を捉える「狩猟民族」であり、スタッフはお米を育てる「農耕民族」。お肉とご飯の組み合わせが最高であるように、この両者が揃うことで、非常にバランスの良い組織となります。

しかし、有資格者が複数になり法人化が進むと、時に揉め事が生じることもあります。本人だけでなくスタッフもストレスを抱えてしまい、結果として組織を解散し、個人事務所に戻っていかれた方を私は多く見てきました。

「私がいなくなればこの事務所は解散するか、どこかに合流する」という前提をあらかじめスタッフと共有しておく。これもまた、一つの「サステナブル(持続可能)な形」かもしれません。その方針を理解した上で入所していただくということです。

この規模を超えて拡大を目指すなら、それはもはや「士業」というより「経営者」の領域です。世の素晴らしい経営者たちと同じ土俵で競い、スタッフもまたリーダーとしての背中を期待する。そこには、厳しくも刺激的な世界が広がっています。

一人士業は、時に孤独や寂しさを感じることもあるでしょう。しかし、そのスタイルが性に合っている人にとっては、まるで「タレント」のように自分自身を軸とした職業人生を歩める、とても素敵な選択肢だと思うのです。

大切なのは規模の追求ではなく、自分が納得できる「あり方」でいられるかどうか。一人ひとりの士業が自分らしく輝ける場所を見つけられることを、心から願っています。

 

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成長途上ならではのRSM Japanの魅力

RSMはグローバルの規模に対して、RSM Japan(RSM汐留&清和)は規模も歴史も、世界と比べればまだ発展途上だと言わざるを得ません。日本におけるRSMは、これからさらに存在感を高めていく段階にあり、まさに成長の途中にある組織だと思います。

しかし、だからこそ面白いのです。完成された組織に合流するのではなく、これから伸びていく組織を、自分たちの手で形づくっていける余白があります。すでに整いきった環境では味わえない、試行錯誤しながら未来をつくっていく実感がある。そこに、日本のRSMならではの醍醐味があると感じています。

入社したばかりのメンバーがこんなことを言ってくれました。「海外が大きいのに日本がまだ小さいのは、ものすごいチャンスですよね!伸びしろしかないじゃないですか!だから応募したんです!」

この言葉は本当に嬉しかったですし、私自身もまったく同じ想いでRSM汐留パートナーズを率いています。グローバルの看板や基盤は確かに心強いですし、それ自体が大きな強みであることは間違いありません。しかし、日本の成長は“誰かが用意してくれるもの”ではなく、私たち自身が一つひとつ積み上げてつくっていくものだと思っています。だからこそ、そのプロセスに主体的に関われることに、大きな価値があるのです。

正直、この「ギャップの魅力」をお伝えしても、すぐにはピンとこない方もいらっしゃいます。安定や完成度を求める方にとっては、まだ整っていない部分や、これからつくっていく余地があることに、不安を感じるかもしれません。けれど、この面白さがわかる方には、きっと強烈に刺さるはずです。「今、ここから一緒に歴史をつくれる」。その手触りを持てる環境は、実はそう多くありません。

グローバルな巨人を背景に、日本でベンチャーする。大きなネットワークと、成長途上のフィールドならではのダイナミズム。その両方を同時に味わえるのが、いまのRSM Japanです。そしてこの環境こそが、挑戦したい人にとって、他にはない魅力になるのではないかと思っています。

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マルタ訪問を通じて感じた、日本・マルタ間の新たな可能性

先月、マルタ共和国にてRSM Maltaのマネージングパートナー、Karen Spiteri Bailey氏とお会いしました。日本・マルタ間の成長戦略やサービス品質の向上、さらにはグローバル市場におけるプレゼンス強化に向け、多角的な意見交換をさせていただきました。そして、現地のチームメンバーとも直接交流し、RSM JapanとRSM Malta間の連携をさらに強化しました。今回の交流は、RSMグローバルネットワークにおける連携の可能性、マルタが持つアドバイザリー拠点としての重要性を再認識するよい機会となりました。

また、マルタ商工会議所では、同会議所メンバーや英語教育・TEFL分野の関係者との会合に出席しました。マルタの優れた教育環境を活かしたエグゼクティブ向けプログラムや専門能力開発、国際的なイマージョン学習の機会に加え、日本・マルタ間における若者の交流やワーキングホリデーの可能性についても議論を深めることができ、大変有意義な時間となりました。

日本とマルタは国交樹立60周年という節目を迎えました。EU加盟国としての機動力、英語環境、そして多様な人材というこの国の強みは、日本企業にとっても多くの示唆に富んでいます。

特に印象的だったのは、「パスポート=移動の自由」に留まらず、「どの経済圏に属するか」が個人や企業の選択肢を劇的に広げるという視点です。EUという枠組みの中でビジネスを展開する意義を、改めて実感できました。

グローバル展開が前提となる時代において、地理的条件や制度をどう戦略的に捉えるか。日本国内に留まっていては見えにくい視点を、現地の体験を通じて得ることができました。この知見を今後の自社戦略やクライアント支援に最大限に活かしてまいります。

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加速する会計事務所のロールアップ買収:グローバルトレンドと戦略的選択肢

2015年から2025年にかけて、世界では177件のプラットフォーム投資を端緒に875件のロールアップ買収が行われ、累計1,052件の会計事務所取引に波及しています。現在、会計業界ではPE主導による業界再編が着実に進み、その動きは年々存在感を増している状況です。

この潮流は米国や英国を中心に広がってきましたが、足元では欧州、豪州、さらには新興国を含む多国間へと波及しています。先日、懇意にさせていただいている経営者の方との情報交換の中で、日本市場における同様の打診についても伺いました。具体的な進展には至らなかったようですが、PEがどのようなスキームで参入を画策しているのか、その動向を把握しておくことは極めて重要だと感じます。

プロフェッショナルファームの成長を考えるうえで、外部資本の活用は今や一つの現実的な選択肢になりつつあります。もちろん、すべての法人に適した手段であるとは限りませんが、こうした世界的なトレンドを正しく理解し、自らの経営のあり方と照らし合わせて捉えることは、今後の経営戦略を構築する上で欠かせない要素と言えるでしょう。

一方で、急進的な利益追求の影で、不正やハラスメントが社会問題化している現実も見過ごすことはできません。成長のスピードや規模だけが評価されるのではなく、その過程において組織の健全性や倫理観が保たれているかどうかも、これまで以上に問われる時代になっているように思います。単なる数字上の成長にとどまらず、ステイクホルダー全員のウェルビーイングが確保された、真に健全な業界の発展を願ってやみません。

資本の力と人の心が調和する、新しい時代のプロフェッショナルファームのあり方を、これからも丁寧に模索し続けていきたいと考えています。

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意思決定の解像度が変わる。MBAで得た「経営の視座」

働きながらMBAに通って一番良かったこと。それは、公認会計士・税理士としての「士業の視点」に、「経営者としての視点」を掛け合わせることができた点にあります。

財務や税務という武器に、戦略、組織、マーケティング、リーダーシップといった経営のフレームワークが加わったことで、意思決定の解像度が大きく上がりました。2年間、必死に食らいついて海外のトレンドやESG、ファミリービジネスなども学びました。正直、車が買えるくらいの投資でしたが、海外MBAに比べれば安価ですし、それ以上のリターンがあったと感じています。

最近、知人の税理士がKBS(慶応ビジネススクール)に、部下がWBS(早稲田ビジネススクール)に合格しました。これは本当に嬉しいことです。MBAは「誰と学ぶか、誰から学ぶか」がとても大事。仕事と勉強の往復は簡単ではありませんが、あの時踏ん張ったからこそ、今の自分があります。

ESG、国際、AIなど、経営課題はますます複雑になる昨今ですが、大きな責務こそ成長のチャンスになります。「あの人には専門知識では勝てない」と思うような、キレキレの同業者は世の中にたくさんいます。しかし、専門性だけで勝負し続けるのは、クライアントのレベルが上がるほど難しくなるのも事実。

だからこそ、教育やチームビルディング、あるいは「経営者の良き理解者」といった、少し違う領域で自分の価値を出したい人にとって、MBAは最高の選択肢になります。私自身も、かつては同じ悩みを持っていました。

監査法人や中小企業向けの事務所にいると、大企業の人との繋がりは限定的になりがちです。MBAに行けば、一流企業のリーダー候補たちと最高の関係が築けます。これは一生の宝物です。これからもおすすめしていきたいと思います。

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独立した立場の重責。社外役員は「時間の切り売り」ではない

昨今、公認会計士や弁護士の間で「社外役員」は人気のポジションとなっているようです。しかし、その重責をしっかり果たせる人材はいまだ不足しているのが実情です。一方で、税理士やその他の士業にとっては、門戸が十分に開かれているとは言い難い現状もあります。

背景には、会社法や金融商品取引法への対応、ガバナンスやリスク管理、国際ビジネスといった高度な専門性への需要があります。取締役会の機能強化が求められる中で、監査・法務のプロが重宝されるのは必然と言えるでしょう。

もっとも、たとえ打診があったとしても、安易に引き受けるべきではないと私は考えています。軽々しく引き受けてしまうことは、会社にとっても個人にとっても望ましい結果にはつながりません。

一方、非常勤という立場では、得られる情報に限りがあります。しかし、負うべき法的責任がそれに比例して軽くなるわけではありません。「報酬が低いから投下時間も少なめに」という理屈は通じても、リスクは時間に比例してはくれないのです。

何より、「時給が良いから」といった発想は論外です。社外役員の本質は時間の切り売りではなく、独立した立場から経営判断に関与する重い責任にあります。極論を言えば、24時間その会社のことを考え抜く覚悟が必要な職責なのです。

私自身、これまで上場企業3社で社外役員を務め、うち2社では社外監査役としてIPOも経験しました。現在は1社で社外取締役を拝命していますが、経験を重ねるほどに、この役割の重みと、引き受ける際の慎重さの重要性を強く感じています。

もちろん、社外役員を専業として数社を掛け持ちする道もあります。それは一定の経験を積んだ上で、プロの社外役員として「全力で振り切る」という立派なキャリアの形であり、今後さらに注目される生き方になるのではないでしょうか。

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